世間は三連休だったが、ぼくはきょうも昼過ぎまで〈自宅残業〉。職場の繁忙期は過ぎたものの、先週まで体調不良。自分の仕事が予定より大幅に遅れているからだ。
BGMはクレンペラー盤「魔笛」。ノリントン盤より素人耳には心地よい。次いで、中島みゆきの「荒野より」と「常夜灯」。どちらも初めて聴いたが、最近、でもないか、みゆきの歌には〈人生応援歌〉が多いような気がする。
昼食後、しばらく仕事を続けたが、さすがにストレスがたまり中止。やおら "The Magician's Assistant" を読みはじめる。相変わらず、たいした進展なし。まさか話を引っ張っているはずもなく、イマイチねらいがわからない。
夕刻前、暗くならないうちにと思って散歩。明らかに春の香りがただよっている。ユキヤナギの白い花が目にしみる。がんばらなくちゃ、と脈絡もなく、思う。
帰宅後、昨年末に日本で初めてDVD化された「さすらいの青春」を鑑賞。この映画には特別な思い出がある。
日本公開当時、ぼくは酒井和歌子の大ファンだった。いまは懐かしい「明星」か「平凡」のインタビュー記事で、「わたしはこんな映画が好き」という彼女のコメントを拝見。そうか、酒井和歌子が好きな映画だったら、ぼくもきっと好きになるはず、と思って観に行った。
本作には目玉がひとつあった。あの名画「禁じられた遊び」に出てきた女の子が美しい娘に成長。そのブリジット・フォッセー主演ということで話題になったのだ。
が、正直、ピンと来なかった。角川文庫版の原作も読んだが、やはりよくわからなかった。しかし、なぜか気になり同書はいまだに愛蔵している。
その後ビデオ化されたことは知っていたが入手困難。フランス版のDVDには日本語字幕がなく、もう二度と観ることはないだろうとあきらめていた。
と、ここまで書いてから夕食。先を続けよう。以上の話は、2007年12月25日の記事とほぼ重なっている。英訳版で "Le Grand MeauInes" を読んだときの感想だが、きょう映画を観て驚いた。なんと話の後半をほとんど忘れていたのだ。レビューも書いたのに、である。
だから、映画が原作に忠実であるかどうかさえ不明。ただ、少年時代に「ピンと来なかった」のは無理もない、と思った。親友モーヌの妻イヴォンヌにひそかに思いを寄せるフランソワの心情など、ませガキなんぞにわかりっこない。
それにしても、道に迷ったあげく不思議な館にたどり着き、夢の女性に出会って思いを通じあう。いいですなあ。ここだけはしっかり憶えていた。少年だったぼくも、その点に胸をときめかせたのかもしれない。
ともあれ、これでぼくの思い出の青春映画をすべて再見したことになる。オリヴィア・ハッセー主演「ロミオとジュリエット」、「若草の萌えるころ」と本作。思えば、この3本を初めて観たころが、ぼくはいちばん innocent だったかも。「汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる」という中也の詩がよみがえる。
と、この記事はクイケン盤「ブランデンブルク」を聴きながら書いていた。すごく快調で楽しい。数えてみたら14枚もっている同曲CDの中で、かなり上位のほうに入ると思う。
さて、これから表題どおり "The Magician's Assistant" の続きを読むのが本筋だが、食卓には、三浦しをんの短編集と清張ミステリが置いてある。ではまた。
(写真は、宇和島市神田(じんでん)川。昔はもちろんガードレールがなかった。ぼくは小さいころ、この付近で遊んでいてアヒルを発見。追いかけているうちに深みにはまり、気がつくと首元まで水につかっていた。そのとき両手を差し伸べてくれたおばさんの顔は、いまでもうっすら憶えている)