ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Allan Silitoe の “The Loneliness of the Long Distance”

   はてなブログに切り替えてから依然、工事中。過去記事の分類で忙しい。そこで気がついたのだが、大昔アマゾンに投稿後、削除したレビューのうち、まだ本ブログでは一度もアップしていないものがあった。きょうはそれでお茶を濁しておこう。周知のとおり、Silitoe の代表作(1959)である。(追記:その後あらためて検索したところ、2008年12月に昔の記事として公開していたことを発見しました)。 

Loneliness of the Long Distance Runner (Flamingo Modern Classic)

Loneliness of the Long Distance Runner (Flamingo Modern Classic)

 

[☆☆☆★★★] 短編集を読みおえたあとで目次を見かえすと、これなんの話だっけ、ということがよくある。が、本書は内容をおぼえているものがけっこう多く、その意味でも水準を超えている。表題作はあまりにも有名だが、鬱屈した若者と、月なみな価値観しかもたぬ大人との対立はいまや青春小説の定番。「怒れる若者たち」が一世を風靡した当時はさておき、現代の若い読者には、いかほどの衝撃を与えることだろう。しかしながら、ガキ大将とその手下が成人したのちに再会する最終話『フランキー・ブラーの没落』は、情感あふれるみごとな仕上がりで、文句なしに星4つ以上。そのガキ大将の胸のうちを思いやるとき、そこに静かな怒りを感じるひともいるかもしれない。