ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ブッカー賞

Sarah Waters の “Affinity”(2)と既読作品一覧

ついにコロナか、それともふつうの風邪か、とにかく発熱。おまけに喉がやけに痛く、調べるとオミクロン株の症状にそっくり。実際何度あるのかはコワくて測っていない。きょうは何日かぶりに起きていられる状態なので(たぶん発症4日目)、この記事を書いて…

Sarah Waters の “Fingersmith”(2)

年明けから諸般の事情で冬眠中だったが、そろそろ頭を働かさないとボケがひどくなってしまう。数日前から Saraha Waters の "Affinity"(1999)をボチボチ読んでいる。なかなか面白い。 これは周知のとおり既訳もあり、版元はあの推理文庫。だからたぶんミス…

2021年ぼくのベスト小説

今年ももう大晦日。いつもぼんやり過ごしているうちに、いつのまにか年間ベスト小説を選ぶ日が来てしまった。 家の大掃除がおわったところでEXCELの読書記録をながめると、昔の大作を片づける、という新年の目標は春ごろに早くも挫折。以後、ピューリツァー…

Nadifa Mohamed の “The Fortune Men”(2)

今月初め、本ブログを更新しようと思ったところで急用が入り、その後なにかとバタバタしてしまい、ほとんど読書から遠のいてしまった。師走とはよく言ったものですな、べつに師でもなんでもないけれど。 それでも先ほど年賀状を出しおわり、やっと一段落つい…

Sarah Waters の “Fingersmith”(1)

きのう、2002年のブッカー賞およびオレンジ賞(現女性小説賞)最終候補作、Sarah Waters のご存じ "Fingersmith" をやっと読了。途中、諸般の事情で何日も中断したため、いつにもまして、まともなレビューが書けそうもない。さてどうなりますか。 Fingersmit…

2021年ブッカー賞発表とぼくのランキング

ニュースを知って思わず拍手した。Damon Galgut の "The Promise" が今年のブッカー賞を獲得! まずは順当な結果だろう。 Galgut 自身としては、先月の記事でも紹介したとおり、2003年に "The Good Doctor"(未読)、2010年に "In a Strange Room"(☆☆☆☆)が…

Richard Powers の “Bewilderment”(2)と今年のブッカー賞予想

今週から、ほぼ1年半ぶりにジムでワークアウトを再開。休会中、目・腰・胃・肩とつぎづぎに不調をきたし、いまは胃がいちばん気になる。またしても逆流性食道炎の再発らしい。運動だけで改善すればいいのだけど。 さて、久しぶりにブッカー賞最終候補作の現…

Nadifa Mohamed の “The Fortune Men”(1)

きのう、今年のブッカー賞最終候補作、Nadifa Mohamed の "The Fortune Men"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Fortune Men: Shortlisted for the Booker Prize 2021 作者:Mohamed, Nadifa Viking Amazon [☆☆☆★] 神の裁きに間違いはあり…

Damon Galgut の “The Promise”(2)

Damon Galgut、どこかで目にしたことのある名前だなと思って過去記事を検索すると、2010年のブッカー賞最終候補作、"In a Strange Room" の作者だった。 拙文を読みかえすうちにやっと思い出したのだけど、これはなかなかの秀作である(☆☆☆☆)。この年の受賞…

Richard Powers の “Bewilderment”(1)

今年のブッカー賞最終候補作、Richard Powers の "Bewilderment"(2021)を読了。これは今年の全米図書賞一次候補作でもあったが、そちらは二次で落選。さっそくレビューを書いておこう。 Bewilderment: A Novel 作者:Powers, Richard Norton & Company Amaz…

Anuk Arudpragasam の “A Passage North”(2)

Anuk Arudpragasam はスリランカ出身の若い作家で、表題作(2021)の前のデビュー作 "The Story of a Brief Marriage"(2016)は、毎年優秀な新人作家に与えられる Dylan Thomas Prize の最終候補に選ばれた。 などと知ったかぶりで書いたけど、もちろん読後…

Rachel Cusk の “Second Place”(2)

Rachel Cusk の作品を初めて読んだのは、読書メモによると14年前のことだ。当時すでに、彼女は Sarah Waters や David Mitchell などとならんで、すぐれた若手作家としての地位を確立していた。https://granta.com/products/granta-81-best-of-young-british…

2021年ブッカー賞ショートリスト予想

ブッカー賞ショートリストの発表日が迫ってきた(ロンドン時間9月14日)。一次候補作全13冊のうち、ぼくがいままで読んだのはたった4冊だけだが、いちおう現地ファンのまねをして、4冊のランキングがてら最終候補作を予想しておこう。1. The Promise(☆☆☆…

Damon Galgut の “The Promise”(1)

きのう、今年のブッカー賞一次候補作、Damon Galgut の "The Promise"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Promise 作者:Galgut, Damon Chatto & Windus Amazon [☆☆☆★★★] 国家間の条約はやぶるためにある、と俗にいわれるが、個人同士の場…

Anuk Arudpragasam の “A Passage North”(1)

きのう、今年のブッカー賞一次候補作、Anuk Arudpragasam の "A Passage North"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 A Passage North 作者:Arudpragasam, Anuk Granta Books Amazon [☆☆☆★★] 人生にはかならず、それまでの人生をふり返る瞬間が…

