ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

20世紀および現代フランス文学

Patrick Modiano の既読作品一覧とゴヒイキ作品ベスト3

前回採りあげた "The Occupation Trilogy" で、架蔵している Modiano 作品はすべて読了。ほかに何冊か気になるものはあるが、いますぐ読みたいほどではない。そこで既読作品一覧をアップするとともに、My Favorite 3 を選んでみることにした。 その前にまず…

Patrick Modiano の “The Occupation Trilogy”

今年もブッカー賞の季節がやってきた。ロングリストの発表が迫り(ロンドン時間今月26日)、現地ファンのあいだでは例年どおり、いろいろな予想が飛びかっている。ぼくもじつは1ヵ月前くらいから下馬評をチラ見しているのだが、いまのところまだ、大本命と…

Patrick Modiano の “Invisible Ink” (2)

ノルウェーのノーベル賞作家 Knut Hamsun(1859 – 1952)の "Hunger"(1890, 英訳1996)をボチボチ読んでいる。薄い本なのだけど、いっこうに進まない。 英語そのものはごく標準的で読みやすい。取りかかったとたん、これなら楽勝と思ったくらい。だけど、そ…

Patrick Modiano の “So You Don't Get Lost in the Neighborhood”(2)

"Young Once"(1981)がとてもよかったので(☆☆☆★★★)、つづけてまた Modiano が読みたくなった。いわゆる〈モディアノ中毒〉の症状である。ぼくは重症ではないけど、軽く患っている。 そこで手に取ったのが表題作(2014)。これもよかった(☆☆☆★★)。Modian…

Patrick Modiano の “Young Once”(2)

表題作は、そういえば今年はまだ Modiano を読んでなかったな、と気づいて取りかかった。それからほぼ2ヵ月。ふだんは1週間もすれば粗筋を忘れてしまうこともあるのに、これは本にはさんでいる読書メモを見てすぐに思い出した。秀作でしょう。 冒頭の舞台…

Patrick Modiano の “Ring Roads”(1)

きのう、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第三作、"Ring Roads"(原作1972, 英訳1974)を読了。本書は "The Occupation Trilogy"(2015)の第三巻でもある。さっそくレビューを書いておこう。 The Occupation Trilogy: La Place De L'etoile / T…

Patrick Modiano の “The Night Watch”(1)

きのう、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第二作、"The Night Watch"(原作1969, 英訳1971)を読了。本書は "The Occupation Trilogy"(2015)の第二巻でもある。さっそくレビューを書いておこう。 The Occupation Trilogy: La Place De L'etoil…

Patrick Modiano の “La Place de l'Étoile”(1)

数日前、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の第一作、"La Place de l'Étoile"(原作1968, 英訳2015)を読みおえたのだが、諸般の事情で、きょうまでレビューもどきをでっち上げる時間が取れなかった。 本書は2015年に刊行された "The Occupation Tr…

Patrick Modiano の “Invisible Ink” (1)

フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の近作、"Invisible Ink"(2019, 英訳2020)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Invisible Ink: A Novel (The Margellos World Republic of Letters) 作者:Modiano, Patrick Yale University Press Amazon …

Patrick Modiano の “So You Don't Get Lost in the Neighborhood”(1)

ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "So You Don't Get Lost in the Neighborhood"(原作2014, 英訳2015)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 So You Don't Get Lost In The Neighborhood (English Edition) 作者:Modiano, Patrick…

Patrick Modiano の “Young Once”(1)

ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "Young Once"(原作1981, 英訳2016)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Young Once (New York Review Books Classics) (English Edition) 作者:Modiano, Patrick NYRB Classics Amazon [☆☆☆★★★]…

Patrick Modiano の “The Black Notebook”(2)

諸般の事情でしばらくデスクから離れていたが、最近になってやっと、ボチボチ Orhan Pamuk の "The Black Book"(原作1990, 英訳2006)を読んでいる。なかなか面白い。 Pamuk は2006年にノーベル文学賞を受賞。その直後に本書の英訳版も刊行されたものと思わ…

Patrick Modiano の “The Black Notebook”(1)

ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Black Notebook (English Edition) 作者:Modiano, Patrick MacLehose Press Amazon [☆☆☆] モディアノ版『黒革の…

Patrick Modiano の “Honeymoon”(2)

前回採りあげた "Bewilderment" がいまいちピンとこなかったので(☆☆☆)、口直しに Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)に取りかかった。Modiano を読むのは表題作(1990, 英訳1992)以来、ほぼ1ヵ月半ぶりだ。 その "Honeymoon" だ…

Patrick Modiano の “Honeymoon”(1)

ゆうべ、フランスのノーベル賞作家、Patrick Modiano の "Honeymoon"(1990, 英訳1992)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Honeymoon (Verba Mundi) 作者:Modiano, Patrick David R. Godine Publisher Amazon [☆☆☆★] ラストの虚無感、喪失感がたまら…

David Diop の “At Night All Blood Is Black”(1)

