女性小説賞
ああ、やっぱり! 日本の場外馬券場でブッカー賞レースの馬券を買ったせいか、"Universality" が到着予定日から一週間すぎてもまだ届かない。"Endling" だって発送通知が遅すぎる。 これが本場の場内発売所だと、値段はうんと張るものの、早く確実に届くメリ…
きょうもまずブッカー賞レースの実況中継から。スタート直後は抜きつ抜かれつ混戦模様だったが、第1コーナーを過ぎたあたりで集団が二分されつつあるようだ。そのうち上位グループはつぎのとおり。(or n)は別の集計結果。 1. The Loneliness of Sonia and…
今年の女性小説賞受賞作、Yael van der Wouden の "The Safekeep"(2024)を読了。Yael Van Der Wouden(1987 - )はオランダの作家で、本書は彼女の処女作。 また本書は昨年のブッカー賞最終候補作でもあったが、年末に同賞関連のランキングを公表したさい…
今年の女性小説賞最終候補作、Elizabeth Strout の "Tell Me Everything"(2024)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Tell Me Everything: Oprah's Book Club: A Novel (English Edition) 作者:Strout, Elizabeth Random House Amazon [☆☆☆★]「病める…
さて "Bleak House"(1853)、あくまで試読のつもりだが、三つほどの理由で読みつづけている。 まず、語彙をべつにすると英語は危惧したほどにはむずかしくない。とりわけ Esther Summerson が語り手のときは比較的簡単。むろん回りくどい凝った表現が多く首…
ロンドン時間で八日、今年の国際ブッカー賞のショートリストが発表された。いま現地ファンの下馬評をチェックしたところ、ランキングはこうなっている。 1. Small Boat by Vincent Delecroix 2. On the Calculation of Volume I 3. Heart Lamp by Banu Musht…
表題作と並行して、めずらしく同時に何冊か読んでいた。 といっても日本のものがほとんどで、ひとつは阿川弘之の『山本五十六』。開戦時に五十六が乗艦していた戦艦長門のプラモをつくったのがきっかけで、書棚の奥から取りだした。しかし長い。やっと上巻が…
きのう、昨年の女性小説賞受賞作、V.V. Ganeshananthan の "Brotherless Night"(2023)を読了。Ganeshananthan(1980 - )はスリランカ系のアメリカ人作家で、長編第一作は "Lost Marriage"(2008 未読)。第二作の本書はその一部がまず短編として発表され…
Siân Hughes の "Pearl"(2023)を読んでいる。なかなかおもしろい。 手に取ったきっかけは、先月初め The Mookse and the Gripes のブッカー賞関連のスレッドで、イギリス人の文学ファン Paul Fulcher 氏のこんなコメントを目にしたからだ。Well I have rea…
前々回、「細部がよく書けている作品に駄作はほとんどありません」と大見得を切ったばかりなのに、あれま、"Trust"(2022)にはガッカリ。さすがに駄作とはいわないけれど、秀作になりそこねた水準作だった(☆☆☆★)。 一方、表題作はといえば☆☆☆★★。二冊同時…
旅行前、もう二週間近く前からのどが少し痛く、きのうの午後には微熱も。きょう桔梗湯を処方してもらったが、かかりつけの先生によると、一日ぶん三袋とも小さな魔法瓶(小型ペットボトル)にいれて水または白湯で溶かし、よく混ぜたものを少しずつ、うがい…
行きはよいよい、帰りはこわい。ゆうべ、やっとのことで九州・四国旅行から帰ってきた。 羽田発博多行きの飛行機に乗ったのが10日。台風6号の影響で条件つき飛行ということだったが、ぶじ着陸。博多市内の有名ラーメン店に直行し、長蛇の列にならんで待って…
前回(5)からずいぶん間があいてしまった。簡単におさらいをしておこう。日系アメリカ人の少年 Benny は父親 Kenji の死後、いろいろな「ものの声」が聴こえるようになり、ある夜、図書館の製本室で the Book にこう告げられる。... you encountered all t…
諸般の事情で長時間の読書、ブログとも夏休みだった。年金生活といえば毎日が夏休みのようなものだけど、それでもあれこれ雑用に追われ、けっこう忙しい。きのうもジムで走っていたら、三番めの孫、アカリちゃんをちょっと見ていて、という連絡が入り、予定…
先週末の夜、横浜野毛のジャズスポット〈DOLPHY〉でもよおされた、野力奏一(P)と本多俊之(S)のコンサートを聴きにいった。 ジャズの生演奏を聴くのは二回目。いつだったか、東京の〈BLUE NOTE〉でナベサダを聴いて以来だ。二回ともドラ娘の企画で、よろ…
