小説の分類なんてくだらん。小説には面白いものと、面白くないものがあるだけだ。 というのは昔から、少なくともぼくのまわりでは、よく耳にしてきた説だ。とりわけ、ミステリ・ファンにそういう意見の持ち主が多かった。 ぼく自身はといえば、それもたしか…
ブッカー賞の季節が近づいてきた。去年は発表日を勘違いしたので、今年はちゃんとカレンダーに印をつけておこう。 Longlist announcement on Tuesday, July 30 Shortlist on Monday, September 16 Ceremony on Tuesday, November 12 いつものように現地ファ…
先日、やっと表題作(1860)を読了。諸般の事情で、当初の予定より大幅に遅れてしまった。このレビューもどきに取りかかるのも遅れた。さてどっこいしょ、重い腰を上げるとしよう。(下にアップしたタイトルの women は明らかに誤植) The women in white (E…
woman in white とかけてなんと解く? white dog と解く。 その心は? Her tail is white too. いやはや、古いおやじギャグですな。通じたでしょうか。尾も白い。面白い。 その面白さは前回紹介したとおり、「不可思議な状況がつぎつぎに発生し、そこから生…
本書は既報どおり、タイム誌が発行年順に選んだオールタイム・ベストミステリ100のトップを飾っている。https://time.com/collection/best-mystery-thriller-books/ しかしこのリスト、よく見ると、日本の推理小説ファンなら小首をかしげたくなったかもしれ…
読んでから見るか、見てから読むか。 原作と映画についてよくそういわれるが、ぼくの場合は前者がほとんど。そして通例、原作のほうがよかったと思うものだけど、市川崑監督作品はべつ。『細雪』(1983)、『おはん』(1984)、『犬神家の一族』(1976)。原…
いま読んでいる “The Woman in White” (1860)、相変わらずとても面白い。既報どおり、Time 誌選オールタイム・ベストミステリ100に入っているのを知り取りかかった。あらかじめミステリとわかっていて読む(外国)ミステリは、調べてみると2017年11月以来だ…
えっ、なんで? ふだんぼく自身、本ブログの注目記事はただ目に入るだけのコーナーなのだけど、「ハーマン・ローチャーの『おもいでの夏』」には驚いた。どうしてこれがいまごろ「注目」されてるんだろう。 その理由はなんとも想像しがたいが、ひさしぶりに…
きのうやっと、Thomas Hardy の “Tess of the D'Urbervilles”(1891)を読了。たしか高1のとき、邦訳で読んで以来の再読である。さっそくレビューを書いておこう。 Tess of the D'Urbervilles (Penguin Classics) (English Edition) 作者:Hardy, Thomas Pen…
前回もふれたとおり、本書(1891)は高校時代に邦訳で読んで以来の再読だ。しかし憶えていたのは、Tess という女が主人公、「あの話」も出てきた(はず)、とても面白かった、の三点だけ。あとは読めども読めども、さっぱり記憶がよみがえってこない。まるで…
このところ、諸般の事情というやつで読書から遠ざかっていた。知的生活としてはもっぱら、いままでアップしたレビューもどきの加筆修正だけ。もっか、2011年の11月までさかのぼったところ。少しは読みやすくなったものと自己マンにひたっている。 それでも先…
やっと落ち穂ひろいをする気になった。「なんという不毛な芸術だろう」と慨嘆したほど好みに合わない作品なんて、思いかえすだけでも億劫だ。 さて、「ヘンリー・ジェイムズはむずかしい」という話を聞いたのは大学生のころだろうか。それまで『デイジー・ミ…
きのうやっと Henry James の "The Portrait of a Lady"(1881)を読了。途中、諸般の事情でなんどか大休止してしまったが、それでも最後は一気に頂上まで駈け登った。さてどんなレビューもどきになりますやら。 The Portrait of a Lady (Oxford World's Cla…
先週末、帰省したドラ娘の企画で、劇団四季のミュージカル『アラジン』を観劇。もう何年も前、やはり新橋シアターで観た『キャッツ』よりストーリー性があり、ずっとおもしろかった。 "The Portrait of a Lady" は九合目付近で大休止。おもしろければ急坂で…
