20世紀および現代フランス文学
外出時、バスの友をどうしようか迷っていたら、新刊ペイパーバックが二冊届いた。今年の国際ブッカー賞受賞作 "Heart Lamp"(2025)と、同じく今年の女性小説賞最終候補作 "Tell Me Everything"(2024)である。 後者はご存じ Elizabeth Strout の作品で、現…
ちょうど一週間前、ある現地ファンのこんなコメントを見かけた。Not really a prediction but a discussion starter to mark 1st June and the official opening of Longlist speculation season. 彼が公開したリストはこうだ。 “We Pretty Pieces of Flesh”…
先日、小用で外出。何日かぶりに "Mrs Palfrey at the Claremont"(1971)をバスのなかで読むことができた。相変わらず面白い。 Mrs Palfrey は老婦人で、夫はとうに他界。スコットランドに住む娘の Elizabeth と別れ、ロンドンの二流ホテル the Clarement …
きのう、今年の国際ブッカー賞最終候補作、Vincent Delecroix の "Small Boat"(2023, 英訳2024)を読了。Vincent Delecroix(1969 - )はフランスの哲学者、作家で、"Small Boat"(原題 "Naufrage")は2023年のゴンクール賞一次候補作でもあった。さっそく…
国際ブッカー賞の発表日が近づいてきた。現地ファンによる最新人気ランキングはつぎのとおり。"Perfection" が対抗馬に浮上するなどレース展開に少し変化が見受けられる。 1. Small Boat by Vincent Delecroix 2. Perfection by Vincenzo Latronico 3. On th…
二兎を追う者は一兎をも得ず。 相変わらず、"Bleak House"(1853)と "The Prime of Miss Jean Brodie"(1961)の併読をつづけているが、どちらも中途半端。どうもうまくいかない。一方で興が乗ってきたところで他方にうつり、元にもどると前ほど乗れない。…
おととい愛媛への帰省旅行から帰ってきた。宇和島~松山~岡山と乗り継ぎ、東京行き新幹線の車中で、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "After the Circus"(1992, 英訳2015)を読了。数えて16冊めの Modiano だ。レビューが書けたら、「Patrick …
本書を読もうと思ったきっかけは、後日起きた大事件とはなんの関係もない。遅まきながら注文した今年のブッカー賞最終候補作が手元に届くまでの、いわば場つなぎに、積ん読の山からテキトーに見つくろっただけだ。 Houellebecq はフランスのベストセラー作家…
先週7回目のコロナワクチン接種を受けてから絶不調。こんども副反応がひどかった。めずらしく高熱こそ出なかったものの、注射したほうの腕と両手がやけに痛かった。鎮痛剤を服まないと痛みがぶり返し、ほとんどコロナにかかったようなものだった。 いまも、…
きのう、フランスのベストセラー作家 Michel Houellebecq(1956 - )の "Submission"(原作・英訳2015)を読了。Wiki によると、仏語版が発売された1月7日、フランスの週刊風刺新聞シャルリー・エブド紙の本社にイスラム過激派テロリストが乱入、編集長そ…
前回採りあげた "The Occupation Trilogy" で、架蔵している Modiano 作品はすべて読了。ほかに何冊か気になるものはあるが、いますぐ読みたいほどではない。そこで既読作品一覧をアップするとともに、My Favorite 3 を選んでみることにした。 その前にまず…
今年もブッカー賞の季節がやってきた。ロングリストの発表が迫り(ロンドン時間今月26日)、現地ファンのあいだでは例年どおり、いろいろな予想が飛びかっている。ぼくもじつは1ヵ月前くらいから下馬評をチラ見しているのだが、いまのところまだ、大本命と…
ノルウェーのノーベル賞作家 Knut Hamsun(1859 – 1952)の "Hunger"(1890, 英訳1996)をボチボチ読んでいる。薄い本なのだけど、いっこうに進まない。 英語そのものはごく標準的で読みやすい。取りかかったとたん、これなら楽勝と思ったくらい。だけど、そ…
"Young Once"(1981)がとてもよかったので(☆☆☆★★★)、つづけてまた Modiano が読みたくなった。いわゆる〈モディアノ中毒〉の症状である。ぼくは重症ではないけど、軽く患っている。 そこで手に取ったのが表題作(2014)。これもよかった(☆☆☆★★)。Modian…
表題作は、そういえば今年はまだ Modiano を読んでなかったな、と気づいて取りかかった。それからほぼ2ヵ月。ふだんは1週間もすれば粗筋を忘れてしまうこともあるのに、これは本にはさんでいる読書メモを見てすぐに思い出した。秀作でしょう。 冒頭の舞台…
きのう、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第三作、"Ring Roads"(原作1972, 英訳1974)を読了。本書は "The Occupation Trilogy"(2015)の第三巻でもある。さっそくレビューを書いておこう。 The Occupation Trilogy: La Place De L'etoile / T…
