ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

コスタ賞

ウィットブレッド賞時代の作品もふくみます

Sebastian Barry の “Days without End”(3)

順番が狂ってしまった。"Days without End" の話にもどろう。 すっかり忘れていたが、08年度のコスタ賞大賞を受賞した Sebastian Barry の旧作 "The Secret Scripture" は、同年のブッカー賞最終候補作でもあった。怪しい記憶をたどると、たしか先にブッカー…

Sebastian Barry の “Days without End”(2)

続きを書く時間がなかなかとれなかった。といっても、たいした補足ではない。 本書は去る1月に2016年度コスタ賞大賞を受賞。そのニュースを知ってひとまず入手したものの、すぐには食指が動かなかった。処女小説部門賞に輝いた "Golden Hill"(未読)のほう…

Sebastian Barry の “Days without End”(1)

Sebastian Barry の "Days without End"(2016)を読了。周知のとおり、今年の1月に発表された2016年度コスタ賞大賞受賞作である。さっそくレビューを書いておこう。Days Without End作者:Barry, SebastianFaber & FaberAmazon[☆☆☆★★★] 殺すか殺されるか。…

Andrew Michael Hurley の “The Loney” (1)

きょうはまず全米図書賞の話題から。受賞作の "The Underground Railroad" はガーディアン紙で本命扱いされていたし、The Mookse and the Gripes のディスカッションでも一番人気。というわけで実際、フタをあけると大方の予想どおりだった。 が、ぼくはレビ…

Sara Baume の “Spill Simmer Falter Wither” (1)

あと1回だけ Han Kang の "The Vegetarian" について補足しようと思っていたのだが、この週末に Sara Baume の "Spill Simmer Falter Wither" を読了。2015年のコスタ賞新人賞候補作である。こちらのレビューを先に書いておこう。Spill Simmer Falter Withe…

Francesca Segal の “The Innocents” (1)

あと1回、Laurent Binet の "HHhH" について補足しなければと思っていたが、2012年のコスタ賞最優秀新人賞受賞作、Francesca Segal の "The Innocents" を先ほど読みおえたので、きょうはそのレビューを書いておこう。The Innocents作者:Segal, FrancescaVi…

2012年コスタ賞発表 / Ayana Mathis の “The Twelve Ttibes of Hattie” (1)

2012年のコスタ賞最優秀作品賞は、Hilary Mantel の "Bring up the Bodies" に決定。'So it's Hilary Mantel, again.' と、あちらの読者がコメントを寄せていた。ブッカー賞とあわせてめでたく二冠達成だが、カナダのブロガー Kevin など釈然としない思いだ…

2012年コスタ賞ショートリスト発表 (2012 Costa Awards shortlist)

相変わらず超多忙、もっか休日返上で仕事に励んでいる。そこできょうは、いささか旧聞に属するが、先日発表された今年のコスタ賞のショートリストでお茶を濁しておこう。 最優秀長編賞と最優秀新人賞の候補作家8人のうち、例によって不勉強で、知っているの…

Andrew Miller の “Pure” (1)

今年のコスタ賞最優秀作品賞に輝いた Andrew Miller の "Pure" を読了。例によってまずレビューを書いておこう。Pure作者:Miller, AndrewSceptreAmazon[☆☆☆★] 1785年、パリ。田舎の青年技師ジャン=バプティスト・バラッテがヴェルサイユ宮殿に呼ばれ、ペスト…

Colm Toibin の "Brooklyn"(1)

今年のブッカー賞候補作のひとつで、最近はまたコスタ賞にもノミネートされている Colm Toibin の "Brooklyn" を何とか読みおえた。さっそくまず、いつものようにレビューを書いておこう。 追記:本書は2015年に映画化され、第88回アカデミー賞の作品賞、脚…

Sadie Jones の "The Outcast"(1)

今年のコスタ賞最優秀新人賞作品、Sadie Jones の "The Outcast" を読了。ずっと以前から気になっていた本だが、もっと早く読むべきだった。さっそくレビューを書いておこう。The Outcast作者: Sadie Jones出版社/メーカー: Vintage発売日: 2008/06/16メディ…

Sebastian Barry の “The Secret Scripture”(1)

やっと読み終えた。今まで3回にわたって書いた雑感の続きに過ぎないが、さっそくレビューをまとめておこう。 The Secret Scripture作者: Sebastian Barry出版社/メーカー: Faber & Faber発売日: 2009/01/29メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 4回…

Rose Tremain の "The Road Home"

今年のオレンジ賞受賞作、Rose Tremain の "The Road Home" を読了。かなり面白かった。The Road Home: A Novel (English Edition)作者:Tremain, RoseLittle, Brown and CompanyAmazon[☆☆☆★★★] タイトルとは裏腹に、本書の大半を占めるのは、東欧の田舎町か…

William Boyd の "Restless"

いま珍しくミステリを読んでいるのだが、年度初めで多忙を極め、思うように進まない。去年の1月だったかに読んだ "Restless" のレビューでお茶を濁しておこう。Restless作者: William Boyd出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC発売日: 2007/03/05メ…

A.L.Kennedy の "Day"

07年度のコスタ賞最優秀作品賞に輝いた A.L.Kennedy の "Day" を遅まきながら読んでみたが、これはかなりいい。http://costabookawards.com/press/press_release_detail.aspx?id=58 Day作者: A. L. Kennedy出版社/メーカー: Jonathan Cape Ltd発売日: 2007/0…

Rupert Thomson の "Death of a Murderer"

ガーディアン紙の年間ベスト10に選ばれた Rupert Thomson の "Death of a Murderer" は、今年のコスタ賞候補作でもある。惜しくも受賞は逃したが、なかなか味わい深い作品で楽しかった。Death of a Murderer作者: Rupert Thomson出版社/メーカー: Bloomsbury…

Stef Penney の "The Tenderness of Wolves" と Hisham Matar の "In the Country of Men"

いささか旧聞に属するが、年明けにいくつかメジャーな賞の発表があった。まず、Costa Book Awards の部門賞http://www.costabookawards.com/awards/category_winners.aspx で Novel Award に輝いたのは A.L. Kennedy の "Day" だが、ぼくは未読。驚いたのは…

Susan Fletcher の "Eve Green" と Margaret Forster の "The Memory Box"

今年のコスタ賞(旧ウィットブレッド賞)のショートリストhttp://www.costabookawards.com/awards/shortlist.aspx を眺めると、旧作をもっているのは Rose Tremain のみで、しかも未読。お恥ずかしいかぎりだが、今から候補作を注文しても発表日までに届きそ…