ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

20世紀および現代イギリス文学

原則的にブッカー賞の設立(1969年)以前の作品、およびブッカー賞選外の作品を扱っています

ぼくの  “Homage to Ukraine”

いま、なにをなすべきなのか。 この質問を前回自分に投げかけてから、無い知恵を必死に絞ってみた。たまたま1年近く前、"Homage to Catalonia"(1938 ☆☆☆☆★★)を英語版で読みかえしたことを思い出し、もし George Orwell が現存の作家だったらどうするか考…

Virginia Woolf の “Mrs Dalloway”(3)

相変わらず絶不調。微熱がひかず、活字を目で追いかけるのがしんどい。予定ではとうに読みおえているはずの "Snow" もやっと半分まで進んだところ。 その中盤前から主人公のトルコの詩人 Ka は、訪れた地方都市 Kars で限定的に発生した軍事クーデターに巻き…

Virginia Woolf の “Mrs Dalloway”(2)

コロナかふつうの風邪か、どちらにしても発症8日目。だいぶ回復してきたが、まだ微熱が残っている。ぼくは平熱が低いので、すこしでも熱があると頭がぼんやりする。この状態が長引くのが風邪をひいたときの通例で、してみると、やっぱりふつうの風邪だった…

Virginia Woolf の  “Mrs Dalloway”(1)

きのう、やっと Vriginia Woolf の "Mrs Dalloway"(1925)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Mrs Dalloway 作者:Woolf, Virginia Penguin Classics Amazon [☆☆☆☆★] ヴァージニア・ウルフ版『戦争と平和』といえるかもしれない。一方に、第一次大戦…

Leone Ross の “Popisho”(2)

これは先月、今年のブッカー賞ロングリストの発表直前に読みおえた。現地ファンの入選予想ランキング第8位ということで、なんとか滑りこみセーフを期待したのだが、当てはずれ。本書はあえなく選外となってしまった。 ただし、読みはじめたときからイヤな予…

Natasha Brown の “Assembly”(2)

今年の1月、"Introducing our 10 best debut novelists of 2021" と題されたガーディアン紙の記事を目にした海外文学ファンも多いことだろう。(https://www.theguardian.com/books/2021/jan/31/introducing-our-10-best-debut-novelists-of-2021)が、ぼく…

Ivy Compton-Burnet の “Manservant and Maidservant”(2)

Ivy Compton-Burnet(1892–1969)というイギリスの女流作家がいることを知ったのは、たぶん学生時代のことではないか。必要があって英文学史の本を読んでいるとき、こんな作家もいる、くらいの扱いで名前を目にしたような気がする。 その後、小林信彦氏の『…

Ivy Compton-Burnet の “Manservant and Maidservant”(1)

イギリスの女流作家 Ivy Compton-Burnet(1892–1969)の "Manservant and Maidservant"(1947)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Manservant and Maidservant (New York Review Books Classics) 作者:Compton-Burnett, Ivy NYRB Classics Amazon [☆…

Virginia Woolf の “To the Lighthouse”(2)

Virginia Woolf のことはすっかり忘れていた。書棚に何冊か作品が飾ってあるだけで、いままで手に取ったこともほとんどなかった。 それどころか、ぼくのまわりで Woolf が話題にのぼることは、学生時代からいちどもなかったような気がする。先生方、先輩、友…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(3)

前回(2)では、Orwell の現代性のうち些末な問題だけ採りあげた。マスコミの意図的な情報操作など、Orwell がスペイン内戦で目のあたりにした現象が、80年以上たった今日の東洋の島国でも認められるというもので、これを紹介した理由は、あまりに些末で指…

Virginia Woolf の “To the Lighthouse”(1)

Virginia Woolf の "To the Lighthouse"(1927)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Modern Classics To the Lighthouse (Penguin Modern Classics) 作者:Woolf, Virginia 発売日: 2000/10/31 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆★] 灯台の光は、姿は時々…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(2)

レビューでまとめきれなかったことは山ほどある。あまりに多すぎて、それをひとつひとつ拾っていくと、いつまで続くか知れたものではない。 そこで思い切って、Orwell の現代性という点についてのみ補足することにした。それも今回は些末な問題だけ。 たとえ…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(1)

きのう、George Orwell の "Homage to Catalonia"(1938)を読了。使用した text は Penguin Books 版(1977年刊)で、続編 "Looking Back on Spanish War"(1943)もふくまれる。さっそくレビューを書いておこう。 Homage to Catalonia (Penguin Modern Cla…

"Homage to Catalonia" 雑感

ぼくは洋書を読むとき、いつもメモをとることにしている。いわゆる5W1Hを基本に、そのほか気のついたことはなんでも書き留める。そうしないとすぐに忘れてしまうからだ。 メモ用紙はB5の裏紙(表は宮仕え時代に使用)を4つ折りにしたもの。これに3色のボー…

Edna O'Brien の “The Country Girls Trilogy”(2)

先週注文していた関根敏行トリオの廃盤『ストロード・ロード』がきょう到着。長らく入手困難だったが、最近出品に気がつきゲットした。期待どおり超ゴキゲン! ストロード・ロード アーティスト:関根敏行トリオ 発売日: 2007/02/02 メディア: CD さて前々回…

