ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Magda Szabo の “The Door” (2)

 ニューヨーク・タイムズ紙がなぜ、本書を去年のベスト5小説に選んだのか、ようやく見当がついた。もともと2005年に出ていた英訳版が、ぼくの読んだ New York Review Books からアメリカ版として復刊? それが高い評価を得たということらしい。
 ともあれ、裏表紙の紹介記事をもとに検索すると、本書は過去に2つの賞を受賞している。まず2003年、フランスのフェミナ賞・外国小説賞を受賞。たぶん、この年にフランス語版が出たのでしょうね。
 つぎに2006年、the Oxford-Weidenfeld Translation Prize を受賞。ぼくは初耳だが、こんな賞のようです。The Oxford–Weidenfeld Prize is for book-length literary translations into English from any living European language. It aims to honour the craft of translation, and to recognise its cultural importance. It was founded by Lord Weidenfeld and is supported by New College, The Queen's College and St Anne's College, Oxford.
 というわけで、本書の受賞者も作者ではなく、翻訳者の Len Rix という人である。wiki によると、ハンガリー文学を専門に紹介している翻訳家らしい。
 さて、肝心の Magda Szabo だが、同じく wiki によると、日本語表記はサボー・マグダ。そういえば、この秋に読んだ "Embers" [☆☆☆★★★] の作者 Sandor Marai も、マーライ・シャーンドルという表記だった。ハンガリー語では、日本語と同じく名前を姓名順に呼ぶのだそうだ。
 さらにあれこれ検索しているうちに、なんと本書が映画化されている(2012)ことを発見。日本では未公開だが、2013年に『エメランスの扉』という邦題で WOWWOW で放送されたそうだ。あんた遅れてますな、という声が聞こえてきそうで、お恥ずかしいかぎりです。
 以下、WOWOW の記事を引用しておこう。「クィーン」でアカデミー主演女優賞に輝くH・ミレンが主演し、心の扉を閉ざして生きる家政婦役を熱演した、感動のヒューマンドラマ。ハンガリーの巨匠I・サボーが監督。
 ぼくは最近の映画事情にうといので、『クィーン』も、H・ミレンも、I・サボーもみんな初耳。映画監督だけ調べてみた。サボー・イシュトヴァーン。英語表記は Istvan Szabo。Magda と同姓だが、原作者と映画監督の関係以外のことは不明。というか、面倒くさいので調べていない。
 なるほど、「感動のヒューマンドラマ」ですか。まあ、そんな映画に仕立てることは造作もないでしょうね。ただ、ぼくが感動した点は、未見だが映画とはどうも違うような気がする。
(写真は、宇和島市立明倫小学校のプール。おそらく補修はされているはずだが、飛び込み台がない点を除けば、昔とあまり変わっていないようだ。写真を見るだけで、あの夏の日々がよみがえってくる。友だちの笑い顔が浮かび、歓声が聞こえる)