ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Mohsin Hamid の “Exit West”(2)

 Mohsin Hamid の作品を読むのは本書で3冊目。初めて読んだのは、ご存じ2007年のブッカー賞最終候補作 "The Reluctant Fundamentalist"(☆☆☆★★)。当時のレビューを読みかえすと、わりとおもしろい、という程度だったようだ。
 次に、ちょうど4年前の今ごろ、"How To Get Filthy Rich in Rising Asia"(☆☆☆★★)を読んだ。理由は今回とおなじで、同書が現地ファンのあいだで「ブッカー賞ロングリスト候補作」に選ばれていたからだ。
 が、下馬評に反して落選。しかし "The Reluctant Fundamentalist" と同点ながら、やはり当時のレビューを読むと、かなり気に入っていたことがわかる。「ユーモラスなエピソードが多く、時に身の危険にかかわる緊張が走り、ふと哀愁を帯び、ハートウォーミングで、しみじみとした情感がこもる」。
 というわけで、今度こそ下馬評どおりノミネートか、と期待して "Exit West" に取りかかった。もののみごとに当てはずれ。賞レースへの参加は、ちょっと無理なんじゃないかな。
 裏表紙の紹介によると、"Exit West" is a love story from the eye of the storm. It is an extraordinary feat of hope and compassion. .... Mohsin Hamid tells of a world in crisis and two human beings travelling through it, of how we live now and how we might live tomorrow."
 なるほど。たしかにこれはまず恋愛小説である。が、こと恋愛という点に絞ると、最初こそおもしろいけれど、途中からつまらなくなる。あ、これは、多くの現実の恋人たちとおなじ流れかもしれませんな。
(写真は、宇和島市宇和津小学校。背景の山を除くと、昔の面影はあまりない。小6の1年間だけ通った学校だが、近所に亡き伯母の家があったので、べつの小学校に上がる前から校庭でよく遊んだものだ)