ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Lauren Groff の “Fates and Furies” (2)

 これは好みの分かれる作品かもしれない。実際、ぼくも第1部の終盤までは、「それなりにおもしろく読める程度と高をくくっていた」。
 が、急展開を告げる第1部の結末から第2部にかけては、(ぼくの好みでは)文句のつけようがない。で、最後まで読み切り前半を改めて振り返ったところで、はじめてその「テーマが身にしみてわかる」。なるほど、そういうことだったのか。再読すれば、おそらく伏線その他、多くの見過ごしていた点に気づいてさぞ楽しいことだろう。
 けれども、よほど気に入った本でないかぎり、同じ作品をもう一度すぐ読み返す読者は少ないかもしれない。そんな本はぼく自身、たしか中1のときに読んだ Hemingway の "A Farewell to Arms" (むろん邦訳版)しかない。
 だから本書の評価も、おおむね第2部をどう評価するかにかかっているように思う。第1部の途中で投げ出してしまった人もいるかもしれない。
 ジャンルとしては、これまた大ざっぱに言えばメロドラマですかな。これまた、というのは、本書の前に読んだ Elena Ferrante の "The Story of the Lost Child" もメロドラマだったからだ。同書は ☆☆☆ だったが、こちらは ☆☆☆★★★。★3つ(約15点)の差はどこから生じるのか。
 ぼくの心の琴線に触れたかどうか、である。雑感で紹介したように、なんとオバマ大統領も本書を2015年のお気に入り作品に選んでいるそうだが、ぼく自身、最後の★1つはオマケ。それだけ気に入ったわけだ。
 どういう点がよかったかはレビューに書いたとおりだが、若干、補足したいことがある。が、きょうは忙しいのでこの辺で。
(写真は宇和島市宇和津彦神社。亡父は氏子総代で、正月は大忙しだったそうだ)