ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

アレックス賞および青春小説

Patrick Modiano の “Villa Triste”(1)

ご存じフランスのノーベル賞作家、Patrick Modiano の "Villa Triste"(1975)を読了。さっそくレビューを書いておこう。Villa Triste: A Novel作者:Modiano, PatrickOther PressAmazon[☆☆☆★★] あの夏、ぼくは18歳。アルジェリア戦争の災禍を逃れ、遠くにス…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (1)

ゆうべ、L. P. Hartley の "The Go-Between" を読了。Hartley は、創元推理文庫『怪奇小説傑作集2』の第1話「ポドロ島」の作者である。さて、ひと晩寝かせたところで、どんなレビューになるでしょうか。 追記:その後、映画化されていることを発見しました…

Ottessa Moshfegh の “Eileen” (1)

今年のブッカー賞最終候補作、Ottessa Moshfegh の "Eileen" をゆうべ読了。ひと晩寝かせたところで、さて、どんなレビューが書けますやら。Eileen: Shortlisted for the Man Booker Prize 2016作者:Moshfegh, OttessaRandom House UK LtdAmazon[☆☆☆★] なる…

Lisa O'Donnell の “The Death of Bees” (1)

2013年の英連邦作品賞(旧英連邦作家賞)および2014年のアレックス賞受賞作、Lisa O'Donnell の "The Death of Bees" を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Death of Bees作者:O'Donnell, LisaRandom House UK LtdAmazon[☆☆☆★★] 三分の二あたりまで…

Donna Tartt の “The Secret History”(1)

Donna Tartt の "The Secret History" (1992) を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Secret History: From the Pulitzer Prize-winning author of The Goldfinch作者:Tartt, DonnaPenguin Books Ltd (UK)Amazon[☆☆☆] 看板に偽りあり。重大な秘密が長…

Tolstoy の “Childhood, Boyhood, Youth”

正月休みからボチボチ読んでいた Tolstoy の "Childhood, Boyhood, Youth" を昨日、やっと読了。15年ぶりの再読である。さっそくレビューを書いておこう。なお、星数による評価はまったく意味がないと思いつつ、今回もお遊びで採点してしまった。が本来、「…

Maria Semple の “Where'd You Go, Bernadette” (1)

オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の最終候補作、Maria Semple の "Where'd You Go, Bernadette" を読了。これは今年のアレックス賞受賞作でもあり、昨年のタイム誌の年間ベスト10小説や、Janet Maslin の10 Favorite Books にも選ばれている。さ…

David Mitchell の “Black Swan Green” (1)

David Mitchell の "Black Swan Green" を読了。2006年のブッカー賞一次候補作で、2007年のアレックス賞受賞作である。さっそくレビューを書いておこう。Black Swan Green: Longlisted for the Booker Prize作者:Mitchell, DavidHodder And Stoughton Ltd.Am…

Tupelo Hassman の “Girlchild” (1)

今年のアレックス賞受賞作のひとつ、Tupelo Hassman の "Girlchild" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Girlchild作者:Hassman, TupeloPicador USAAmazon[☆☆☆★] 親子の絆、家族愛、そして通過儀礼をテーマにすえた文学的なコラージュ。ネヴァダ州の田…

Robin Sloan の “Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore” (1)

今年のアレックス賞受賞作のひとつ、Robin Sloan の "Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore作者:Sloan, RobinFarrar Straus & GirouxAmazon[☆☆☆★] 序盤は最高。サンフランシスコに…

2013年アレックス賞発表 (2013 Alex Awards)

シアトル時間で28日、ヤング・アダルト向けの作品を対象とするアレックス賞が発表された。ぼくが読んでもいいなと思った3冊と、去年の全米図書賞に輝いた "The Round House " など既読の2冊のほかは、タイトルと作家名のみ掲載しておきます。Girlchild作者…

Cesare Pavese の “The Political Prisoner” と “The Beautiful Summer” (1)

杞憂だと思いたいが、9月13日の日記に「〈ブログ炎上もの〉」と書いた心配が現実のものになりつつあるようだ。同日もふくめ、何日か連続して論じた作家についてネットで検索したところ、なんと一連の記事にたどり着けなくなっているのだ。不思議に思い、作…

Ernest Cline の “Ready Player One”(1)

今年のアレックス賞受賞作のひとつ、Ernest Cline の "Ready Player One" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。(追記:本書は2018年、スティーヴン・スピルバーグ監督により映画化され、日本でも『レディ・プレイヤー1』と…

Eleanor Henderson の “Ten Thousand Saints” (1)

先週の月曜日、愛媛の田舎で長らく療養中だった父が永眠した。急遽帰省し、水曜日に葬儀。そのあと、お寺や役所関係などの事後処理に忙殺され、とうに読みおえていた本書のレビューがなかなか書けなかった。昨年のニューヨーク・タイムズ紙選最優秀作品のひ…

Kevin Wilson の “The Family Fang” (1)

Kevin Wilson の "The Family Fang" を読了。去年のタイム誌選定ベスト10小説のひとつで、アマゾンUKの小説部門でも優秀作品に選ばれている。さっそくレビューを書いておこう。Family Fang作者: Kevin Wilson出版社/メーカー: Picador USA発売日: 2011/09/01…

