2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧
ぼくはメルヴィルについて考えるのは本当に久しぶりだし、またこの8年ばかり、日本の小説および翻訳にはほとんど接したことがないので、『白鯨』の新訳が出ていることも知らなかった。今日届いた岩波文庫版をぱらぱらめくってみると、たしかにネットの評判…
メルヴィルの英語は非常に難解で、その昔、"Moby Dick" も脳ミソをこってり絞りながら読んだ憶えがある。で、昨日引用した箇所にたどりついたときはガクっとしたものだ。今まで白鯨の白さについて、ああだこうだと書いておきながら、その「謎はまだ解かれて…
William Maxwell の "The Chateau" は少し面白くなってきたところだが、読了までまだしばらく時間がかかるので、今日は昨日の続きで、メルヴィルを手がかりに「闇の力」について考えてみたい。 といっても、大風呂敷を広げないよう、話を "Moby-Dick" に絞る…
風邪だと思うが、頭痛がとれず絶不調。おまけに通勤電車の中でしか読むひまがないので遅々として進まないが、"The Chateau" がどんな小説なのか少し見えてきた。 第2次大戦が終わって3年後、アメリカ人の若い夫婦が(今のところ)フランスを旅する話で、風…
William Maxwell のことは、じつはあまりよく知らない。読みだしたばかりの "The Chateau" の裏表紙にある紹介記事にも目を通していない。何年か前、"They Came Like Swallows"(37) という短い小説を読んだことがあるだけだ。They Came Like Swallows (Vinta…
"An Irish Country Doctor" がベストセラーになったおかげだろう、その続編と思われる "An Irish Country Christmas" が28日に発売されるという。表紙を見る限り、これまた楽しそうな本だが、貧乏金なしのぼくは当然、ペイパーバックを待つつもり。An Irish …
読了したのは昨日なのに、まだ余韻が残っている。「ニューヨーク・タイムズのベストセラー」という看板どおりの秀作である。An Irish Country Doctor (Irish Country Books)作者: Patrick Taylor出版社/メーカー: Forge Books発売日: 2008/01/22メディア: ペ…
やっと出張先から帰ってきた。この2日間、携帯を使って書いた日記を訂正したところだが、訂正前の画面を見たときは愕然。携帯の利用の仕方がよく分かっていなかったせいで、すごいことになっていた。 帰りの電車の中で "An Irish Country Doctor" を読了。…
出張2日目。だいぶキーの操作に馴れてきたが、やはり面倒くさい。ケータイ小説なるものの存在が信じられない。 ふだんのボケに加えて旅先なので読むスピードはのろいが、"An Irish Country Doctor" の輪郭がかなり見えてきた。「この秋最高の読書体験」かど…
今日は久しぶりに出張。携帯でこれを書いているのだが、キーの操作がまことに煩わしい。改行など、あとで訂正しなければ。 さて、Patrick Taylor の "An Irish Country Doctor" はその後も快調で、ますます気に入っている。「赤ひげ」のローカルピース版とい…
この1ヵ月ほど風邪をひき戻してばかりいて絶不調。血圧、胃痛…いったい何種類、クスリを飲んでいることやらとボヤきつつ、Patrick Taylor の "An Irish Country Doctor" に取りかかった。 どんな作家かは知らない。作者の前書きも裏表紙の紹介記事も未読。…
今月7日に出たばかりの Ron Rash の新刊 "Serena" は、米アマゾンではなかなか好評らしい。しかも同書のページには、作者のエッセーと顔写真まで載っている。"The World Made Straight" でアレックス賞を受賞した Rash は、メインストリームの作家としての…
"The World Made Straight" における歴史問題とは、一昨日のレビューにも書いたように、南北戦争の際に北軍が行なった虐殺のことだ。「あとがき」によれば、本書に出てくる The Shelton Laurel Massacre は実際にあった事件なのだそうだが、今さらぼくなどが…
Ron Rash の "The World Made Straight" はいわゆるウェル・メイドな小説でけっこう面白かったのだけれど、不満も若干なくはない。 ひとつには、どうしても処女作の "One Foot in Eden" と較べてしまうからで、あちらの「クライマックスへとなだれこむ過程」…
昨夜、Ron Rash の "The World Made Straight" を読了。処女作 "One Foot in Eden" のレビューでぼくは、「近作は未読だが、さらに陰影に富んだ人物像の提示があることを期待したい」と書いたが、http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20071031/p1 その期待は充…
昨日、National Book Awards 全米図書賞のショートリストが発表された。http://www.nationalbook.org/nba2008.html "The Lazarus Project" Aleksandar Hemon, "Telex from Cuba" Rachel Kushner, "Shadow Country" Peter Matthiessen, "Home" Marilynne Robi…
日本時間で今朝、ブッカー賞の受賞作が発表され、Aravind Adiga の "The White Tiger" が栄冠に輝いた。http://www.themanbookerprize.com/news/stories/1146 今年はハードカバーの作品が多く、予算的に厳しいぼくはほとんどカヤの外。最終候補作をひとつ読…
休日ながら「自宅残業」に明け暮れ、"The World Made Straight" の続きがさっぱり読めなかった。そこで例によって、今日は昔のレビュー。6月に翻訳が出た『ザ・ロード』である。 追記:その後、本書は実際に映画化され、2009年に「ザ・ロード」との邦題で公…
世間は3連休かもしれないが、宮仕えのぼくは土曜出勤。ブログを書いたあと、DVDでアントニオーニの『情事』を観た。情事 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2008/08/30メディア: DVD購入: 3人 クリック: 96回この商品を含むブログ (9件) を見る…
前にも書いたとおり、"Eventide" における Kent Haruf の文体が「ヘミングウェイを思い出させる」という新聞評は的を射ている。その例は随所に見られるのだが、中でもぼくが「あ、これはヘミングウェイだな」と思ったのは、幕切れ近く、ある少年が遊び仲間だ…
Kent Haruf の "Eventide" は心にしみる佳作なのだが、涙を飲んで減点材料を挙げると、まず長編としての骨格をなす主筋が弱い。前作 "Plainsong" では、高校教師の息子たちの「トム・ソーヤーとハックルベリー・フィンの冒険を連想させる」物語と、「女子高…
Kent Haruf の "Eventide" を読了。やはり "Plainsong" ほどの出来ばえではなかったが、それでも読後、しばし静かな感動の余韻にひたった。Eventide (Vintage Contemporaries)作者: Kent Haruf出版社/メーカー: Vintage発売日: 2005/05/03メディア: ペーパー…
明日には Kent Haruf の "Eventide" のレビューを書けそうなところまで読み進んだ。今のところぼくの直感は正しく、前作 "Plainsong" ほどの出来ばえではない。その原因は…いや、これは最終報告にとっておくとして、「静かな抑制された筆致」は相変わらず快…
このところ天気が変わりやすく、てきめん風邪をひいてしまい、気分はすっかりブルー。昨日など本も読めず、先々週、BGMのベスト2に選んだ『タブラ・ラサ』ばかり聴いていた。ひさしぶりに聴くと「静寂の音」が心にしみてくる。あと、Ketil Bjornstad & D…
Marisa de los Santos の "Love Walked In" を読了。前回ふれたとおり、4、5月ごろだったか、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに入っていた本。お買い得だと思う。Love Walked In作者: Marisa De Los Santos出版社/メーカー: Plume発売日: 20…
今、Marisa de los Santos の "Love Walked In" を読んでいるところだが、とても快調で面白い。たしか春先に何週か連続で、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに入っていた。 洋書ファンのご多分に洩れず、ぼくも同リストはわりとまめにチェック…