ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2021年ブッカー賞ショートリスト予想

 ブッカー賞ショートリストの発表日が迫ってきた(ロンドン時間9月14日)。一次候補作全13冊のうち、ぼくがいままで読んだのはたった4冊だけだが、いちおう現地ファンのまねをして、4冊のランキングがてら最終候補作を予想しておこう。
1. The Promise(☆☆☆★★★)
2. A Passage North(☆☆☆★★)
3. Second Place(☆☆☆★★)
4. Bewilderment
5. The Fortune Men
6. No One is Talking About This(☆☆★★★)
 去年はロングリストの発表前から "Shuggie Bain"(☆☆☆★★★)が人気を博し、実際大方の予想どおり栄冠に輝いたわけだが、今年はどうも本命不在、混戦模様のような気がする。ぼくが1位に挙げた "The Promise" にしても、ほんとうは☆☆☆★★と☆☆☆★★★の中間くらい。Damon Galgut 自身の旧作で2010年の最終候補作、"In a Strange Room" のほうがずっとよかった(☆☆☆☆)。
 "Bewilderment" と "The Fortune Men" は未読だが、現地ファンの下馬評をもとに選んでみた。"Bewilderment" の発売日は今月21日。ぼくは米アマゾンで予約注文している。日本経由だと、当日に発売延期になったことが最近3回もあり、当てにならない。
 発売前なのに "Bewilderment" が注目されているのは、Netgalley を利用してデジタル版を読んだレビュアーがいるからだが、日本でも利用可能かどうかは不明。たとえ可能だとしても、紙にこだわるぼくは関心がない。"The Fortune Men" のほうはすでに刊行されているが、もし入選したら読んでみよう。
 それにしても、"No One is Talking About This" の評判がいいのは、ぼくにはまったく解せない。とりあえず6位に挙げたけど、本音としては選外。好意的に考えれば、文学の守備範囲は広い、ということなんだろうけど、悪意で裏を読めば、文学が政治に毒されているのではないかしらん。
 "Klara and the Sun" はどうした、という声が聞こえてきそうだが、ぼくは刊行前から興味がなかった。入選してもパスするつもり。なぜかというと、ううむ、ヘソ曲がりの嗅覚のせいですな。なんとなく、Kazuo Ishiguro はもう面白くなさそう。

(写真は、高知県四万十川の岩間沈下橋。ほかにも有名な沈下橋はあるが、地元に住む友人の話では、見物にはここがいちばんオススメとのこと)

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