ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

アカデミー賞および映画化作品

Dino Buzzati の “The Tartar Steppe”(1)

イタリアの作家 Dino Buzzati(1906 – 1972)の "The Tartar Steppe"(1940, 英訳1952)を読了。ヴァレリオ・ズルリーニ監督の遺作『タタール人の砂漠』(1976)の原作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Tartar Steppe (Canons Book 90) (Englis…

Khaled Hosseini の “The Kite Runner”(1)

Khaled Hosseini の大ベストセラー "The Kite Runner"(2003)を読了。周知のとおり、これは2007年に映画化され日本でも公開されている。邦題は『君のためなら千回でも』。さっそくレビューを書いておこう。 The Kite Runner (English Edition) 作者:Hossein…

Donna Tartt の “The Goldfinch”(1)

2014年のピューリツァー賞受賞作、Donna Tartt の "The Goldfinch"(2013)を読了。周知のとおり、これは2019年に映画化されたが日本では未公開。ただし Amazon Prime Video では鑑賞できるようだ。邦題は『ザ・ゴールドフィンチ』。さっそくレビューを書い…

William Faulkner の “The Reivers”(2)

いまでこそ、「なにから読むか、フォークナー」などと気どったタイトルの記事を本ブログに載せているが、じつは Faulkner を英語で読むようになったのは2000年の夏から。そう遠い昔ではない。 高校時代には翻訳で『八月の光』その他を読んでいたものの、大学…

William Faulkner の “The Reivers”(1)

William Faulkner の最後の長編 "The Reivers"(1962)を読了。Faulkner は本書の刊行後に他界したが、翌1963年、本書で "A Fable"(1954 ☆☆☆★★★)以来二度目のピューリツァー賞受賞。1969年には、"The Reivers" はスティーヴ・マックィーン主演で映画化され…

Pascal Mercier の “Night Train to Lisbon”(2)

この英訳版は2008年に刊行されたものだが、いつ、どんなきっかけで手に入れたのかも憶えていない。"Night Train to Lisbon" って、いいタイトルだなと思ったのか、それとも、ロマンティックなカバー写真に惹かれたのか。どちらにしても、ぼくはいつも内容を…

Pascal Mercier の “Night Train to Lisbon”(1)

スイスの作家で哲学者 Pascal Mercier の世界的なベストセラー、"Night Train to Lisbon"(原作2004、英訳2008)を読了。ご存じのとおり本書は映画化され、日本でも2014年に『リスボンに誘われて』という邦題で公開されている。さっそくレビューを書いておこ…

William Faulkner の “The Hamlet”(1)

ああ、やっぱりヤマカンどおり、今年の全米図書賞は Sigrid Nunez の "The Friend" に決まりましたね! しかし当面、読書予定はけっこう詰まっている。とりあえず、来年2月に出るというペイパーバック版を待つことにしよう。 さて、このところ体調不良につ…

Philip Roth の “The Human Stain”

相変わらず過去記事の整理中。きょうも前回同様、本ブログでは未発表のレビューでお茶を濁しておこう。 なんだ、それならコピペすればいいだけじゃん、と思われるかもしれないが、昔のレビューほど〈拙文度〉が激しい。しかも、点数評価をしていない場合が多…

Lawrence Durrell の "Justine(Alexandria Quartet 1)"(1)

きのう Lawrence Durrell の "Justine"(1957)を読了。周知のとおり、これは The Alexandria Quartet の第1部であり、本来なら著者の意図どおり、4部作を a single work として読み、レビューを書くべきところだが、いつになったら完読できるのかわからな…

Andrew Sean Greer の “Less”(2)とゲイ小説名作選

本書のピューリッツァー賞受賞は意外と思った人が多いかもしれない。P Prize. com の直前予想では泡沫候補扱いだったからだ。 本命視されていたのは、昨年の全米図書賞受賞作、Jesmyn Ward の "Sing, Unburied, Sing"(☆☆☆★★)。ついで、今年(対象は昨年)…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (1)

ゆうべ、L. P. Hartley の "The Go-Between" を読了。Hartley は、創元推理文庫『怪奇小説傑作集2』の第1話「ポドロ島」の作者である。さて、ひと晩寝かせたところで、どんなレビューになるでしょうか。 追記:その後、映画化されていることを発見しました…

Thomas Mann の “Death in Venice”

Thomas Mann の短編は高校生のとき、途中で挫折したり、最後まで読んでも読んだ気がしなかったり。以来、長らく宿題となってしまったが、昨年末、Vintage 版で悪戦苦闘しながら読了。それからさらに雑感を書きつづけ、今日やっと、以下のレビューらしきもの…

Stendhal の "The Red and the Black"

えんえん19回も雑感を書き綴ったおかげで、ようやくレビューらしきものにたどり着けた。われながら浮世ばなれした話だ。またおそらく、現代文学の趨勢とも関係ないだろう。だが、ぼくにとっては青春時代以来の再々読であり、自分なりに真剣に取り組む必要が…

H. E. Bates の “A Month by the Lake & Other Stories” (1)

世間とちがって今日は出勤日だったが、H. E. Bates の短編集、"A Month by the Lake & Other Stories" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。A Month by the Lake and Other Stories (New Directions Paperbook)作者: H. E. Bates出版社/メ…