きのう、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第二作、"The Night Watch"(原作1969, 英訳1971)を読了。本書は "The Occupation Trilogy"(2015)の第二巻でもある。さっそくレビューを書いておこう。 The Occupation Trilogy: La Place De L'etoil…
数日前、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第一作、"La Place de l'Étoile"(原作1968, 英訳2015)を読みおえたのだが、諸般の事情で、きょうまでレビューもどきをでっち上げる時間が取れなかった。 本書は2015年に刊行された "The Occupation Tr…
フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の近作、"Invisible Ink"(2019, 英訳2020)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Invisible Ink: A Novel (The Margellos World Republic of Letters) 作者:Modiano, Patrick Yale University Press Amazon …
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "So You Don't Get Lost in the Neighborhood"(原作2014, 英訳2015)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 So You Don't Get Lost In The Neighborhood (English Edition) 作者:Modiano, Patrick…
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "Young Once"(原作1981, 英訳2016)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Young Once (New York Review Books Classics) (English Edition) 作者:Modiano, Patrick NYRB Classics Amazon [☆☆☆★★★]…
諸般の事情でしばらくデスクから離れていたが、最近になってやっと、ボチボチ Orhan Pamuk の "The Black Book"(原作1990, 英訳2006)を読んでいる。なかなか面白い。 Pamuk は2006年にノーベル文学賞を受賞。その直後に本書の英訳版も刊行されたものと思わ…
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Black Notebook (English Edition) 作者:Modiano, Patrick MacLehose Press Amazon [☆☆☆] モディアノ版『黒革の…
前回採りあげた "Bewilderment" がいまいちピンとこなかったので(☆☆☆)、口直しに Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)に取りかかった。Modiano を読むのは表題作(1990, 英訳1992)以来、ほぼ1ヵ月半ぶりだ。 その "Honeymoon" だ…
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家、Patrick Modiano の "Honeymoon"(1990, 英訳1992)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Honeymoon (Verba Mundi) 作者:Modiano, Patrick David R. Godine Publisher Amazon [☆☆☆★] ラストの虚無感、喪失感がたまら…
David Diop の "At Night All Blood Is Black" を読了。周知のとおり今年の国際ブッカー賞最終候補作で、仏語の原作 "Frère d'âme"(2018)は刊行年に Prix Goncourt des Lycéens(高校生のゴンクール賞)を受賞。英訳版(2020)も先日、ロサンゼルス・タイ…
"To the Lighthouse" のつぎに表題作を読もうと思ったのも、きっかけはほんの偶然だった。洋書は著者のアルファベット順に書棚に並べているので、Woolf, Virginia のすぐ隣りが Yourcenar, Marguerite だからだ。"Oriental Tales"(1938)も気になったけど、…
きのう、Marguerite Yourcenar の "Memoirs of Hadrian"(1951)を読了。仏語からの英訳版である。さっそくレビューを書いておこう。 Modern Classics Memoirs of Hadrian (Penguin Modern Classics) 作者:Yourcenar, Marguerite 発売日: 2001/02/06 メディ…
と題したものの、今年も読書量はお寒いかぎり。とてもベスト3など選べたものではない。このぶんでは、寝床のなかで追いかけている日本文学と同様、10冊未満のなかからマイベスト選出という笑い話のような年も、そう遠くはなさそうだ。 それどころか、今年刊…
前回、これからは「残務整理のようなものだ」と書いたテンプの仕事、いざ始まってみると目が回るような忙しさで、今週までテンテコ舞いだった。しかも、たしかに来月から出勤はしなくていいものの、メールのやりとりで在宅勤務を強いられることが判明。文明…