ギラー賞
またしても途切れ途切れの読書だった。昨日、Sarah Bernstein の "Study for Obedience"(2023)をやっと読了。Sarah Bernstein(1987 - )はカナダ出身の作家で、現在はスコットランド在住。デビュー作は "The Coming Bad Days”(2021 未読)。本書は彼女の…
J.G. Farrell の "The Siege of Krishnapur"(1973)を読んでいる。ご存じ73年のブッカー賞受賞作で、"Troubles"(1970 ☆☆☆☆★)につづく Empire Trilogy の第二作だ。 ぼくにしては順調に進んでいるのだけど、メモを取るのでやはり遅読。メモがないと、人物…
きのう、昨年のギラー賞受賞作、Suzette Mayr(1967 - )の "The Sleeping Car Porter"(2022)を読了。 Mayr はカナダの女流作家で本書は6作目。小出版社の刊行作品を対象とした Republic of Consciousness Prize US/Canada の今年の候補作でもある。さっ…
このところなにかと雑用に追われ、読書はひと休み。雑用のなかには書斎のレイアウトの変更と、それに伴う家具類の移動もあった。 べつにたいした家具ではない。デスクは家人の実家にあった小さな食卓で代用しているのだけど、いままで窓向きだったのを室内に…
Elizabeth Taylor(1912 - 1975)の "Angel"(1957)を読んでいる。と聞いて、え、あの大女優が小説も書いていたのか、と驚くひとも多いかもしれないが、じつはこの Elizabeth Taylor、れっきとしたイギリスの女流作家。 ぼくも昔は知らなかった。いつだった…
年が明けても長らく冬眠中だったが、きのうやっと、2021年のギラー賞(the Scotiabank Giller Prize)受賞作、Omal El Akkad の "What Strange Paradise"(2021)を読了。同賞は日本の読者にはなじみが薄いようだが、カナダでは最も権威のある文学賞である。…
これは既報のとおり、昨年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)の受賞作、および全米批評家協会賞の最終候補作。ギラー賞はカナダで最も権威ある文学賞だけど、そう聞いてもピンとこない日本人読者がきっと多いはずだ。全米批評家協会賞にしても、〈アメリ…
ゆうべ、2020年のギラー賞受賞作、Souvankham Thammavongsa の "How to Pronounce Knife" を読了。これは先日受賞作が発表された2020年全米批評家協会賞の最終候補作でもある。カナダの新人作家 Souvankham Thammavongsa はタイのラオス難民キャンプで生まれ…
さる12月、2018年のギラー賞最終候補作で、ファン投票では1位だった Eric Dupont の "Songs for the Cold of Heart"(☆☆☆★★)を読んでいたら、Hannah Arendt の "The Origins of Totalitarianism" の話が出てきた。ああ、そういえばこの名著も未読だったな…
ゆうべ、2013年のギラー賞一次候補作、Joseph Boyden の "The Orenda" を読了。Shadow Giller Prize という現地カナダのファン投票では1位を獲得した作品である。さっそくレビューを書いておこう。 The Orenda 作者:Boyden, Joseph 発売日: 2014/04/03 メデ…
寝床のなかで読んでいる『蜜蜂と遠雷』はあと少し。世評どおりとても面白い。相変わらず恩田陸の筆力、表現力に圧倒されている。が、ちょっと引っかかる箇所があった。 まず、「ファンタジック」という言葉(文庫版・上 p.377)。これが fantastic の誤用で…
師走もなかばすぎ。なにかと雑用に追われ、読書のほうはいつにもまして、まったりペース。途切れ途切れに "The Discomfort of Evening"(2018)を読んでいる。ご存じ今年のブッカー国際賞受賞作である。 序盤はまずまずだったけど、その後どうも盛り上がらな…
2018年のギラー賞最終候補作、Eric Dupont の "Songs for the Cold of Heart"(2012)を読了。カナダのファン投票では第1位に選ばれた作品である。さっそくレビューを書いておこう。 Songs for the Cold of Heart 作者:Dupont, Eric 発売日: 2018/07/01 メ…
ご存じの方も多いと思うが、先日、Hilary Mantel の最新作 "The Mirror & the Light" が刊行された。かの Wolf Hall Trilogy の掉尾を飾るもので、第1作 "Wolf Hall"(2009 ☆☆☆☆★)、第2作 "Bring up the Bodies"(2012 ☆☆☆★★)につづいて、3度目のブッカ…
先日、勤務先の今年(2019年)度の業績がほぼ判明。前年にくらべ相当悪化したものの、2月にぼくが在宅勤務でこなした分野では成功をおさめたので、やけ酒半分、祝杯半分、ほろ酔い気分で少しばかり高い買い物をしてしまった。財布のひもをゆるめられるのも…
