ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

東欧文学

Georgi Gospodinov の “Time Shelter”(1)

数日前、今年の国際ブッカー賞受賞作、Georgi Gospodinov の "Time Shelter"(2020, 英訳2022)を読みおえたのだけど、例によって散漫な読みかたが災いし、きょうまでなかなか感想をまとめる気にならなかった。Gospodinov はブルガリアの作家で、本書は彼の…

Olga Tokarczuk の “Flights”(4)

本書の目玉のひとつは解剖学にかんする断章だろう。人体や内臓の標本を展示した博物館、17世紀の死体解剖の話など、いわば怖い物見たさも手伝ってかなり面白い。奇書と言ってもいいほどだ。が、それとタイトル "Flights" との関係はどうなのか。 そう疑問に…

Olga Tokarczuk の “Flights”(3)

論より証拠、と俗に言うが、この出典が〈江戸いろはかるた〉だとは先ほど調べるまで知らなかった。調べようと思ったのは、どこかの国の政界やマスコミのあいだで空理空論の思い込みが蔓延しているような気がしたからではない。この "Flights" で示されている…

Olga Tokarczuk の “Flights”(2)

最終的な評価は☆☆☆★★にしたけれど、途中はこれ、かなり退屈な本だった。ソファに寝転がって読んでいると、ついウトウト。目が覚めると、聴きはじめたはずのブルックナーがもう終わり、ということがよくあった。ブルックナーがいけなかったのかな。 もちろん…

Olga Tokarczuk の “Flights”(1)

ゆうべ、今年の国際ブッカー賞受賞作、Olga Tokarczuk の "Flights"(2007)を読了。原語はポーランド語。さっそくレビューを書いておこう。(後記:その後 Olga Tokarczuk はノーベル文学賞を受賞しました)Flights作者:Tokarczuk, OlgaRiverhead BooksAmaz…

Magda Szabo の “The Door” (1)

しばらく前に読了していたのだが、レビューらしきものを書く時間がなかなか取れなかった。おかげで印象が多少薄くなった感は否めない。 反面、いまだに心に強く残っているところもある。それがこの作品の本質にかかわっていることを願いつつ、やっと駄文を綴…

Sandor Marai の “Embers” (1)

ハンガリーの作家 Sandor Marai(ハンガリー語の表記は Marai Sandor)の "Embers" を読了。初版は1942年刊。本書は2001年に出された英訳版である。さっそくレビューを書いておこう。Embers (Vintage International)作者:Marai, SandorVintageAmazon[☆☆☆★★★]…

Ismail Kadare の “The Ghost Rider” (1)

諸般の事情で長らく読書もブログもサボっていたが、きょう改めて Ismail Kadare の "The Ghost Rider" に取り組み、なんとか読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。The Ghost Rider作者:Kadare, IsmailCanongate BooksAmazon[☆☆☆★★] 中世アルバニアの…

Ismail Kadare の “The Palace of Dreams” (1)

アルバニアの有名な作家 Ismail Kadare の代表作のひとつ、"The Palace of Dreams" を読みおえた。原作は1981年に出版され、英訳は同93年刊。さっそくレビューを書いておこう。The Palace Of Dreams作者:Kadare, IsmailVintage ClassicsAmazon[☆☆☆★★] 恐怖の…

Eva Stachniak の “The Winter Palace” (1)

この連休、最低2冊は読みたいと思っていたのだが、何かと所用があり、結局1冊しか読めなかった。今年の2月ごろからアマゾン・カナダでベストセラーとなっている Eva Stachniak の "The Winter Palace" である。さっそくレビューを書いておこう。The Winte…

David Bezmozgis の “The Free World” (1)

今日は話題の映画、『ドラゴン・タトゥーの女』をかみさんと一緒に観に行ったあと、帰りの電車の中で、昨年のギラー賞最終候補作、David Bezmozgis の "The Free World" を読みおえた。一杯やりながらではあるが、さっそくレビューを書いておこう。The Free …

Ruta Sepetys の “Between Shades of Gray” (1)

今日は土曜出勤だったが、帰りのバスの中で何とか読了。ノンフィクションなどもふくめ、アマゾンUKが選んだ10冊の Best Books of 2011 のひとつである。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Between Shades Of Gray作者: Ruta Sepetys出版社/メー…

Tea Obreht の “The Tiger's Wife”(1)

今年のオレンジ賞受賞作、Tea Obreht の "The Tiger's Wife" を読了。さっそく例によってレビューを書いておこう。Tiger's Wife作者: Ta Obreht出版社/メーカー: Phoenix発売日: 2011/06/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 13回この商品を含む…

Mark Slouka の "The Visible World"(1)

Mark Slouka の "The Visible World" をやっと読みおえた。いつものようにレビューを書くまわりだが、もっか帰省中なので、昨日と同じくケータイからこれを打ちこんでいる。いやはや、面倒くさいことこの上ない。The Visible World: A Novel作者:Slouka, Mar…