ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ギラー賞

Souvankham Thammavongsa の “How to Pronounce Knife”(2)

これは既報のとおり、昨年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)の受賞作、および全米批評家協会賞の最終候補作。ギラー賞はカナダで最も権威ある文学賞だけど、そう聞いてもピンとこない日本人読者がきっと多いはずだ。全米批評家協会賞にしても、〈アメリ…

Souvankham Thammavongsa の “How to Pronounce Knife”(1)

ゆうべ、2020年のギラー賞受賞作、Souvankham Thammavongsa の "How to Pronounce Knife" を読了。これは先日受賞作が発表された2020年全米批評家協会賞の最終候補作でもある。カナダの新人作家 Souvankham Thammavongsa はタイのラオス難民キャンプで生まれ…

Joseph Boyden の “The Orenda”(2)

さる12月、2018年のギラー賞最終候補作で、ファン投票では1位だった Eric Dupont の "Songs for the Cold of Heart"(☆☆☆★★)を読んでいたら、Hannah Arendt の "The Origins of Totalitarianism" の話が出てきた。ああ、そういえばこの名著も未読だったな…

Joseph Boyden の “The Orenda”(1)

ゆうべ、2013年のギラー賞一次候補作、Joseph Boyden の "The Orenda" を読了。Shadow Giller Prize という現地カナダのファン投票では1位を獲得した作品である。さっそくレビューを書いておこう。 The Orenda 作者:Boyden, Joseph 発売日: 2014/04/03 メデ…

"The Orenda" 雑感

寝床のなかで読んでいる『蜜蜂と遠雷』はあと少し。世評どおりとても面白い。相変わらず恩田陸の筆力、表現力に圧倒されている。が、ちょっと引っかかる箇所があった。 まず、「ファンタジック」という言葉(文庫版・上 p.377)。これが fantastic の誤用で…

Eric Dupont の “Songs for the Cold of Heart”(2)

師走もなかばすぎ。なにかと雑用に追われ、読書のほうはいつにもまして、まったりペース。途切れ途切れに "The Discomfort of Evening"(2018)を読んでいる。ご存じ今年のブッカー国際賞受賞作である。 序盤はまずまずだったけど、その後どうも盛り上がらな…

Eric Dupont の “Songs for the Cold of Heart”(1)

2018年のギラー賞最終候補作、Eric Dupont の "Songs for the Cold of Heart"(2012)を読了。カナダのファン投票では第1位に選ばれた作品である。さっそくレビューを書いておこう。 Songs for the Cold of Heart 作者:Dupont, Eric 発売日: 2018/07/01 メ…

Ian Williams の “Reproduction”(3)

ご存じの方も多いと思うが、先日、Hilary Mantel の最新作 "The Mirror & the Light" が刊行された。かの Wolf Hall Trilogy の掉尾を飾るもので、第1作 "Wolf Hall"(2009 ☆☆☆☆★)、第2作 "Bring up the Bodies"(2012 ☆☆☆★★)につづいて、3度目のブッカ…

Ian Williams の “Reproduction”(2)

先日、勤務先の今年(2019年)度の業績がほぼ判明。前年にくらべ相当悪化したものの、2月にぼくが在宅勤務でこなした分野では成功をおさめたので、やけ酒半分、祝杯半分、ほろ酔い気分で少しばかり高い買い物をしてしまった。財布のひもをゆるめられるのも…

Ian Williams の “Reproduction”(1)

数日前に昨年のギラー賞受賞作、Ian Williams の "Reproduction"(2019)を読みおえたのだが、これまで諸般の事情というやつで、なかなか感想をまとめる時間が取れなかった。新型コロナウイルスのことも話題にしたいけれど、とりあえずレビューをでっち上げ…

"Reproduction" 雑感 (2)

北陸旅行から帰ってきて約2週間。どうやら新型肺炎には感染していなかったようだ。が、1週間前に税務署へ確定申告に出かけ、混雑のなかでかなり手間取ってしまったのが気になる。ぼくはもともと風邪を引きやすいほうで、ついきのうも鼻水が止まらなくなり…

"Reproduction" 雑感

数日前に入ったメールへの対応が、どうやら最後の仕事だったようだ。よもやもうリクエストはあるまい、とやっと安心したところ。 それまで夜討ち朝駆けとは言わないまでも、チャリンとケータイの着信音が鳴るたびに仕事の入ることが多く、パソコンでも同じメ…

Esi Edugyan の “Washington Black”(2)と今年のブッカー賞回顧

ほんとうはスノープス三部作について補足する順番だが、先週からの流れで本書のことを書き足しておこう。 まずこれは10月のブッカー賞発表前、ひとつだけ読みのこしていた候補作。せっかく発表に間に合うように注文したのに、「発送したのですが途中で紛失し…

Esi Edugyan の “Washington Black”(1)

ゆうべ、今年のギラー賞受賞作、Esi Edugyan の "Washington Black"(2018)を読了。周知のとおり、本書は今年のブッカー賞最終候補作でもあり、また、ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベスト5小説にも選ばれている。 ギラー賞はカナダで最も権威のある文学…

Rohinton Mistry の “A Fine Balance”(1)