数日前に昨年のギラー賞受賞作、Ian Williams の "Reproduction"(2019)を読みおえたのだが、これまで諸般の事情というやつで、なかなか感想をまとめる時間が取れなかった。新型コロナウイルスのことも話題にしたいけれど、とりあえずレビューをでっち上げ…
北陸旅行から帰ってきて約2週間。どうやら新型肺炎には感染していなかったようだ。が、1週間前に税務署へ確定申告に出かけ、混雑のなかでかなり手間取ってしまったのが気になる。ぼくはもともと風邪を引きやすいほうで、ついきのうも鼻水が止まらなくなり…
数日前に入ったメールへの対応が、どうやら最後の仕事だったようだ。よもやもうリクエストはあるまい、とやっと安心したところ。 それまで夜討ち朝駆けとは言わないまでも、チャリンとケータイの着信音が鳴るたびに仕事の入ることが多く、パソコンでも同じメ…
ほんとうはスノープス三部作について補足する順番だが、先週からの流れで本書のことを書き足しておこう。 まずこれは10月のブッカー賞発表前、ひとつだけ読みのこしていた候補作。せっかく発表に間に合うように注文したのに、「発送したのですが途中で紛失し…
ゆうべ、今年のギラー賞受賞作、Esi Edugyan の "Washington Black"(2018)を読了。周知のとおり、本書は今年のブッカー賞最終候補作でもあり、また、ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベスト5小説にも選ばれている。 ギラー賞はカナダで最も権威のある文学…
きのう、1996年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "A Fine Balance"(1996)をやっと読了。先週、愛媛の田舎に帰省する前から読みはじめたが、その後何かと慌ただしく、ずいぶん手間取ってしまった。はて、どんなレビューになりますやら。 追記:…
前回もふれたとおり、これはカナダで最も権威のある文学賞、ギラー賞の2017年度受賞作。また、現地のファン投票(Shadow Giller)でも1位を獲得した作品である。それなのに、ぼくの評価は☆☆★★★(約55点)。あんた、読み方がおかしいんじゃないの、と座布団…
きのう晩酌前に、2017年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)受賞作、Michael Redhill の "Bellevue Square" を読了。日本の読者にはなじみが薄いかもしれないが、カナダでは最も権威のある文学賞である。ひと晩寝かせたところでレビューを書いておこう。B…
ゆうべようやく、今年のブッカー賞最終候補作、Madeleine Thien の "Do Not Say We Have Nothing" を読了。すっかり遅くなってしまった。諸般の事情というやつで、ひとつには風邪のせいだが、さて、どんなレビューになりますやら。 追記:その後、本書は2016…
2015年のギラー賞(the Scotiabank Giller Prize)受賞作、Andre Alexis の "Fifteen Dogs" を読了。この賞は日本の一般読者にはなじみが薄いかもしれないが、カナダでは最も権威のある文学賞である。Fifteen Dogs作者:Alexis, AndréSerpent's TailAmazon[☆☆…
昨年のギラー賞最終候補作、Nancy Richler の "The Imposter Bride" を読了。惜しくも受賞は逃したものの、海外のファン投票では第1位に選ばれた作品である。ぼくが読んだのは、カナダの Harper Collins 社から出ているペイパーバック版だが、日本では現在…
今日は Evelio Resero の "The Armies" について補足しようと思ったが、夜になっても仕事をしていたので時間がなくなった。おととい発表されたギラー賞のニュースでお茶を濁しておこう。まず受賞作は Will Ferguson の "419" だが、これは今のところ、ハード…
"The Orphan Master's Son" を相変わらずボチボチ読んでいる (昨日はうっかり、"The Orphan's Son" と紹介してしまった)。けっこうハマってきたし、書きたいこともあるのだが、なにしろ職場が繁忙期に入り、これを打ちこんでいる今も疲労困憊。そこで今日…
今日は話題の映画、『ドラゴン・タトゥーの女』をかみさんと一緒に観に行ったあと、帰りの電車の中で、昨年のギラー賞最終候補作、David Bezmozgis の "The Free World" を読みおえた。一杯やりながらではあるが、さっそくレビューを書いておこう。The Free …
昨年のギラー賞1次候補作、Clark Blaise の "The Meagre Tarmac" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Meagre Tarmac作者:Blaise, ClarkBiblioasisAmazon[☆☆☆★★]「文化とはある民族の生きかたである」とはT・S・エリオ…