Jesmyn Ward の “Salvage the Bones” (1)

昨年の全米図書賞受賞作で、今年のアレックス賞受賞作のひとつでもある Jesmyn Ward の "Salvage the Bones" を読みおえた。例によってまずレビューを書いておこう。Salvage the Bones作者: Jesmyn Ward出版社/メーカー: Bloomsbury Pub Plc USA発売日: 2011…

David Levithan の “The Lover's Dictionary” (1)

今年のアレックス賞受賞作のひとつで、去年の米アマゾン年間ベスト10小説にも選ばれた David Levithan の "The Lover's Dictionary" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Lover's Dictionary作者: David Levithan出版社/メーカー: Pi…

Heidi W. Durrow の “The Girl Who Fell from the Sky”(1)

昨日の夕食後、もっかニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー第15位、Heidi W. Durrow の "The Girl Who Fell from the Sky" に取りかかった。これがまたクイクイ読める作品で、通勤中はもちろん職場でもヒマを見つけて読みつづけ、帰…

Julie Orringer の “How to Breathe Underwater”(1)

現在アメリカで "The Invisible Bridge" が人気を博している Julie Orringer の処女短編集、"How to Breathe Underwater" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。How to Breathe Underwater (Vintage Contemporaries)作者: Julie Orringer出…

DC Pierson の “The Boy Who Couldn't Sleep and Never Had To”(1)

今年のアレックス賞受賞作の一つ、DC Pierson の "The Boy Who Couldn't Sleep and Never Had To" をやっと読みえた。さっそくレビューを書いておこう。The Boy Who Couldn't Sleep and Never Had To (Vintage Contemporaries)作者: DC Pierson出版社/メーカ…

Alden Bell の “The Reapers Are the Angels”(1)

今年のアレックス賞受賞作の一つ、Alden Bell の "The Reapers Are the Angels" を読了。例によってさっそくレビューを書いておこう。The Reapers Are the Angels作者: Alden Bell出版社/メーカー: Holt Paperbacks発売日: 2010/08/03メディア: ペーパーバッ…

Kevin Wilson の “Tunneling to the Center of the Earth”(1)

去年のアレックス賞受賞作のひとつ、Kevin Wilson の "Tunneling to the Center of the Earth" を読みおえた。さっそく、いつものようにレビューを書いておこう。Tunneling to the Center of the Earth: Stories (P.S.)作者: Kevin Wilson出版社/メーカー: E…

Jamie Ford の “Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”(2)

今日は土曜にもかかわらず出勤。今年最後の繁忙期だ。帰宅して何とか時間ができたので、昨日読みおえたニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー、Jamie Ford の "Hotel on the Corner of Bitter and Sweet" のレビューを書いておこう。Hotel on the Corner o…

Emma Donoghue の “Room”(1)

昨日は結局、小人閑居して不善を為すで、終日ダラダラ過ごしてしまった。明けて今日は今年のブッカー賞最終候補作のひとつ、Emma Donoghue の "Room" に取り組み、何とか残り3分の2を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Room作者: Emma …

Paul Murray の “Skippy Dies”(1)

今年のブッカー賞候補作、Paul Murray の "Skippy Dies" をやっと読みおえた。さっそく、いつものようにレビューを書いておこう。Skippy Dies作者:Murray, PaulFarrar Straus & GirouxAmazonSkippy Dies作者:Murray, PaulHamish HamiltonAmazon[☆☆☆☆] 学園も…

Lorrie Moore の “A Gate at the Stairs”(1)

一週間もこのブログをサボってしまったが、職場の繁忙期にくわえ、たぶんあとから振り返るとひとつの激動期だったと思える日々が続いたのが原因。ダッチロールの末、ぶじ元の飛行場へ戻って気がついた。ぼくはふだん本を読み、少しは人生のことが分かってい…

William Trevor の "Love and Summer"(1)

今年のブッカー賞候補作の一つ、William Trevor の "Love and Summer" を読みおえた。さっそく、いつものようにレビューを書いておこう。Love and Summer作者: William Trevor出版社/メーカー: Viking発売日: 2009/08/17メディア: ペーパーバック購入: 1人 …

Sadie Jones の "The Outcast"(1)

今年のコスタ賞最優秀新人賞作品、Sadie Jones の "The Outcast" を読了。ずっと以前から気になっていた本だが、もっと早く読むべきだった。さっそくレビューを書いておこう。The Outcast作者: Sadie Jones出版社/メーカー: Vintage発売日: 2008/06/16メディ…

Hannah Tinti の "The Good Thief"(1)

やっと読み終えた。例によって今までの雑感をレビューにまとめておこう。The Good Thief作者: Hannah Tinti出版社/メーカー: Tinder Press発売日: 2009/03/19メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る[☆☆☆★★] 09年アレックス賞受賞作のひ…

David Benioff の "City of Thieves"(1)

いやはや、面白かった! 一昨日の雑感ではつい「文芸エンタメ系のノリ」とケチをつけてしまったが、たとえ本質はそうであっても、これだけ面白いと文句を言うほうがおかしい。今年2回目の台詞だが、アレックス賞万歳!City of Thieves作者: David Benioff出…