下の写真を撮ったあと、気になる箇所を修復していたら、またしても艦尾の旗竿を折ってしまった。

とにかく艦船模型はむずかしい。ほんとうは空中線を張ると、さらにホンモノらしくなりそうなのだけど、作業中に旗竿のほか艦橋やマストなどもぶっ壊しそう。このへんが潮どきですな。
洋書のほうは、先日から Lorrie Moore の "I Am Homeless If This Is Not My Home"(2023)を読みはじめたところ。ご存じ去年の全米批評家協会賞受賞作だが、周回遅れの着手になってしまったのは、去年のいまごろは古典巡礼の最中だったから。
今年の同賞候補作の顔ぶれを見ると、去年の全米図書賞と同じく "James" と "My Friends" の一騎打ちになりそうだ。こんどは後者に花を持たせてあげたいですな。
周回遅れといえば、去年国際ブッカー賞を獲得した表題作も似たようなものだ。現地ファンはもっか、例年どおり同賞の「ロングリスト候補作」予想で盛り上がっている。
前にも紹介したが、Jenny Erpenbeck(1967 - )はドイツの著名な作家で、ぼくもどこかで聞いた名前だなと既読書リストを調べたら、"The End of Days"(2012, 英訳2015)を読んだことがあった(☆☆☆★)。
その内容は例によってすっかり失念していたが、レビューを読んで思い出した。「死者の復活とSFのパラレル・ワールドに近い展開を導入」した作品で、「この斬新なアイデアも最初のうちこそ効果的だが、なんどもヒロインが『よみがえる』うちにパターンが鼻につき、飽きがくる」。
表題作もアイデアこそ異なれ、終盤近くまでこの「退屈パターン」かと思っていた。
書き出しはなかなか魅力的だ。Will you come to my funeral? / ... Will you come to my funeral, he says again./ Why funeral―you're alive, she says.(p.5)
これがプロローグの冒頭で、つぎに本篇。On that Friday in July, she thought: Even if he comes now, I'm still going./ On that Friday in July, he spent all day over two sentences. Who knew writing was this hard, he thought./ She thought: I've had it up to here with him./ He thought: And it's not getting any better.(p.11)
以下ずっとこんな調子で視点変化がつづき、ふたりの馴れそめが説明されたあとも、It feels good to be walking beside him, she thinks./ It feels good to be walking beside her, he thinks.(p.19)
やがて she thinks, he thinks も省略され、気をつけて読まないと、どっちの話かわかりにくいこともあるが、なかなかおもしろい。「当初、両者のことばと思いが切れ目なく交錯する、いわば『融合話法』に惹かれる」。
しかもそのうち、she が若い女で、he が彼女の父より十歳も年上の妻子ある男と知ったぼくは、が然興味がわいてきた。(つづく)