ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

“The Art of Fielding” 雑感 (3)

すっかりブログをサボってしまった。今週は、祭日はあったけれど職場が今年最後の繁忙期に入り、家に帰ると疲れがどっと出てきてバタンキュー。とても本を読む気にはなれず、米アマゾンで買ったブルーレイ版「フェリーニのアマルコルド」の英語字幕を追いか…

“The Art of Fielding” 雑感 (2)

体調はまずまず回復してきたが、先週末は土曜出勤→ストレス→痛飲→日曜の朝寝坊という、最近よくあるパターン。いけませんな。ただ、飲みながら久しぶりに観た「忍ぶ川」がとてもよかった。ぼくはべつにコマキストではないが、彼女はこの作品1本で心に残って…

“The Art of Fielding” 雑感 (1)

ここ1週間ばかり、過労のせいか寒さのせいか血圧が上がり、どうも活字を追いかける気力がわいてこなかった。わざわざ米アマゾンで買ったブルーレイ版「フェリーニのアマルコルド」も、英語の字幕に目が疲れ、まだ半分しか観ていない。(画質は期待したほど…

2011年全米図書賞発表 (2011 National Book Award for Fiction)

ニューヨーク時間で11月16日、今年の全米図書賞が発表され、小説部門で Jesmyn Ward の "Salvage the Bones" が栄冠に輝いた。ぼくはてっきり、Tea Obreht の "The Tiger's Wife" が受賞するものと思いこんでいたので意外な結果だ。このところ1日1話のカタ…

“Binocular Vision” 雑感 (3)

相変わらずボチボチ読みつづけ、やっと binocular vision というフレーズが出てくる話にたどりついた。これまた「さしたる事件は何も起こらないと言っていいのに、案外よく出来ている」。ある日突然、ボストン郊外の町にアイルランド系の夫と日系の妻がふら…

Michael Ondaatje の “The Cat's Table” (2)

ぼくにはこれ、かなり退屈な作品だったが、あちらの評判はとてもよく、ギラー賞こそ逃したものの、カナダでは発売当初からベストセラーだし、つい最近発表された米アマゾンの年間ベスト10小説にも選ばれている。 ぼくが本書にケチをつけたのは、本文にもその…

2011年ギラー賞発表 (2011 Scotiabank Giller Prize)

トロント時間で11月8日、ギラー賞の発表があり、Esi Edugyan の "Half Blood Blues" が栄冠に輝いた。同書は今年のブッカー賞の最終候補作にも選ばれている。ジャズ・ファンにはごきげんのミュージック・シーンがあり、マイルス・デイヴィスかウィントン・…

Michael Ondaatje の “The Cat's Table” (1)

今年のギラー賞最終候補作、Michael Ondaatje の "The Cat's Table" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Cat's Table作者: Michael Ondaatje出版社/メーカー: Knopf発売日: 2011/10/04メディア: ハードカバー クリック: 1回こ…

“The Cat's Table” 雑感 (2)

昨日は結局、こちらの続きを読むことにした。短編集ならいつでも気軽に戻れるが、長編はいったん離れると、元の流れを思い出すのに時間がかかり、印象がぼやけてしまう恐れがある。それに、ギラー賞の発表が目前に迫っている。ぼくにしては珍しくハードカバ…

“Binocular Vision” 雑感 (2) と “The Cat's Table” 雑感 (1)

今週は仕事三昧で、文化の日も終日「自宅残業」に追われ、今日も土曜なのに出勤。おかげで本はボチボチしか読めなかった。 まず "Binocular Vision" だが、前回、「どの物語も幕切れで、それまで深く潜行していた感情が水面にぱっと浮かんできて、波紋が一気…

“Binocular Vision” 雑感 (1)

このところ長編と短編集を交互に読んでいて、今回は長編のまわり。実際、Alison Espach の "The Adults" に取りかかっていたのだが、今年の全米図書賞の候補作、Edith Pearlman の短編集、"Binocular Vision" が意外に早く手元に届いた。見ると、Ann Patchet…