ああもう、大みそか! 年をとるにつれて一年が短く感じられるのは、一年が年齢分の一だから、という説を異なるふたつの出典で読んだことがある。ひとつは、アインシュタインの説とあったような気もするが未確認。
ともあれ、きょうは朝から大掃除。ひと休みして年越しそばを早めに食べ、やっと第九を聴きながら年納めの駄文を書けるようになった。
今年の漢字は「熊」だったそうだが、ぼく自身はなんといっても「病」。つい十月まで、まあボチボチだったけど、それ以後、人生初の手術入院にはじまり、何科であれ病院・クリニックに行かなかった週はないかもしれない。一日早いけど、門松や冥土の旅の一里塚、ですな。
さて、今年はベスト小説ではなく、ひさしぶりに三冊選ぶことにした。なにしろ、正真正銘ベストといえるのは "Bleak House"(1853)。読む前から点数も決まっていたようなものだが、やっぱり文学史にのこって当然の名作でした(☆☆☆☆★★)。
が、いくらマイベストといっても、さすがに Dickens 先生を今年のイチオシにするわけにはいかない。
そこで現役バリバリの作家の出番となるわけだが、こちらは明らかに分がわるい。いま読書リストをチェックしたところ、☆☆☆☆は四冊あったが、どれも二十世紀の作品である。
リアルタイムでは、近年のものもふくめ、☆☆☆★★★が最高だった。
このうち、いちばん心にのこっているのは今年の女性小説賞に輝いた "Safekeep" だが、これは周知のとおり去年のブッカー賞最終候補作。今年のベストというには、ちょっとためらいがある。
また "Brotherless Night" は去年の女性小説賞受賞作で、これも周回おくれ。さりとて "Lonliness ... " も "Flashlight" も長すぎて、けっこう退屈な部分もあったしなぁ。
などなど、いろいろ考えたすえ、けっきょく "Safekeep", "Lonelines ... ", "Flashlight" を2025年ぼくの三冊に決定しました。
ブッカー賞の総括記事でも書いたが、「来年いや再来年は巷間、世界情勢が激変するかもしれないといわれている」。なにを根拠に? ほら、あれですよ、あれ。
では、文学界で情勢の変化に即応した作品が生まれるかとなると、それはたぶんムリ。日本はさておき、海外の作家はおおむね、執筆に何年も時間をかけて新作を発表している。つまり刊行は来年でも、以前から練りに練られた作品しかまず出てこないものと思われる。時代の先どり? それはおそらく至難のわざではないかしらん。
しかしながら、変化がどうあれ、いつの時代でも変わらぬ人間性の本質を衝き、それを言語芸術としてみごとに表現するのが作家の使命だと、ぼくは思っている。そんな作品を現代ふうにアレンジするのが腕の見せどころだろう。
みなさま、どうぞよいお年を。
(つい先日、BBの訃報を耳にした。そこで急遽、『ラムの大通り』を再見。幕切れでリノ・ヴァンチュラが映画館でひとりBBに見いるシーンが最高だった。『今夜ロマンス劇場で』も、あんなふうに締めくくると綾瀬がもっとステキだったかも)
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