2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
Eowyn Ivey の "The Snow Child" を読了。米アマゾンが選んだ2月の優秀作品のひとつで、英米アマゾンの小説部門でベストセラーになっている。さっそくレビューを書いておこう。(後記:その後本書は、2013年のピューリツァー賞最終候補作に選ばれました)。…
先週の木曜に読みおえた Santiago Roncagliolo の "Red April" が予想外に重かったので、軽めのもので口直しをしたくなった。そんなときは文芸エンタメ路線にかぎる。そこで手に取ったのが、この "The Language of Flowers" というわけである。去年の暮れ、…
Vanessa Diffenbaugh の "The Language of Flowers" を読了。アマゾンUK が選んだ去年のベスト小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。The Language of Flowers作者:Diffenbaugh, VanessaPan BooksAmazon[☆☆☆★★★] 泣けた。途中からおおよその…
読みはじめたとき、こんなに重い作品だとは夢にも思わなかった。それどころか、雑感でもふれたとおり、ポリティカル・スリラーと知って軽く考えていたくらい。その後、「ぐっと深みが出てきつつある」ことに気づいたものの、まさかこれほど重かったとは。お…
昨年のインディペンデント紙外国小説最優秀作品賞(Independent Foreign Fiction Prize)の受賞作、Santiago Roncagliolo の "Red April" を読みおえた。これは一昨年、ガーディアン紙が選んだ年間ベスト小説のひとつでもある。さっそくレビューを書いておこ…
本書がポリティカル・スリラーとわかったときは、正直言って、なんだミステリか、と思ったのだが(決してミステリをバカにしているのではなく、昔の恋人とヨリを戻したくないだけです。復縁すると夢中になりそうなので)、これ、なかなかいいですな。作品に…
昨年のインディペンデント紙外国小説最優秀作品賞(Independent Foreign Fiction Prize)の受賞作、Santiago Roncagliolo の "Red April" に取りかかった。先週末はほかの本を読んでいたのだが、昨日の午後に届いた本書をパラパラやると、なんとなく惹かれる…
今日は少しだけ、Andrew Miller の "Pure" について補足しておこう。「作者は本書を通じていったい何を訴えたかったのだろう、こんな『裏話』を採りあげることにどんな意味があるのか、と疑ってしまう」と昨日書いたあと、ぼくなりに作者の意図をいろいろ推…
去年の11月にコスタ賞のショートリストが発表されたときは、ブッカー賞を取った "The Sense of an Ending" もノミネートされていることに話題が集中したようだが、ぼくはハナからダブル受賞はないと思っていた。みなさんはブッカー賞というと大騒ぎしますが…
今年のコスタ賞最優秀作品賞に輝いた Andrew Miller の "Pure" を読了。例によってまずレビューを書いておこう。Pure作者:Miller, AndrewSceptreAmazon[☆☆☆★] 1785年、パリ。田舎の青年技師ジャン=バプティスト・バラッテがヴェルサイユ宮殿に呼ばれ、ペスト…
昨日に引きつづき、モームの『世界の十大小説』を引用しながら、"The Marriage Plot" とオースティンの作風の共通点を探ってみよう。 「『高慢と偏見』は…最初の文章を読んだだけで、直ちに愉快な気持になる。…この文章で作品全体の調子が定まり、初めに感じ…
「この "The Marriage Plot" にはトロロープやオースティンなどの作品への言及があるが、そういう原作を読んでいたら本書はもっと興味ぶかく読めるのでは、という気がする」と書いたときは、これまた途中の単なる直感にすぎなかったのだが、読後の今はますま…
デカサイズ版のペイパーバックは持ち運びに不便なので、しぶしぶ取りかかった本書だが、読みはじめてからしばらくして、全米批評家協会賞の「大本命かも」と直感的に思ったものだ。読後の今、その直感はかなり確信に近づいている。もし外れたら見解の相違と…
今年の全米批評家協会賞候補作、Jeffrey Eugenides の "The Marriage Plot" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Marriage Plot: A NovelAmazonThe Marriage Plot作者:Eugenides, JeffreyFourth Estate LtdAmazon[☆☆☆☆★] 作中人物の…
今年の全米批評家協会賞候補作、Jeffrey Eugenides の "The Marriage Plot" に取りかかった。著名作家の最新作とあってか、なんと去年10月の発売前から年間ベストにリストアップしているサイトもあったほどで、その後、米アマゾンで月間ベスト、ついで年間ベ…
雑感にも書いたとおり、本書は全米図書賞というメジャーな賞を取ったわりには、少なくとも昨年末の時点では英米の各メディアからほとんど無視されていた。今回読んでみて、ぼくなりに受賞理由と、それから黙殺の理由もわかったような気がする。 まず、これは…
昨年の全米図書賞受賞作で、今年のアレックス賞受賞作のひとつでもある Jesmyn Ward の "Salvage the Bones" を読みおえた。例によってまずレビューを書いておこう。Salvage the Bones作者:Ward, JesmynBloomsbury Pub Plc USAAmazon[☆☆☆★] 疾風怒濤の青春時…
大変遅まきながら、昨年の全米図書賞受賞作 Jesmyn Ward の "Salvage the Bones" をボチボチ読みはじめた。全米図書賞というと、ぼくはどうも相性がわるく、何冊か読んだ最近の受賞作の中で、あれはわりとよかったな、といまだに思えるのは Colum McCann の …
昨日はちょっとだけレビューの補足を書こうと思ったのに、家に帰るともうヘトヘト。まるで頭が働かず、ダニエル・クレイグ主演の『007カジノ・ロワイヤル』を観たあと爆睡してしまった。これ、観ている途中で再見であることに気づいたのだが、アクション…
今年のアレックス賞受賞作のひとつで、去年の米アマゾン年間ベスト10小説にも選ばれた David Levithan の "The Lover's Dictionary" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Lover's Dictionary作者:Levithan, DavidPicador USAAmazonTh…