ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Journey to the End of the Night” 雑感

 きょうは仕事始め、と言いたいところだが、じつは三が日もちょっとだけ〈自宅残業〉。元日も例年どおり鶴岡八幡宮に初詣のあと、お雑煮が出来るまでデスクに向かっていた。

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 3日にひと区切りがつき、4日からべつの作業を開始。どれも自分で企画した仕事なので、サボろうと思えばいくらでもサボれるのだけど、気になるといえば、これまたいくらでも気になってしまう。一種の仕事中毒かな。ともあれ、テンプながら最後のおつとめと思ってがんばっている。
 おかげで読書のほうはカタツムリくんペースだが、『ツバキ文具店』はやっと読みおえた。寝床の中で2ヵ月くらいかかった。八幡宮など、なじみのある場所が出てくる小説を読んだのは久しぶり。とてもよかった。
 "Journey to the End of the Night" はといえば、ようやく終盤に差しかかったところ。この雑感を書く前に前回までの記事を読み返したら、なんとタイトルから Journey が抜けていた。あわてて訂正したけど、こんなことでレビューなんて書けるのかな。
 暫定的な評価としては、相変わらず☆☆☆☆★。★(約5点)を追加すべきかどうか迷っている。人類全体への呪詛というか猛烈な罵詈ザンボーの嵐が吹き荒れ、Céline は人間を愚劣で不条理な存在と見なし、正義や理想、愛などプラスの価値を全否定しているかのようだ。
 が、主人公の Bardamu は心優しい女 Molly に惹かれたり、友人の Robinson を見捨てたことで良心の呵責を覚えたり、上のような呪詛とは裏腹に純情な側面も見せている。それから、型破りの小説のようでいてバルザック的な人間観察の妙も楽しめ、またブラック気味ながらユーモアあり、ドタバタ喜劇あり、必ずしも「プラスの価値の全否定」と言えないような気もする。そのあたり、じっくり見極めようと思っている。