きのう、1996年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "A Fine Balance"(1996)をやっと読了。先週、愛媛の田舎に帰省する前から読みはじめたが、その後何かと慌ただしく、ずいぶん手間取ってしまった。はて、どんなレビューになりますやら。 追記:…

Michael Redhill の “Bellevue Square”(2)

前回もふれたとおり、これはカナダで最も権威のある文学賞、ギラー賞の2017年度受賞作。また、現地のファン投票(Shadow Giller)でも1位を獲得した作品である。それなのに、ぼくの評価は☆☆★★★(約55点)。あんた、読み方がおかしいんじゃないの、と座布団…

Michael Redhill の “Bellevue Square”(1)

きのう晩酌前に、2017年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)受賞作、Michael Redhill の "Bellevue Square" を読了。日本の読者にはなじみが薄いかもしれないが、カナダでは最も権威のある文学賞である。ひと晩寝かせたところでレビューを書いておこう。B…

Madeleine Thien の “Do Not Say We Have Nothing” (1)

ゆうべようやく、今年のブッカー賞最終候補作、Madeleine Thien の "Do Not Say We Have Nothing" を読了。すっかり遅くなってしまった。諸般の事情というやつで、ひとつには風邪のせいだが、さて、どんなレビューになりますやら。 追記:その後、本書は2016…

Andre Alexis の “Fifteen Dogs” (1)

2015年のギラー賞(the Scotiabank Giller Prize)受賞作、Andre Alexis の "Fifteen Dogs" を読了。この賞は日本の一般読者にはなじみが薄いかもしれないが、カナダでは最も権威のある文学賞である。Fifteen Dogs作者: Andre Alexis出版社/メーカー: Serpen…

Nancy Richler の “The Imposter Bride” (1)

昨年のギラー賞最終候補作、Nancy Richler の "The Imposter Bride" を読了。惜しくも受賞は逃したものの、海外のファン投票では第1位に選ばれた作品である。ぼくが読んだのは、カナダの Harper Collins 社から出ているペイパーバック版だが、日本では現在…

2012年ギラー賞発表 (2012 Giller Prize winner)

今日は Evelio Resero の "The Armies" について補足しようと思ったが、夜になっても仕事をしていたので時間がなくなった。おととい発表されたギラー賞のニュースでお茶を濁しておこう。まず受賞作は Will Ferguson の "419" だが、これは今のところ、ハード…

2012年ギラー賞ショートリスト発表 (2012 Giller Prize shortlist)

"The Orphan Master's Son" を相変わらずボチボチ読んでいる (昨日はうっかり、"The Orphan's Son" と紹介してしまった)。けっこうハマってきたし、書きたいこともあるのだが、なにしろ職場が繁忙期に入り、これを打ちこんでいる今も疲労困憊。そこで今日…

David Bezmozgis の “The Free World” (1)

今日は話題の映画、『ドラゴン・タトゥーの女』をかみさんと一緒に観に行ったあと、帰りの電車の中で、昨年のギラー賞最終候補作、David Bezmozgis の "The Free World" を読みおえた。一杯やりながらではあるが、さっそくレビューを書いておこう。The Free …

Clark Blaise の “The Meagre Tarmac” (1)

昨年のギラー賞1次候補作、Clark Blaise の "The Meagre Tarmac" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Meagre Tarmac作者: Clark Blaise出版社/メーカー: Biblioasis発売日: 2011/06/07メディア: ペーパーバック購入: 1…

2011年ギラー賞発表 (2011 Scotiabank Giller Prize)

トロント時間で11月8日、ギラー賞の発表があり、Esi Edugyan の "Half Blood Blues" が栄冠に輝いた。同書は今年のブッカー賞の最終候補作にも選ばれている。ジャズ・ファンにはごきげんのミュージック・シーンがあり、マイルス・デイヴィスかウィントン・…

Michael Ondaatje の “The Cat's Table” (1)

今年のギラー賞最終候補作、Michael Ondaatje の "The Cat's Table" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Cat's Table作者: Michael Ondaatje出版社/メーカー: Knopf発売日: 2011/10/04メディア: ハードカバー クリック: 1回こ…

Patrick deWitt の “The Sisters Brothers” (1)

今年のブッカー賞最終候補作、Patrick deWitt の "The Sisters Brothers" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。The Sisters Brothers作者: Patrick DeWitt出版社/メーカー: Granta Books (UK)発売日: 2011/05/01メディア: ペーパーバック購入: 1…

Johanna Skibsrud の “The Sentimentalists”(1)

去年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)受賞作、Johanna Skibsrud の "The Sentimentalists" を読みえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Sentimentalists作者: Johanna Skibsrud出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc発売日: 2011/…

Alexander MacLeod の “Light Lifting”(1)

去年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)の最終候補作、Alexander MacLeod の "Light Lifting" をやっと読みおえた。例によってさっそくレビューを書いておこう。 追記:その後、本書は2011年のフランク・オコナー国際短編賞の最終候補作に選ばれました。…

Paulette Jiles の “The Color of Lightning”(1)

昨日読みおえた昨年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)候補作、Paulette Jiles の "The Color of Lightning" のレビューを書いておこう。ショートリストにも残らなかった作品だが、一般読者のあいだでは本命視されていたという記事をどこかで読んだ憶え…