ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

“Sunset Park”雑感(2)

今日も朝のうちは仕事に励み、午後から本書に取り組んだ。快調また快調、クイクイ読める。Auster の本はいつもそうだが(と言えるほど旧作を読んでいるわけでもないが)クイクイ度抜群である。「去年の "Invisible" のほうがもっと面白かった」という昨日の…

“Sunset Park”雑感(1)

まず Nicole Krauss の "Great House" について付言しておこう。ここに出てくるユダヤ人はその心の葛藤を通じてほんとうに生きた人物として描かれている。その点、今年のブッカー賞を取った Howard Jacobson の "The Finkler Question" とは大違いで、ぼくは…

Nicole Krauss の “Great House”

またまた大幅に予定より遅れてしまったが、今年の全米図書賞(National Book Award)の候補作のひとつ、Nicole Krauss の "Great House" を何とか読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。Great House作者: Nicole Krauss出版社/メーカー: Viking発売日…

“Great House”雑感(6)

今日はえらく冷えこみ、そのせいか風邪の熱がぶり返して終日頭が重かったが、それでも最後から2番目の話、"Swimming Holes" の続編を何とか読みおえた。これはつらい物語だ。 主人公は第1部と同じくロンドンに住む大学教授で、長年連れ添った妻がアルツを…

“Great House”雑感(5)

今日は昨日より少し体調がよく、相変わらずカタツムリ君のペースではあるが、何とか次の1話、"All Rise" の後編を読みおえた。前編は第1部の第1話だが、これは第2部第2話。なぜ順番が入れ替わったのかはよくわからない。 ともあれ主人公は前と同じ中年…

“Great House”雑感(4)

仕事のヤマは何とか越えたが、今度は風邪をひいてしまい絶不調。やっぱり年ですなあ。 おかげで今日は次の1話、"True Kindness" の続編を読むのがやっとだった。それでもこれまた心にしみる短編で、とりわけぼくのように、成人したドラ息子やドラ娘をかかえ…

“Great House”雑感(3)

この土日も超多忙で「自宅残業」に明け暮れたが、がんばって1話だけ読み進んだ。まるでカタツムリ君である。 これはやはり連作短編集のようだ。第1話でちらっと顔を出したチリの青年詩人の娘が、ここではどういうわけかユダヤ人のアンティーク商の娘となっ…

“Great House”雑感(2)

仕事が佳境に入り、残業もしっかりこなして帰宅。それでも次の1話、"Swimming Holes" を読みおえた。これは心にしみる秀作短編だ。読了後、ふっと溜息をついてしまった。 昨日、本書は「どうも長編ではな」く、「人物的におそらく関係のない独立した」短編…

“Great House”雑感(1)

今年の全米図書賞(National Book Award)候補作、Nicole Krauss の "Great House" に取りかかった。Krauss といえば "The History of Love" が有名だが、ぼくは恥ずかしながら未読。手持ちのペイパーバックによると同書は2005年刊。5年前はまだ、おおむね…

2010年ブッカー賞ロングリスト候補作「面白度」ランキング(暫定版)

今年は珍しく、ショートリストに残らなかった候補作を5冊も読んだので、ロングリストだけの「面白度」格付け遊びをしてみよう。個人的には、上位2、3作くらいはショートリストに選ばれてもよかったのではないかと思っている。レビューはすべて再録である…

Helen Dunmore の “The Betrayal”

予定より大幅に遅れてしまったが、今年のブッカー賞ロングリスト候補作、Helen Dunmore の "The Betrayal" をやっと読みおえた。例によってさっそくレビューを書いておこう。The Betrayal作者: Helen Dunmore出版社/メーカー: Fig Tree発売日: 2010/04/29メ…

“The Betrayal”雑感(3)

いやはや、それにしても昨日のブッカー賞の発表には驚いた! なにしろ、ぼくが「栄冠に輝かないことを切に祈る」とまで酷評した Howard Jacobson の "The Finkler Question" がまさに栄冠に輝いてしまったのだから、選考委員諸氏のことを思うと、「この世に…

2010年ブッカー賞発表(Man Booker Prize 2010)

しばらくブログをサボっているうちに今年のブッカー賞の受賞作が発表された。ぼくの「面白度」ランキングで最下位だった Howard Jacobson の "The Finkler Question" である! ぼくは本書の読了後、読んだ時間を返してくれ、と言いたくなるほどの駄作だと思…

“The Betrayal”雑感(2)

ああ、リョサがノーベル文学賞を取ってしまった! 恥ずかしながらぼくは、積ん読のペイパーバックが2冊あるだけで未読。ぼくのようなサラリーマン洋書ファンが英米の新作を追っかけていると、英米にかぎらず世界の古典名作を catch up する時間が取れない。…

“The Betrayal”雑感(1)

8月に読みたかった本が何冊かあり、ほんとうはそちらのほうが気がかりなのだが、まだ読み残している今年のブッカー賞のショートリスト落選候補作を今読んでおかないと、たぶん永久に積ん読になってしまうだろう。ということで、Helen Dunmore の "The Betra…

2010年ブッカー賞最終候補作「面白度」ランキング(Man Booker Prize 2010 shortlist)

ブッカー賞の最終候補作を今年初めて(と思ったら、07年に続いて2回目だった)発表前にぜんぶ読みおえた。そこで予想がてら、恒例の「面白度」ランキングを発表しておこう。レビューはどれも再録で、( )内は現時点の William Hill による人気順とオッズを…

Damon Galgut の “In a Strange Room”(2)

今はどうか知らないが、少し前だと雑感(1)にも書いたとおり、日本のアマゾンではなぜかどの版も入手が遅れそうだったので急遽、アマゾンUKからわざわざハードカバーを取り寄せた。おかげで大枚をはたいてしまい、月末にかみさんから大目玉をくいそうだが…

Damon Galgut の “In a Strange Room”(1)

今日は朝のうち「自宅残業」に励んだが、昼過ぎから本書の残りに取り組み、ジョギングに出かける前に何とか読みおえた。これで今年のブッカー賞最終候補作をぜんぶ読了したことになる。さっそく例によってレビューを書いておこう。In a Strange Room作者:Gal…