きのう、いよいよ腰をいれて "Demon Copperhead"(2022)を読もうとした矢先、まさかの雪隠づめ。ちょっと用を足すつもりが、なんと三時間以上もかかってようやく脱出できた。 この「雪隠づめ」ということば、三軒先に住んでいるドラ息子夫婦にはピンとこな…
Diana Krall の "Wallflower"(2015)にハマっている。 今月から歌手のアルファベット順にジャズボーカルを聴きはじめたのだけど(たしか三巡目)、Billie Holiday, Carmen McRae などやっぱりいいなあと思っているうちに Diana Krall。昔から好きな歌手だが…
まったくノリがわるいまま、おそらく今季最大の話題作 "Demon Copperhead"(2022)を読みはじめた。刊行年からして、今年の全米批評家協会賞の対象だったはずだが、最終候補作にもなっていない。だから、というわけではないけれど、「ノリがわるい」のもむべ…
2022年の女性小説賞受賞作、Ruth Ozeki の "The Book of Form & Emptiness"(2021)を読了。彼女がメジャーな賞レースで脚光を浴びたのは、2013年のブッカー賞最終候補作、"A Tale for the Time Being"(2013 ☆☆☆★★★)以来だろうか。さっそくレビューを書い…
年明けから諸般の事情で冬眠中だったが、そろそろ頭を働かさないとボケがひどくなってしまう。数日前から Saraha Waters の "Affinity"(1999)をボチボチ読んでいる。なかなか面白い。 これは周知のとおり既訳もあり、版元はあの推理文庫。だからたぶんミス…
きのう、2002年のブッカー賞およびオレンジ賞(現女性小説賞)最終候補作、Sarah Waters のご存じ "Fingersmith" をやっと読了。途中、諸般の事情で何日も中断したため、いつにもまして、まともなレビューが書けそうもない。さてどうなりますか。 Fingersmit…
Yaa Gyasi の作品は初読かと思ったら、5年前の夏、処女作の "Homegoing"(2016)を読んでいた。 いま振り返ると、当時はちょうどブッカー賞ロングリスト発表の直前ということで、現地ファンのあいだで入選を有力視されていた同書に興味をおぼえたようだ。レ…
これは今年の女性小説賞最終候補作だけど、じつは女性小説賞というのにはあまり興味がない。もう十年以上も昔の記事で紹介したことだが、当時のガーディアン紙に載った女流作家 A. S. Byatt のコメントを読んで、わが意を得たりと思ったものだ。The British …
ゆうべ、Yaa Gyasi の "Transcendent Kingdom"(2020)を読了。周知のとおり今年の女性小説賞最終候補作で、現地ファンの下馬評では2番人気だが、集計方法によっては1番人気にもなっている。また、気の早い同ファンのあいだでは、今年のブッカー賞ロングリ…
今年の女性小説賞最終候補作、Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)を読了。もっか、現地イギリスのファンのあいだでは1番人気である。さっそくレビューを書いておこう。 (追記:本書は後日、今年のブッカー賞ロングリスに入選)…
今回も禁をやぶってハードカバー。Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)をボチボチ読んでいる。ご存じ今年の女性小説賞最終候補作で、本ブログのリンク先 the Mookse and the Gripes によると、もっか1番人気。英米アマゾンでの評…
今年の国際ブッカー賞最終候補作、Benjamín Labatut の "When We Cease to Understand the Word"(2020)を読んでいる。原題は "Un Verdor Terrible"(2019)。スペイン語からの英訳である。なかなか面白い。現地ファンの下馬評では1番人気のようだ。 カバ…
Maggie O'Farrell の "Hamnet"(2020)を読了。周知のとおり2020年の全米批評家協会賞ならびに女性小説賞の受賞作で、ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ年間ベスト5小説のひとつでもある。さっそくレビューを書いておこう。 Hamnet: Winner of the Women's …
胃のほうは薬のおかげでだいぶ痛みが治まってきたのだけど、こんどはまた風邪をひいてしまい、まるで変声期のようなガラガラ声。微熱の一歩手前のような熱もある。コロナでないことを祈るばかりだ。 ともあれ、上の事情でボチボチ読んでいた Brit Bennet の …
今回も大したことは書けそうにない。ぼくは本書を読むまで知らなかったが、16世紀前半、イングランドではペストが流行していたようだ。But now there are rumours of plague and sweating sickness. It is not wise to allow crowds in the street, or pack …