ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Patrick Modiano の既読作品一覧とゴヒイキ作品ベスト3

 前回採りあげた "The Occupation Trilogy" で、架蔵している Modiano 作品はすべて読了。ほかに何冊か気になるものはあるが、いますぐ読みたいほどではない。そこで既読作品一覧をアップするとともに、My Favorite 3 を選んでみることにした。
 その前にまず簡単なモディアノ中毒歴を。ぼくはいまでこそ軽度の患者だけど、Patrick Modiano という名前を見かけたのはそう昔のことではない。2016年11月の記事から引用すると、「先月の中ごろ、ガーディアン紙の連載記事 'Tips, links and suggestions: what are you reading this week?' をながめていたら、背表紙の写真だけだったが、なんとなく気になる本が載っていた。"Paris Nocturne"。蠱惑的なタイトルである。さっそくネットで検索。カバー写真をひと目見て迷わず注文した。このタイトルでこのカバーなら、読者が飛びつくこと間違いなし、という出版社の読みどおりのジャケ買いである。フランス語の原題は "Accident nocturne"。英訳タイトルのほうがずっといい」。
 当時は、Modiano が2014年にノーベル文学賞を受賞したことも知らなかった。その後、退職と前後して何冊か読み、すっかりファンに。まさに「遅れてきた老人」である。
 さて上の "Paris Nocturne" を皮切りに、いま数えると計15冊通読("The Occupation Trilogy" は3分割)。こんなに英語でたくさん読んだ作家は、ほかに Iris Murdoch(17冊)、William Faulkner(16冊)、Graham Greene (14冊)くらいしかいない。
 その15冊のなかからゴヒイキ3作を選んでみると、上の事情で "Paris Nocturne" は外せない。それから "Dora Bruder" も当確。つぎに "Suspended Sentences" か。点数的には "La Place de l'Étoile" のほうが上だけど、もういちど読むのはしんどい。というわけで、この3冊に決定。
 ゴンクール賞に輝いた "Missing Person" を落とすなど、たぶん世評とはちがっていると思う。再読したらどうなるかわからない。いま現在のゴヒイキということで。
 以下、既読作品一覧をフランス語原書の刊行順にアップしておこう。(後日追加した場合は、そのつどこの記事を更新します)。

1. La Place de l'Étoile(1968 ☆☆☆☆)

2. The Night Watch(1969 ☆☆☆★★★)

3. Ring Roads(1972 ☆☆☆★★★)

4. Villa Triste(1975 ☆☆☆★★)

5. Missing Person(1978 ☆☆☆★★)

6. Young Once(1981 ☆☆☆★★★)

7. Sundays in August(1986 ☆☆☆★)

8. Honeymoon(1990 ☆☆☆★)

9. Suspended Sentences(1993 ☆☆☆★★★)

10. Dora Bruder(1997 ☆☆☆☆)

11. Paris Nocturne(2003 ☆☆☆☆)

12. In the Café of Lost Youth(2007 ☆☆☆★★)

13. The Black Notebook(2012 ☆☆☆)

14. So You Don't Get Lost in the Neighborhood(2014 ☆☆☆★★)

15. Invisible Ink(2019 ☆☆☆)

(下は、この記事を書きながら聴いていたCD)