2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
今日で今年も半分過ぎてしまった。Excel に打ちこんでいる既読本リストを眺めると、われながら情けないほど少ない。この倍は読めるはずなのにと思うと、人生の半分以上無駄遣いしているようでイヤになる。あ、これは今年に限った話じゃないか。 グチはそれく…
Marisa de los Santos の "Belong to me" について何とか感想を述べられそうなところまで読み進んだ。彼女のデビュー作 "Love Walked In" は去年のいつだったか、ニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーになり(Trade Paperback 部門)、今年もたしか春先に…
職場が「農繁期」のため、休日といえども「自宅残業」。そこで例によって昔のレビューでお茶を濁しておこう。The Gate of Angels作者: Penelope Fitzgerald,Philip Hensher出版社/メーカー: Fourth Estate Ltd発売日: 1991/09/04メディア: ペーパーバック ク…
Marisa de los Santos の "Belong to Me" をボチボチ読みだしたところだが、首筋の痛みはだいぶ治まったものの、職場が「農繁期」に入り、なかなか思うようにページが進まない。仕方なく、昨日の補足を書いておこう。 「もしファンタジーが実際の現実とは無…
本の売れ行きは知らないが、少なくとも最近の文学好きの若者のあいだでは、ミルハウザーは高く評価されている作家の一人だろうと思う。というのも、何年か前、ある大学生に小説の原稿を読んでくれと頼まれたことがあるのだが、彼の作品には明らかにミルハウ…
結局、ぼくはミルハウザーのよき読者とは言えないのかもしれない。雑感(1)にも書いたように、何しろ彼の本を読むのはこれでたったの4冊目なのだ。全作品を読破している熱烈なファンが昨日のレビューを読めば、けっ、何言ってやがんだい、お前はミルハウ…
昨日の雑感に書いたように、スティーヴン・ミルハウザーの新作短編集 "Dangerous Laughter" をやっと読みおえたので、いつものようにレビューを書いておこう。Dangerous Laughter: Thirteen Stories (Vintage Contemporaries)作者:Millhauser, StevenVintage…
あっさり読了できるはずだったが、パソコンの打ちすぎのせいか首筋に激痛が走り、最後の第3部 "Heretical Histories" は1日1話のペース。今日になってやっと読みおえた。まだレビューをまとめるゆとりはないので、備忘録の続きを書きしるしておこう。 第1…
本書は周知のとおり、ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ昨年の優秀作のひとつだが、フシギなことに、Michiko Kakutani も Janet Maslin も個人のベストには挙げていない。なぜだろう? ともあれ、NY紙選定の優秀作を読むのは、"Netherland"、"2666"、"Unaccu…
先日のジュンパ・ラヒリもそうだが、今年は珍しく短編集を読むことが多い。といっても、今読んでいる Steven Millhauser の "Dangerous Laughter" で3冊目だが、06〜08年は皆無だったので多く感じるわけだ。で、ミルハウザーだが、彼の作品を読むのはなんと…
読了してみれば雑感(1)の経過報告と同じで、今年の全米書評家(批評家)協会賞の候補作としては、ぼくが読んだものの中では3番目の出来。Marilynne Robinson の前作 "Gilead" と較べても若干落ちる。 "Gilead" の場合、本書と違って最初から何も伏せるこ…
今年のオレンジ賞受賞作、Marilynne Robinson の "Home" をやっと読み終えた。今まで3回の雑感ではついケチをつけてしまったが、最後でぐっと盛り上がり、読みの甘さを反省している。ともあれ、印象が薄れないうちにレビューを書いておこう。Home: Winner o…
時間があれば明日にでも読み終えられそうだが、相変わらず、「文学ミーハーのぼくには、ちょっとしんどい展開だ」。もちろん駄作ではないし、それどころか登場人物の心理、とりわけ傷心と悲哀がじっくり描かれる一方、それが感傷に流れない点はいかにも Mari…
昨日、国際IMPACダブリン文学賞の発表があり、Michael Thomas の "Man Gone Down " が栄冠に輝いた。不勉強のぼくは例によって未読だが、公式HPの記事を読むと、07年のニューヨーク・タイムズ紙選定年間優秀作品でもあるとのこと。Man Gone Down作者: Michae…
Marilynne Robinson の "Home" をぼちぼち読んでいる。去年の全米図書賞、今年の全米書評家(批評家)協会賞と落選続きだったが、周知のとおり今年のオレンジ賞を受賞、めでたく三度目の正直となった。ちなみに、Aleksandar Hemon の "The Lazarus Project" …
たしかにイシュメールは生き残った。これは楽観的かつ強引に解釈すれば、「恐ろしい悲劇から人間が立ち上がる可能性を意味している」。だが、白鯨のほうはどうか。あの巨大な鯨もピークォド号同様、海の藻屑と消えさったのか。今回、本稿を書く前に八木敏雄…
読みだしたばかりの今年のオレンジ賞受賞作、Marilynne Robinson の "Home" も気になるが、もう少し "The Guernsey Literaray...." の話を続けよう。昨日の日記を読みかえしてみると、「鶏を割くに牛刀を用いる」の喩えどおり、いささか過剰反応だなと我なが…
本書はもちろん「全編にわたって上品なユーモアにあふれ」ているだけに、冒頭から終始ニヤニヤさせられる。「読んでいて晴れやかな気分になるのが何よりありがた」く、ああ面白かった!と安んじて眠りにつくのが最上の読み方かもしれない。 だが、ぼくはこれ…
戦争が背景にある小説を読んだのは、David Benioff の "City of Thieves" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20090312、Steven Galloway の "The Cellist of Sarajevo" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20090404 に次いで、今年はこれで3冊目。どれもなか…
3日前にも書いたとおり、本書は去年の話題作のひとつで、 現在ニューヨーク・タイムズの Trade Paperback 部門ベストセラー第1位。本当はあっさり読めるはずだったが、風邪をひいて頓挫し、昨日やっと読み終えた。遅まきながらレビューを書いておこう。The…
風邪の熱でボーっとしているあいだにオレンジ賞の発表があり、予想どおりと言うか期待どおり、Marilynne Robinson の "Home" が栄冠に輝いた。全米図書賞、全米書評家(批評家)協会賞と落選続きだったので、文字どおり三度目の正直ということになる。 ぼく…
風邪をひいてしまい(新型インフルエンザではないと思う)、"The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society" を読み終えるはずだったのに挫折してしまった。そこで今日は、例によって昔のレビューでお茶を濁しておこう。Beryl Bainbridge はブッカー賞…
オレンジ賞の発表が近づいてきた。去年は発表の数日前から、公式HPの "read this" というコーナーで受賞作の "The Road Home" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080628 が紹介されていたが、今年はそんなコーナーが見当たらない。 ぼくは Marilynne Robin…
一昨日からの流れで、今日は3年前のブッカー賞候補作の「格付け遊び」。この年発表前に読んだのは Sarah Waters と Kate Grenville だけで、以下のレビュー(当時アマゾンに投稿、その後削除)を読めば分かるとおり、Waters の作品が「栄冠に輝いても何ら不…