Edna O'Brien の “The Country Girls Trilogy”(1)

数日前、Edna O'Brien の "The Country Girls Trilogy" を読了。第1巻 "The Country Girls"(1960)、第2巻 "The Lonely Girl"(1962)、および第3巻 "Girls in Their Married Bliss"(1964)の合冊版(1987)である。 合冊の際、エピローグが補足されて…

“The Country Girls Trilogy” 雑感

このところ、Edna O'Brien の "The Country Girls Trilogy" をぼちぼち読んでいる。例によって、いつ、どんないきさつで入手したかは不明。前回まで扱った "The Balkan Trilogy" 同様、『新潮世界文学辞典』の年表には載っていない。が、こんどは作者にも題…

Olivia Manning の “The Balkan Trilogy”(2)

前々回、コロナの時代の読書はどうあるべきか、と書いた。大げさな問いのわりに、他愛もない答えだったが、それを故内藤陳ふうにまとめると、「読まずに死ねるか!」「読まずば二度死ね!」 早いところ、名作・傑作を読もうというわけだ。 亡き恩師も、若い…

Olivia Manning の “The Balkan Trilogy”(1)

きのう、Olivia Manning の "The Balkan Trilogy"(合冊版1987)を読了。第1巻 "The Great Fortune" は1960年刊、第2巻 "The Spoilt City" は1962年刊、第3巻 "Friends and Heroes" は1965年刊。さっそくレビューを書いておこう。 The Balkan Trilogy 作…

"The Balkan Trilogy" 雑感

コロナの時代の読書はどうあるべきか。 なに言ってるんだい。こんな時代だからといって、べつに新しい読みかたがあるわけじゃない。ただ読みたいものを読めばいいのさ。 たしかにそのとおり。時節柄、充実した自粛生活を送るべく、小説ファンなら未読の名作…

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(3)

前回はこんな話だった。ぼくが最近読んだ海外文学の新作は五冊。どれもそれなりに面白いけれど、表題の『名誉の剣』三部作とくらべると、どれもかなり物足りない。(スターを付けてくださった shinread さん、brownsuga さん、ありがとうございます)。 なぜ…

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(2)

やっと(2)にこぎ着けた。ほんとうはもっと早く落ち穂拾いをするつもりだったのだけど、このところ、本書をダラダラ読んでいるうちに届いた新刊を片づけるのに追われてしまった。(本書のレビューにスターを付けてくださった kt-888さん、brownsugaさん、…

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(1)

きのう、Evelyn Waugh の "Sword of Honour"(1965)をやっと読了。周知のとおり、これは "Men at Arms"(1952)、"Officers and Gentlemen"(1955)、"Unconditional Surrender"(1961)を一冊にまとめた『名誉の剣』三部作である。 合冊版を上梓する際、Wa…

"Sword of Honour" 雑感(4)

なんとか体調が回復してきたようだ。気になるのは血圧だが、数値さえよければ、あしたからまたジムに通おうと思っている。(brownsuga さん、お気遣いのコメント、ありがとうございます)。 "Sword of Honour" のほうも、元の第三巻 "Unconditional Surrende…

"Sword of Honour" 雑感(3)

風邪が治ったのか治らないのか、どうも体調がすっきりせず、しばらく読書から遠ざかっていた。いまも喉がいがらっぽい。が、それでもきょうはリハビリがてら、久しぶりに本書に取り組み、なんとか第二部 "Officers and Gentlemen" を読みおえた。第一部の場…

"Sword of Honour" 雑感(2)

今週は風邪をひいてしまい絶不調。さいわい検査の結果、インフルエンザではないとのことだったが、高熱が出たらすぐに休日診療所に行くように言われた。一方、息子も初孫もインフルエンザにかかったものの、タミフルのおかげでとうに回復。ふつうの風邪のぼ…

"Sword of Honour" 雑感(1)

Evelyn Waugh の "Sword of Honour"(1965)をまたボチボチ読みはじめた。諸般の事情でいったん中断していたが、そろそろ片づけないことには、いつまでたってもほかの本が読めない。 改めて言うと、これは周知のとおり、"Men at Arms"(1952)、"Officers an…

Margaret Drabble の "A Summer Bird-Cage"

フォークナーの "The Mansion"(1959)をボチボチ読んでいる。おなじ作家の作品を三冊も立て続けに読むのは、おそらく初めてだろう。いつもなら、作風が新鮮に感じられるように間隔を置くところだ。 あ、ちがってた。エクセルの読書記録をいま見ると、今年の…

Lawrence Durrell の “Clea (Alexandria Quartet 4)”(3)

きょう久しぶりにジムに行ったところ、恐れたとおり足がガクガク。ひところの半分も走れなかった。やはり間を置きすぎてはいけない。 英語もおなじ。いま読んでいるフォークナーはなんと10年ぶり。記録によると、10年前も3年ぶりということだから、フォーク…

Lawrence Durrell の “Clea (Alexandria Quartet 4)”(2)

ようやく風邪も治り、フォークナーのスノープス三部作第二巻 "The Town"(1957)を読んでいる。前作ほどではないが難渋する箇所がけっこうあり、今回も時間がかかりそうだ。フォークナーは10年前でさえ手こずったのに、 老後に取り組んでみると、いやはや、…