ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

“The Rings of Saturn” 雑感 (2)

おなじ作家の作品を読むのも2冊めとなると、初見のときには気づかなかったことも気になるものだ。 去年読んだ "Vertigo" と同様、この "The Rings of Saturn" も一種のトラヴェローグの体裁を取っている。いまのところ舞台はイギリス、サフォーク州の田舎。…

“The Rings of Saturn” 雑感 (1)

この2週間、あれに手を出したり、これに目が向いたり、いろいろ読みかじってみたが、どうもしっくりするものと出会わなかった。疲労困憊の毎日で、通勤電車の中で活字を追いかけているとすぐに眠くなる。歳のせいで夜の10時を過ぎると寝床が恋しくなる、と…

Alice Munro の “Dance of the Happy Shades” (4)

さて、第14話 'The Peace of Utrecht' である。文字どおり珠玉の短編集といえる本書の中で、ぼくがいちばんノックアウトされた作品だ。「長らく母親の介護に当たってきた姉と、母の死後、久しぶりに帰郷した妹が再会する」というのが粗筋だが、ネタを割る心…

Alice Munro の “Dance of the Happy Shades” (3)

雑感で報告したとおり、第1話をはじめ、本書の「特徴としていえることはまず、喜怒哀楽がストレートではなく遠回しに表現されていること」だとしばらく思っていたが、そのあと読み進むにつれ、途中までぐっと抑えていた感情が一気に爆発する話も出てきた。…

Alice Munro の “Dance of the Happy Shades” (2)

このところ連日超多忙で、本書の落ち穂拾いもままならなかった。 きょうはその前にまず、今年のブッカー賞について。受賞作の "The Luminaries" は未読だし、今後もすぐには読む気がしないが、落選した5つの候補作の出来ばえから判断して順当な結果かもしれ…

2013年ブッカー賞 (Man Booker Prize 2013)

イヤな予感が的中した。Eleanor Catton の "The Luminaries" が今年のブッカー賞を受賞! ショートリストのうち、1冊だけ読み残していたものだ。The Luminaries: A Novel (Man Booker Prize)作者: Eleanor Catton出版社/メーカー: Little, Brown and Compan…

Alice Munro の “Dance of the Happy Shades” (1)

先週は1日1話のスローペースで新ノーベル賞作家、Alice Munro の処女短編集 "Dance of the Happy Shades" を読んでいたが、連休最終日のきのう、久しぶりにまとまった時間が取れ、めでたく読みおえることができた。さっそくレビューを書いておこう。Dance …

“Dance of the Happy Shades” 雑感 (4)

いやはや、ゆうべはほんとに驚いた。1日1話の超スロー・ペースながら、自分がまさにいま読んでいる作家がノーベル賞を受賞するとは! べつに予想していたわけではない。それどころか、例年どおりノーベル文学賞なんてまったく関心がなかった。世のハルキス…

2013年ノーベル文学賞

ビッグニュースが飛びこんできた! なんと Alice Munro がノーベル文学賞受賞! ぼくはたまたま、彼女の第1短編集 "Dance of the Happy Shades" (1968) を読んでいる最中だけに、つい先ほどネットでニュースを知ったとたん、思わず「えっ」と叫んでしまった…

“Dance of the Happy Shades” 雑感 (3)

きょう、ようやく Eleanor Catton の "The Luminaries" が届いたが、こりゃまたなんじゃろかい、800ページ以上もある大作ではないか! 道理で注文をためらったわけだと思い出した。 さっそく手に取ってみたところ、これは本腰をいれて取り組くべき作品と直感…

“Dance of the Happy Shades” 雑感 (2)

きのうからまだ1話しか進んでいないが、Alice Munro って、やっぱりいいなあ、というのが率直な感想だ。 こう書くと昔からのファンのように聞こえるが、とんでもない。Munro の世界にふれたのは、今年の正月休みに読んだ最新短編集 "Dear Life" [☆☆☆☆] が初…

“Dance of the Happy Shades” 雑感 (1)

きのうの横浜は小雨模様、11月なみの肌寒さだったが、すでにチケットを予約をしていたので、仕事帰りに渡辺謙主演『許されざる者』を観に行った。とても重厚な作品で、オリジナル版より出来がいいのではないか。 クリント・イーストウッドのほうは、たしか決…

John Williams の “Stoner” (2)

雑感にも書いたが、これはたまたまアマゾンUKで見かけ、カバーが気に入ったので入手した。いわゆるジャケ買い、ぼく流にいうと〈見てくれ買い〉である。ハズレも多いが、当たったときの喜びはひとしおだ。これぞまさしく自己マンの極致。「唯我独尊、自分の…

John Williams の “Stoner” (1)

John Williams の "Stoner" を読了。1965年の刊行だが、今年になってヨーロッパ各国で翻訳がベストセラーとなり、おそらくその波及効果だろう、現在、アマゾンUKでも古典小説部門でベストセラーとなっている作品である。さっそくレビューを書いておこう。Sto…

“Stoner” 雑感

注文している Eleanor Catton の "The Luminaries" がまだ手元に届かないので、場つなぎに John Williams の "Stoner" を読んでいる。というか、もうほとんど読みおえた。とてもおもしろい。 これはたしか、去る7月ごろだったかアマゾンUKで見かけ、表紙が…

Jhumpa Lahiri の “The Lowland” (3)

この週末は、もし時間が取れたら『許されざる者』か『そして父になる』を見に行きたいと思っている。『許されざる者』はもちろんリメイク版のほうで、決闘場面がスカっとしなかったクリント・イーストウッド監督作品を上回っているかどうか興味がある。 『そ…