ロンドン時間で八日、今年の国際ブッカー賞のショートリストが発表された。いま現地ファンの下馬評をチェックしたところ、ランキングはこうなっている。
1. Small Boat by Vincent Delecroix
2. On the Calculation of Volume I
3. Heart Lamp by Banu Mushtaq
4. Perfection by Vincenzo Latronico
5. Under the Eye of the Big Bird by Hiromi Kawakami
6. A Leopard-Skin Hat by Anne Serre
へえ、Hiromi Kawakami ですか。どうやら『大きな鳥にさらわれないよう』の英訳のようだけど未読。べつに英語で読まなくてもいいのではと思い、ぼくは上の1, 2 だけアマゾンUKに注文した。値段は高いが日本経由より早いし確実に届くからだ。
じっさい届いたら中断するのか併読なのか決めてないけど、前回の記事アップ後、ふたたび "Bleak House"(1853)に取りかかった。しかしまだ最後まで読みきる自信はない。
なにしろ辞書なみの分厚さで、しかも小さい活字がぎっしり。左ページを読むときは、背表紙を底にして右側を立てている。当然、持ち運びに不便なので外出時は中断。きょうも最寄り駅近くのカルディへコーヒーを買いにいくとき、バスのなかではまず『敦煌』を読みおえ、ついで Muriel Spark の "The Prime of Miss Jean Brodie"(1961)を手にした。
先週の帰省旅行のさい、『敦煌』は帰りの新幹線の車中、"After the Circus" のあとに読みはじめ、一気に第十章まで進んだのだけど、帰宅後いままでほったらかしだった。物語としてはその章、趙行徳が敦煌の仙仏洞へとむかう途中の格闘シーンがクライマックスだったようだ。
"The Prime ... " は "Bleak House" の正反対で、とにかく短くて薄いものを、という理由で選んでみた。Miss Brodie は裏表紙の紹介によると romantic, heroic, comic and tragic, unconventional schoolmistress。そんな彼女の異色ぶりと、活きいきしたリズミカルな文体がみごとにマッチしている。でも家に帰るとまた大冊。どちらも中途半端になりそうなイヤな予感がする。
さて "Brotherless Night"(2023)。着手するまで、スリランカ内戦(1983 - 2009)の話とは知らなかった。ぼくはスリランカよりセイロンというほうがピンとくる世代なので、内戦のことも知識は皆無。
いや、2021年のブッカー賞最終候補作 "A Passage North"(2021 ☆☆☆★★)と、2022年のブッカー賞受賞作 "The Seven Moons of Maali Almeida"(2022 ☆☆☆★★)を読んだことがあり、ああ、あの内戦か、と名称くらいは思い出した。
この三冊のなかで芸術的にもっともすぐれているのは、おそらく "The Seven ... " だろう。が、内戦の現実をよく伝えるものとしては、たんなる門外漢の感想だが、"Brotherless Night" がいちばんなのではないか。前の二冊を読んだときは、これほどひどい内戦だったとは思わなかった。
たとえば、とその惨状を紹介するのもはばかられる。「行間から血と涙があふれてくるような、作者がまさに心血をそそいだ渾身の力作である」。その苦労を思うと、星印で採点するのも不謹慎のような気がする。(つづく)
(写真は、宇和島市内の伊達家菩提寺、龍華寺境内の桜。手前の墓は、初代藩主秀宗に仕えた家老、桑折宗臣の墓。桜の名所の丸山公園や城山には登らなかったけど、平地ではこの桜がいちばん美しかった)