M. L. Stedman の “The Light between Oceans” (1)

オーストラリアの新人女流作家 M. L. Stedman のデビュー作、"The Light between Oceans" を読了。映画化が予定されているそうだ。さっそくレビューを書いておこう。 追記:その後、本書は実際に映画化され、2016年に「光をくれた人」との邦題で日本でも公開…

Colm Toibin の "Brooklyn"(1)

今年のブッカー賞候補作のひとつで、最近はまたコスタ賞にもノミネートされている Colm Toibin の "Brooklyn" を何とか読みおえた。さっそくまず、いつものようにレビューを書いておこう。 追記:本書は2015年に映画化され、第88回アカデミー賞の作品賞、脚…

Flaubert の "Madame Bovary"

フローベールの名作『ボヴァリー夫人』を Oxford World's Classics 版で読みおえた。今までの雑感とたいして変わらないが、さっそくレビューを書いておこう。 本書は1933年にジャン・ルノワール監督作品として初めて映画化され、その後も何度か映画化されて…

Tatiana de Rosnay の "Sarah's Key"(1)

昨日、Tatiana de Rosnay の "Sarah's Key" を読了。一日たって、だいぶ冷静に考えられるようになったが、読みおわった直後はしばし目頭が熱くなった。 追記:その後、本書は映画化され、2010年に日本でも「サラの鍵」として公開されました。Sarah's Key: Fr…

"Moby-Dick" と「闇の力」(5)

エイハブはとにかく偉大な人間だった。その偉大さは、カリスマ性は、直接的にはもちろん、白鯨と対決することから生まれたものである。人間の力をはるかに上回る相手と戦うことにより、人間そのものの水準が引き上げられたのだ。この点、映画『白鯨』のグレ…

Cormac McCarthy の “The Road”

休日ながら「自宅残業」に明け暮れ、"The World Made Straight" の続きがさっぱり読めなかった。そこで例によって、今日は昔のレビュー。6月に翻訳が出た『ザ・ロード』である。 追記:その後、本書は実際に映画化され、2009年に「ザ・ロード」との邦題で公…

Balzac の “Old Goriot”

トーマス・マンの "Confessions of Felix Krull, Confidence Man" を読んでいるのだが、英語は易しいのにどうも進まない。そこで今日は、昔のレビューでお茶を濁すことにした。 追記:本書は2004年に映画化されました。 Old Goriot (The Human Comedy)作者: …

William Faulkner の “Intruder in the Dust”(1)

William Faulkner の "Intruder in the Dust" をやっと読了。これほどの難物は久しぶりだった。 追記:本書は1949年に映画化されましたが、日本では未公開のようです。Intruder in the Dust (Vintage International)作者:Faulkner, WilliamVintageAmazon[☆☆☆…

Alberto Moravia の "Contempt"

Alberto Moravia の "Contempt" を読了。モラヴィアを読むのは3年ぶりだが、期待どおりオモロー! 追記:本書は1963年に映画化され、翌年、日本でも「軽蔑」として公開されました。監督はジャン=リュック・ゴダール。Contempt (New York Review Books Clas…

Helen Cross の "My Summer of Love"

Helen Cross の "My Summer of Love" を読了。「夏シリーズ」第4弾だが、今回はいささか期待はずれだった。My Summer of Love作者: Helen Cross出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC発売日: 2002/06/03メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ…

Franz Kafka の "Trial"

前回、イアン・バンクスの『蜂工場』について書いているうちに、ふと、カフカの『審判』のことを思い出した。以下は3年前だったかのレビュー。 追記:本書は1963年に日本でも公開されたオーソン・ウェルズ監督作品「審判」の原作です。The Trial: A New Tra…

Andre Aciman の "Call Me by Your Name"

このところ「自宅残業」と内職で大忙しだったが、寝る前に読みつづけていた Andre Aciman の "Call Me by Your Name" をやっと読了した。 追記:本書は2018年に映画化され、アカデミー賞にノミネート。CALL ME BY YOUR NAME作者:Aciman, André発売日: 2008/0…

Tim Winton の "Dirt Music" と Tom Perotta の "Little Children"

今日からしばらく出張することになったので、場つなぎに昔のレビューを載せておこう。Dirt Music作者: Tim Winton出版社/メーカー: Scribner発売日: 2003/05/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る [☆☆☆☆] 2002年度ブ…

Alain-Fournier の "Le Grand Meaulnes"

世間は三連休だったと思うが、ぼくは土曜出勤の上、昨日おとといの午前中は「自宅残業」。さすがに午後からは仕事をする気になれず、いろいろな理由があってアラン=フルニエの『グラン・モーヌ』を読んでいた。The Lost Estate (Le Grand Meaulnes) (Penguin…

J.L. Carr の "A Month in the Country"

5つ星の作品にこだわり、Irene Nemirovsky の "Suite Francaise" を採りあげてから、柄にもなくお堅い話が続きすぎてしまった。問題の核心にさっぱり触れない作家よりも、深刻な問題を粗雑に扱うレビュアーのほうが、よほど罪が重いかもしれない。というこ…