ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Alan Garner の “Treacle Walker”(3)

おとといレビューをアップした "Oh William!" で、今年のブッカー賞最終候補作を読んだのは4冊め。そこで暫定ランキングもつぎのように変更した。1.2. Small Things Like These(☆☆☆★★★)3. The Trees(☆☆☆★)4. 5. Treacle Walker(☆☆☆★)6. Oh William!(…

Elizabeth Strout の “Oh William!”(1)

二兎を追う者は一兎をも得ず。2冊同時に読んでいると、わかりきった話だが、どちらもふだん以上にスローペース。それでもなんとか、きのう今年のブッカー賞最終候補作、Elizabeth Strout の "Oh William!" のほうをまず読みおえた。女流作家 Lucy Barton シ…

Alan Garner の “Treacle Walker”(2)

Isabel Allende の "The House of the Spirits" をボチボチ読んでいたら、Elizabeth Strout の "Oh William!" が到着予定日よりずっと早く届いてしまった。試読したところ、どうもイマイチ。Allende のほうは相変わらずおもしろい。印象が希薄になるのがいや…

Robert Walser の “Jakob von Gunten”(2)

スイスの作家 Robert Walser(1878 – 1956)のことは、レビューのイントロにも書いたとおり、もう10年ほど前だったか、いまは亡き優秀な英文学徒T君に教えてもらった。「Walser はいいですよ」という彼のことばは、いまだにはっきり耳にのこっている。 どこ…

Claire Keegan の “Small Things Like These”(2)

このところ、ペルーの著名な作家 Isabel Allende の "The House of the Spirits"(1982, 英訳1985)をボチボチ読んでいる。未読の今年のブッカー賞候補作を入手するまでの場つなぎに(途中で乗り換える可能性あり)、と思って取りかかった。 開幕から物語性…

Tayeb Salih の “Season of Migration to the North”(3)

まったりペースながら海外の小説を読んでいると、おそらく日本の現代文学ではさほど扱われていないのではと思えるような問題について考えさせられ、しかもそれぞれの問題に関連性のあることが、たまにある。coincidence の妙というべきか。 不可解なことにブ…

Tayeb Salih の “Season of Migration to the North”(2)

これは名作巡礼の一環で取りかかった。Tayeb Salih(1929 – 2009)がスーダンの作家で、本書(1966, 英訳1969)が In 2001 it was selected by a panel of Arab writers and critics as the most important Arab novel of the twentieth century. と知ったの…

Joshua Cohen の “The Netanyahus”(2)

なんでやねん! "The Colony" がブッカー賞ショートリスト落選とは! 下馬評ではロングリストの発表前から1番人気だっただけに、ぼく同様、この結果にびっくりした現地ファンも多かったようだ。いったい、なにが起きたのだろうか。 とそう疑いたくなるのは…

Percival Everett の “The Trees”(1)

今年のブッカー賞候補作、Percival Everett の "The Trees"(2021)を読了。Everett (1956–)は1983年に "Suder" でデビュー(未読)。短編集もふくめ20冊以上の作品を発表しているヴェテラン作家で、南カリフォルニア大学の教授でもあるそうだ。さっそくレ…

Audrey Magee の “The Colony”(4)

今年のブッカー賞ショートリストの発表が迫ってきた(ロンドン時間今月6日)。現地ファンの下馬評では、相変わらず "The Colony"(☆☆☆☆)が1番人気。ロングリスト発表前からの勢いがずっとつづいている。 ほかの候補作のうち、ぼくがこれまで読んだのは、"…