Rachel Cusk の “Second Place”(1)

今年のブッカー賞一次候補作、Rachel Cusk の "Second Place"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Second Place: Longlisted for the Booker Prize 2021 (English Edition) 作者:Cusk, Rachel Faber & Faber Amazon [☆☆☆★★] ふつう小説では、…

Leone Ross の “Popisho”(1)

今年のブッカー賞ロングリスト発表が迫ってきた(ロンドン時間7月27日)。ぼくは体調その他、諸般の事情でしばらく読書そのものからほとんど遠ざかっていたので、いま久しぶりに現地ファンの入選作予想をチェックしたところ、きのう読了した Leone Ross の …

Natasha Brown の “Assembly”(1)

きのう、Natasha Brown の "Assembly"(2021)を読了。Natasha Brown は既報のとおり、ガーディアン紙で紹介された今年の有望新人作家のひとりで、本書は彼女の処女作。イギリスの文学ファンのあいだでは、ブッカー賞ロングリストに入選しそうな作品として評…

Patricia Lockwood の “No One Is Talking About This”(2)

これは今年の女性小説賞最終候補作だけど、じつは女性小説賞というのにはあまり興味がない。もう十年以上も昔の記事で紹介したことだが、当時のガーディアン紙に載った女流作家 A. S. Byatt のコメントを読んで、わが意を得たりと思ったものだ。The British …

Patricia Lockwood の “No One Is Talking About This”(1)

今年の女性小説賞最終候補作、Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)を読了。もっか、現地イギリスのファンのあいだでは1番人気である。さっそくレビューを書いておこう。 (追記:本書は後日、今年のブッカー賞ロングリスに入選)…

Brandon Taylor の “Real Life”(2)

やっとブッカー賞の季節が終わった。ぼくは今回、春先に Hilary Mantel の "The Mirror & The Light"(2020 ☆☆☆★★)を読んだあと、ショートリストの発表まで高みの見物。おなじブッカー賞でも、過去の受賞作や候補作を catch up していた。 もう昔のように、…

2020年ブッカー賞発表とぼくのランキング

本日早朝(ロンドン時間19日)、ブッカー賞の受賞作が発表され、現地ファンの下馬評どおり、Douglas Stuart の "Shuggie Bain"(2020)が栄冠に輝いた。ぼくもいちおう本命に推していた作品なので、この結果に不満はない。 受賞理由は未読だが、どのエピソー…

Tsitsi Dangarembga の “This Mournable Body”(2)と今年のブッカー賞予想

いよいよブッカー賞の発表が迫ってきた(ロンドン時間19日)。ぼくは最終候補作全6作のうち、表題作もふくめ、なんとか5作読了。あと1冊、Diane Cook の "The New Wilderness"(2020)を読み残しているが、これは現地ファンの下馬評ではいちばん人気薄。…

Brandon Taylor の “Real Life”(1)

前回ふれた事情でイギリスに priority 便で注文した Brandon Taylor の "Real Life"(2020)が予想外に早く到着(さすが旧大英帝国!)。おかげで、てっきり17日とばかり思い込んでいたブッカー賞の発表(ロンドン時間19日)前に、なんとか読みおえることが…

Tsitsi Dangarembga の “This Mournable Body”(1)

予定より大幅に遅れてしまったが、なんとか Tsitsi Dangarembga の "This Mournable Body"(2018)を読みおえた。今年のブッカー賞最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。 This Mournable Body: SHORTLISTED FOR THE BOOKER PRIZE 2020 作者:Da…

Douglas Stuart の “Shuggie Bain”(2)

2013年のフランク・オコナー国際短編賞受賞作、David Constantine の "Tea at the Midland and Other Stories"(2012)の続きを1日1話ずつ読んでいたら、きょう、Tsitsi Dangarembga の "This Mournable Body"(2018)が届いた。さみだれ式に注文した今年…

Douglas Stuart の “Shuggie Bain”(1)

ゆうべ、今年のブッカー賞ならびに全米図書賞の最終候補作、Douglas Stuart の "Shuggie Bain"(2020)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Shuggie Bain: A Novel 作者:Stuart, Douglas 発売日: 2020/12/15 メディア: ペーパーバック [☆☆☆★★★] 裏切ら…

Maaza Mengiste の “The Shadow King”(2)

先日、やっと Douglas Stuart の "Shuggie Bain"(2020)が手元に届いた。さっそく読みはじめたが、期待にたがわず面白い。ご存じ今年のブッカー賞ならびに全米図書賞最終候補作である。史上初の二冠達成か、と現地ファンのあいだでは大変な評判になっている…

Maaza Mengiste の “The Shadow King”(1)

ゆうべ、今年のブッカー賞最終候補作、Maaza Mengiste の "The Shadow King"(2019)を読了。さっそくレビューを書いておこう。(後記:本書は2019年のロサンゼルス・タイムズ文学賞の最終候補作でもありました)。 The Shadow King: SHORTLISTED FOR THE BO…

Avni Doshi の “Burnt Sugar”(2)

介護問題が文学の題材として採りあげられるようになったのは、いつごろからだろうか。ぼくがいままで書きためたレビューで「介護」を検索したところ、いちばん古い作品は、Alice Munro の短編集 "Dance of the Happy Shades"(1968 ☆☆☆☆★)所収の 'The Peace…