Hollinghurst の作品を読んだのは、5年前の "The Stranger's Child" 以来で2冊目。同書は2011年のブッカー賞レースの際、あちらのファンのあいだで大本命の呼び声が高かったが、あえなくショートリストで落選。ぼくはロングリストの発表直後、下馬評を信じてさっそく読んでいただけにガッカリしたものだ。
以下に再録した当時のレビューを読むと、何だかホメすぎのような気もする。というのも、レビューや前後の雑感を読み返しているうちに、ああ、そんな話だったな、とだんだん思い出したからだ。
ただ、今回の "The Line of Beauty" より出来はいいと思う。「文体の魅力がなけれ単調この上ない」、「ゲイが前面に出てこなければ陳腐きわまりな」い本書に対し、"The Stranger's Child" のほうは、同じゲイ小説でも「重層的な構造」が奏功してかなり読める作品に仕上がっている。おやじギャグを飛ばすなら、「芸(ゲイ)がちがう」。
本書との共通点は、どちらも「耽美的な禁断の世界」が描かれていることだ。察するに、"The Line of Beauty" が2004年にブッカー賞を受賞したのも、「耽美主義、芸術至上主義の立場からすれば秀作」という判断があったのかもしれない。
以下のレビューを書いた当時はまだ、星印で点数評価をしていなかった。ほとんど記憶になかったことを考えると、☆☆☆★でもいいような気もするが、第一印象を優先させ、★を1つオマケしました。
- 作者: Alan Hollinghurst
- 出版社/メーカー: Pan MacMillan Paperback Omes
- 発売日: 2012/04/01
- メディア: ペーパーバック
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(写真は宇和島市三島神社)。