ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Story of the Lost Child" 雑感 (2)

 というわけで、久しぶりにジャケ買いをした本書だったが……。
 まず、「人は見かけによる」というのは洋書の場合、かなり正しいことが今回も実証された。(和書は最近ほとんど買ったことがないので不明)。いかにも〈文芸エンタメ系〉らしい雰囲気のカバーどおり、これはずばり文芸エンタテインメント。今まで読んだかぎり、知的昂奮を覚えたことは一度もない。
 どんな雰囲気か。百聞は一見にしかずだが、表紙はいつもレビュー掲載時にアップすることにしている。一般的に言うと、ソフトタッチで、甘いロマンを感じさせたり、ノスタルジーを誘ったりするようなものが多い。
 見てくれのよさに釣られ、思わず読んでみたくなる。そのあたり、あちらの出版社の計算は正確そのもので、ほんとに感心する。今まで何度、その手に引っかかったことか。カワイコちゃん(ジジくさい表現で失礼!)にニコっとされると、つい鼻の下を伸ばしてしまうのと同じですな。
 で、〈見てくれ買い〉をした本は、ほとんど例外なく文芸エンタメ系。「その手に引っかかった」と上に書いたが、知的昂奮こそ味わえないものの、実際はそれなりに楽しく、時にはクイクイ読めることもある。払ったお金と、読んだ時間を返してくれ! と叫びたくなるようなことはまずない。
 本書の場合はどうか。ぼくの基準では文芸エンタメ系ながら、なにしろニューヨーク・タイムズ紙の10 Best Books of 2015の一冊である。同紙の書評家 Michiko Kakutani も、My Favorite Books of 2015に選んでいる。おもしろいに決まってるだろうが!
 ううむ、どうでしょうか。
(写真は、宇和島市寺町界隈の一角にある潮音寺)