ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Trade Paperback ベストセラーの功罪

 今、Marisa de los Santos の "Love Walked In" を読んでいるところだが、とても快調で面白い。たしか春先に何週か連続で、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに入っていた。
 洋書ファンのご多分に洩れず、ぼくも同リストはわりとまめにチェックしている。といっても、Trade Paperback 部門が中心で、ハードカバーのほうはざっとしか見ない。リアルタイムで新刊を追いかけるにはお金がかかるからだ。評価が高くて魅力的な表紙の本を見かけるたびに、辛抱辛抱、と自分に言い聞かせている。
 今年になって読んだ Trade Paperback のベストセラーは、当たりが2冊で、Lisa See の "Peony in Love http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080427/p1 と、Jenna Blum の "Those Who Save Us" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080517/p1。特に後者はおススメだ。
 一方、外れもあり、今週もトップを走っている William P. Young の "The Shack"。ぼくには人気の秘密がさっぱり分からない。http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080622/p1 まあ、ベストセラー・リストなるもの、いちおうの目安にしかならないという好例で、これは何も Trade Paperback に限った話ではない。
 Trade Paperback ならではのメリットを挙げると、だいたい1年間、中にはそれ以上の「時の試練」を経ているため、ハードカバーより外れが少ないのでは、という気がする。ハードカバーはめったに買わないので断言はできないけれど、常識的に妥当な推測だろう。
 このメリットはしかし、デメリットでもある。今週のリストを見ても、おなじみの本、おなじみの作家がほとんどで、ケッ、またかよ、とうんざりする。それに較べると、"Love Walked In" はベストセラー入りが短かったほうだ。まめにリストをチェックして、「新顔」で波長の合いそうな本を読む、というのがうまい利用の仕方なのかもしれない。