David Diop の "At Night All Blood Is Black" を読了。周知のとおり今年の国際ブッカー賞最終候補作で、仏語の原作 "Frère d'âme"(2018)は刊行年に Prix Goncourt des Lycéens(高校生のゴンクール賞)を受賞。英訳版(2020)も先日、ロサンゼルス・タイ…

Marguerite Yourcenar の “Memoirs of Hadrian”(2)

"To the Lighthouse" のつぎに表題作を読もうと思ったのも、きっかけはほんの偶然だった。洋書は著者のアルファベット順に書棚に並べているので、Woolf, Virginia のすぐ隣りが Yourcenar, Marguerite だからだ。"Oriental Tales"(1938)も気になったけど、…

Marguerite Yourcenar の “Memoirs of Hadrian”(1)

きのう、Marguerite Yourcenar の "Memoirs of Hadrian"(1951)を読了。仏語からの英訳版である。さっそくレビューを書いておこう。 Modern Classics Memoirs of Hadrian (Penguin Modern Classics) 作者:Yourcenar, Marguerite 発売日: 2001/02/06 メディ…

2020年ぼくのベスト3小説

と題したものの、今年も読書量はお寒いかぎり。とてもベスト3など選べたものではない。このぶんでは、寝床のなかで追いかけている日本文学と同様、10冊未満のなかからマイベスト選出という笑い話のような年も、そう遠くはなさそうだ。 それどころか、今年刊…

Loius-Ferdinand Céline の “Journey to the End of the Night”(3)

前回、これからは「残務整理のようなものだ」と書いたテンプの仕事、いざ始まってみると目が回るような忙しさで、今週までテンテコ舞いだった。しかも、たしかに来月から出勤はしなくていいものの、メールのやりとりで在宅勤務を強いられることが判明。文明…

Loius-Ferdinand Céline の “Journey to the End of the Night”(2)

先週は3連休もあったけど、ぼくはそんなことに関係なく最後の仕事の突貫工事。近所の公園で行われたどんど焼きに参加したくらいで、あとはほとんどデスクに向かっていた。 その甲斐あって、きょうの午前中でやっと一連の作業が終了。来週からは残務整理のよ…

Loius-Ferdinand Céline の “Journey to the End of the Night”(1)

ゆうべ、Loius-Ferdinand Céline の "Journey to the End of the Night"(1932, 英訳1983)をやっと読了。さっそくレビューを書いておこう。 Journey to the End of the Night (New Directions Paperbook) 作者:Louis-Ferdinand Celine,Ralph Manheim 出版社…

“Journey to the End of the Night” 雑感

きょうは仕事始め、と言いたいところだが、じつは三が日もちょっとだけ〈自宅残業〉。元日も例年どおり鶴岡八幡宮に初詣のあと、お雑煮が出来るまでデスクに向かっていた。 3日にひと区切りがつき、4日からべつの作業を開始。どれも自分で企画した仕事なの…

Patrick Modiano の “Sundays in August”(2)

今週は予定どおり、Bernardine Evaristo の "Girl, Woman, Other"(2019)を読んでいる。先々週だったか、ちょっとだけ試読。先週 Margaret Atwood の "The Testaments"(2019 ☆☆☆★★)に乗り換えたあと、改めて最初からじっくり Evaristo のほうに取りかかっ…

Patrick Modiano の “Sundays in August”(1)

予約注文していた Margaret Atwood の "The Testaments" がまだ手元に届かない。かの "The Handmaid's Tale"(1985 ☆☆☆☆)の続編とあって、話題性という点では今年のブッカー賞候補作のなかで断トツと思われるのだけど、発売日は今月10日。それなのに英米ア…

ぼくの『マルセルの夏』

きょうの昼過ぎ、パリ経由でマルセイユから帰ってきた。マルセイユには二泊したが、観光に費やしたのは実質一日だけ。遊覧船に乗ったあと、港に面したレストランでブイヤベースを食べているうちに、ああ、これで今夏、いや今年のハイライトもおしまいか、と…

Annie Ernaux の “The Years”(1)

ゆうべ、横浜のさるホテルで催された某氏の米寿を祝う会に出席。ここで名前を書くと、え、とみなさんが驚くような有名人も祝辞を述べた。そのあと会場のあちこちで昔話に花が咲き、ぼくも来し方をしばし振り返った。その歳月を文字で表現するなら、どういう…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(2)

ああ、やっぱり Anna Burns の "Milkman" (2018)がブッカー賞に引き続き、全米批評家協会賞も獲ってしまいましたね。前回も書いたとおり、まず順当な結果だろう。 ちなみに過去、同賞とブッカー賞のダブル受賞に輝いた作品は2冊ある。 ぼくの独断と偏見に…

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(2)と2018年ニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説

とても面白い本を読んでいるとき、過去記事の続きを書くのは面倒くさいものだ。もっか取り組んでいるのは、Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)。すこぶるつきのメロドラマだが、近代文化と古い伝統との衝突など、いろいろ考え…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(1)

きのう、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Patrick Chamoiseau の "Slave Old Man" を読了。Patrick Chamoiseau は1992年に "Texaco" という作品でゴンクール賞を受賞したこともある作家で、カリブ海のマルティニーク島出身。本書は…