ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

"Last Night in Twisted River" 雑感(1)

つい最近 John Irving の新作が出たことを知り急遽入手、予定を変更して取りかかった。こんな調子だから、いつまでたっても積ん読の山が残っている。 アーヴィングの本を読むのは "The Fourth Hand" 以来で6冊目。まだ9冊も読み残しているので熱心なファン…

J.M. Coetzee の "Summertime"(2)

今年のブッカー賞発表直前のオッズによると本書は3番人気だったようだが、受賞した Hilary Mantel の "Wolf Hall" と較べるとたしかに分が悪い。過去栄冠に輝いたクッツェーの旧作、"Life and Times of Michael K" や "Disgrace" と較べても落ちるのではな…

J.M. Coetzee の "Summertime"(1)

今年のブッカー賞最終候補作の一つ、J.M. Coetzee の "Summertime" をやっと読みおえた。おとといの雑感と似たり寄ったりになりそうだが、さっそくレビューを書いておこう。Summertime作者:Coetzee, J.M.発売日: 2009/09/14メディア: ハードカバー[☆☆☆★] 作…

"Summertime" 雑感

先週の土曜にやっと出張が終わり、昨日は出張先からケータイで書いた3日分の字句訂正。あとは疲れて終日ボンヤリしていた。 出張中に今年のブッカー賞最終候補作の一つ、J.M. Coetzee の "Summertime" に取りかかったが、途切れ途切れに読んでいるせいか、…

Hilary Mantel の “Wolf Hall”(4)

「したたかな現実主義者クロムウェルと『信念の人』トマス・モアの…どちらが見事な生き方かという価値判断は示されていない」とレビューには書いたが、クロムウェルが主人公のせいか、じつはモアのほうは少々厳しめに描かれている。宗教上の異端者に対し、大…

Hilary Mantel の “Wolf Hall”(3)

ヘンリー8世に重用されたトマス・クロムウェルのもとには、宮廷内外から陳情や嘆願が殺到する。クロムウェルは駆け引き上手で観察力に長け、冷静沈着そのもの。時には金にものを言わせてトラブルを解決、その政治手腕は師匠トマス・ウールジのはるか上を行…

Hilary Mantel の "Wolf Hall"(2)

雑感(1)にも書いたように、「著名な人物を主人公にすえた歴史小説の場合、マクロな視点とミクロな視点を巧妙に配しながら、その人物に関する最も本質的な問題をすぐれたフィクションの形で追求する、というのがぼくのゴヒイキ」。この点、本書はどこを取っ…

Hilary Mantel の “Wolf Hall”(1)

今年のブッカー賞受賞作、Hilary Mantel の "Wolf Hall" をやっと読みおえた。今まで3回の雑感に毛が生えたものになりそうだが、いつものようにレビューを書いておこう。Wolf Hall (The Wolf Hall Trilogy)作者:Mantel, HilaryFourth Estate LtdAmazon[☆☆☆☆…

“Wolf Hall” 雑感(3)

中盤にさしかかったところで、やっと面白くなってきた! きっかけは、アン・ブリーンと結婚していたという貴族が登場、その主張を撤回させようと主人公のクロムウェルが圧力をかけるエピソード。ふむふむ、なあるほどね。本書が今年のブッカー賞に選ばれた理…

“Wolf Hall” 雑感(2)

職場が「農繁期」に入り、思うようには進まないが、これを書いたあと寝るまでに何とか第3部を読みおえられそうだ。全体の印象は前回とあまり変わらない。歴史小説が大好きな、あるいはこの時代に関心のある読者ならいざ知らず、門外漢のぼくには今のところ…

“Wolf Hall” 雑感(1)

昨日も書いたように、今年のブッカー賞受賞作、Hilary Mantel の "Wolf Hall" に取りかかった。まだ第2部までしか読んでいないので文字どおり雑感になるが、「面白度」は率直に言って、まずまず。今のところ、クイクイ読めるほどではない。 たまたま先月、0…

Karen White の "The House on Tradd Street"(2)

血液検査の結果はさいわい異常なし。ホッとしたところで、先週寝こんでいるあいだに届いた今年のブッカー賞受賞作、Hilary Mantel の "Wolf Hall" に取りかかった。さっそく最初の雑感を書いてもいいのだが、今日は昨日の補足をしておきたい。 といっても本…

Karen White の "The House on Tradd Street"(1)

新型インフルではないと思うが先週は高熱が続き、仕事も読書もすべて中断、ずっと寝こんでいた。昨日の午後になってやっと平熱近くになり、ベッドの中で本書に改めて取りかかり、夜半に読了。それがたたったせいか、これを書いている今もまだ熱っぽい。明日…

"The House on Tradd Street" 雑感(2)

これは相変わらず、というよりますます楽しい本だ。08年刊行で、ひょっとしたらもう日本に紹介されているのかもしれないが、不勉強のぼくには掘り出し物。風邪がまだ抜けきらないせいか頭が重く、思うように先へ進まないのがとても残念だ。 「モダンなラブコ…

"The House on Tradd Street" 雑感(1)

A. N. Wilson の "Winnie and Wolf" がえらくシンドイ小説だったので、口直しに Karen White の "The House on Tradd Street" に取りかかった。知らない作家の知らない作品だが、たぶん米アマゾンのリストマニアか何かで出くわし、古い屋敷が描かれた魅力的…

A. N. Wilson の "Winnie and Wolf"(2)

本書の感想は一連の雑感と昨日のレビューで書きつくしたが、これを読んでいるうちに思い出したことがある。先月、Travis Holland の "The Archivist's Story" をだしにして純文学と大衆小説の違いというナンセンスな問題に取り組んだとき、ぼくは「心理重視…

A. N. Wilson の "Winnie and Wolf" (1)

07年のブッカー賞候補作で、ガーディアン紙の年間優秀作品にも選ばれた A. N. Wilson の "Winnie and Wolf" をやっと読みおえた。今までの雑感のまとめに過ぎないが、いつものようにレビューを書いておこう。なお、昨日の訂正をひとつ。最終章は「パルジファ…