先週末、亡父の十三回忌で愛媛の宇和島へ二泊三日の帰省旅行。さいわい大きな余震はなかった。立ち寄らなかったが実家のほうも、弟夫婦によると地震の被害はほとんどなかったそうだ。 意外だったのは、ホテルや街なかで外人をけっこう見かけたこと。ロビーで…
あしたから亡父の十三回忌で愛媛県の宇和島市に帰省(ゆうべの地震にはびっくりした。余震がこわい)。そのため今週はきのうおととい、二日つづきでジムに通い、さすがにバテた。なかには毎日通っているひともいるようだけど、ぼくの場合、一回のメニューが…
あっ、パソコンが壊れた! と叫んだのは、たしか13日ならぬ5日の金曜日だった。ひさしぶりにデスクまわりを掃除していたら、なにかの拍子にパソコンが前向きに倒れ、液晶画面が文鎮と激突! しばらく再起動を試みたものの、素人目にもオシャカになったとわ…
数日前、Nathaniel Hawthorne の "The House of the Seven Gables"(1851)を読みおえたが、なかなか考えがまとまらなかった。大昔、一部だけ読んだことのある "The Scarlet Letter"(1850)について調べたり、同じくかじり読みしたD・H・ロレンスの『アメリ…
本書が近年(でもないか)、二度も映画化されていたとは知らなかった。まず、ダグラス・マクグラス監督の『Emma エマ』(1996)。ついで、オータム・デ・ワイルド監督の『EMMA エマ』(2020)。 Emma/エマ [Blu-ray] グウィネス・パルトロー Amazon Emma. [B…
さる2月23日から、今年もぼくのふるさと愛媛県宇和島市の西江(せいごう)寺で〈えんま祭り〉がもよおされたそうだ。 上の写真が載っている「うわじま観光ガイド」によると、宇和島には古くから閻魔信仰があり、毎年旧暦1月16日をふくむ三日間、藪入りの時期…
「一月は行く。二月は逃げる。三月は去る。と昔からいわれるように、三学期は、あっというまに過ぎてしまいます。だからみなさん、いままで以上に一日一日がんばってください」 大昔、ぼくが小学二年生か三年生のころ、三学期の始業式で校長先生がおっしゃっ…
もう何日も前に "Emma"(1815)を読みおえていたのだけど、パソコンにむかうと頭が痛くなるので、きょうまでレビューをでっち上げる気にならなかった。いまもまだ本調子ではない。はて、どうなりますやら。 [☆☆☆☆★]『高慢と偏見』で文学キャリアの頂点をきわ…
きょう人生で初めて手術なるものを受けた。 術名は鼓膜切開術。もう何週間も前に風邪をひいてからずっと右の耳が聞こえにくくなり、先週耳鼻科で診てもらったところ、急性中耳炎と判明。一週間投薬をつづけ、少しはよくなってきたが結局、鼓膜を切開し耳のな…
十九世紀英文学の古典探訪第二回。これでやっと『高慢と偏見』も "Pride and Prejudice" となった。 ただし、中学生のころだったか読んだ邦訳版では、たしか『自負と偏見』だったような気がする。未見のジョー・ライト監督作品は『プライドと偏見』(2005) …
映画でも小説でも対決シーンがあるとガ然盛りあがるものだ。西部劇がいい例で、ヒーローが勝つに決まっているとわかっていても思わず目が釘づけになる。 表題作にもいくつか対決シーンがあり、もちろん勝敗がからんでいるわけではないが、そのピリピリした緊…
先週またもや風邪をひいたせいか、いっとき落ちついていた血圧がふたたび急上昇。文字どおり頭をかかえながら "Pride and Prejudice"(1813)を読んでいた。 それがおととい、あと数ページまで漕ぎつけたところで挫折。右耳が飛行機の離発着時のように詰まり…
チェスタトンの著作のうち、メモを取りながら文字どおり熟読玩味したのは『正統とは何か』だけだ。 学生時代、ある最後の授業のおわりに亡き恩師がこういった。「もし自殺したくなったら、死ぬ前に『正統とは何か』と『善悪の彼岸』を読め。それでも死にたか…
これはいまさらいうまでもなく、文学ファンならずともタイトルくらいは耳にしたことがありそうな名作だ。そう断言できるのは、文学オンチの家人でさえ知っていたからだ。 そんな名作を英語で読んだからといって、屋上屋を架す以外に、どんな感想が書けるとい…
ああ、やっと『ジェイン・エア』が "Jane Eyre" になった! 高1のときだったか邦訳で読んだきりの『ジェイン・エア』。これもいつだったか一度観たきりのフランコ・ゼッフィレリ監督作品『ジェイン・エア』(1996)。 なかなかゴキゲンな映画だったけど、い…
きのう、"Jane Eyre"(1847)を読了。途中、風邪をひいたせいか血圧が上がり、文字どおり頭をかかえながらの task となった。 とはいえ、Slow and steady wins the race. いつにもまして、それぞれのシークェンスが全体に占める意味や役割、ひいては作者の意…