ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2024年ブッカー賞ぼくのランキング

 この秋口から喘息、さらには腰痛に悩まされ、超絶不調。なにを読んでいても、ちょっと面白くないなと思っただけで小休止、あげくに大休止。おかげで例年と異なり、ブッカー賞の発表当日になっても私的ランキングを公開できなかった。(そうそう、去年は去年で発表日を勘違いし、公開はやはり後日だった)。
 それでもきのう、やっと今年の受賞作を読みおえ、未読の最終候補作もあと二冊。とりあえず暫定ランキングなら作成できそうだ。(いまチェックすると、去年も完成したのは年末だった)。
 その前にまず、現地ファンの投票結果による最終候補作のランキングを紹介しておこう。
1. James
2. Stone Yard Devotional
3. Orbital
4. Held
5. Creation Lake
6. The Safekeep
 ぼくのランキングも似たようなもので、きょう現在つぎのとおり。

1. James(☆☆☆★★)

2. Stone Yard Devotional(☆☆☆★★)

3. Held(☆☆☆★)

4. 
5. Orbital(☆☆★★★)

(未読につき番外)

The Safekeep (English Edition)

The Safekeep (English Edition)

Amazon

 空白に入る予定の Creation Lake は先ほど、この記事を書きながら読みだしたところ。まだなんともいえないが、Orbital よりは面白そう。それどころか、もしかしたら、もっと上をねらえるかもしれない。The Safekeep はロングリストの段階から人気薄だったのでパス。
 上のリストを見て率直に思ったのは、「例年、ブッカー賞の低調ぶりを嘆くのは決まりごとかもしれないけれど、今年はほんとうに低調だった」。
 これは2022年の記事からの引用で、同年の1位は☆☆☆★★★。2位が☆☆☆★★で、3~6位は☆☆☆★。

 ついで、「ところが今年は、その去年以上に低調だった」と書いたのが2023年。このときは、1~5位すべて☆☆☆★★。

 してみると、今年はさらに低調だった。そのひと言につきる。ブッカー賞といえば、世界文学の最先端をいく最新最高の傑作・秀作が受賞するもの、というイメージがあるが(ぼくがブッカー賞の存在を知った今世紀初頭の印象)、いまやまるでぼくの体調・老衰ぶりを象徴しているかのようだ。しかし実際はおそらく、文学の水準が低下したのではなく、読み手の側、つまりぼく自身の読解・鑑賞力が落ちたということだろう。
 それでもやはり、文学の水準低下は否めない。一連のブッカー賞関連作品に取り組む前、ぼくはたまたま今年ずっと、十九世紀英米文学の古典巡礼に出かけていた。とそう書いただけで、ぼくのいいたいことが伝わるのではないか。

 読んだばかりの Orbital はさておき、ふりかえると内容を憶えているのは James くらい。ショートリストにはのこらなかったが、My Friends もなかなかよかった。

 その James にしても My Friends にしても、二十一世紀のマイルストーン的な作品とはいいがたい。
 そういえば、ガーディアン紙につづき、ニューヨーク・タイムズ紙も今世紀のベスト100作品を発表しているけれど、なにしろまだ四分の一世紀だ。単純計算で25作品のところ、四倍水増しした結果としか思えない。へえ、アメリカ人はあんな本が好きなんだ、とニヤニヤしましたけどね。
https://www.theguardian.com/books/2019/sep/21/best-books-of-the-21st-century
https://www.nytimes.com/interactive/2024/books/best-books-21st-century.html
 以下、後日この記事に加筆する予定です。