2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧
恥ずかしながら、フランク・オコナー国際短編賞の受賞作を読んだのは本書が初めてだ。かの有名な "A Thousand Years of Good Prayers" も "No One Belongs Here More Than You" もじつは未読。いつか読もうと思っているうちに邦訳が出てしまい、興味がうせて…
昨年のフランク・オコナー国際短編賞受賞作、Ron Rash の "Burning Bright" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。Burning Bright: Stories作者:Rash, RonEccoAmazon[☆☆☆★] 「さまざまな孤独」とでも副題をつけられそうな短編集。南北戦争、第二次…
雑感にも書いたとおり、本書はここ4ヵ月、アメリカでベストセラーになっている。今検索すると、ニューヨーク・タイムズ紙のハードカバー部門、米アマゾンでは書籍全般のリストに載っていた。ぼくが入手したのはイギリスのペイパーバック版だが、イギリスで…
Ann Patchett の "State of Wonder" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。 追記:その後、本書は2012年のオレンジ賞最終候補作に選ばれました。State of Wonder: A Novel作者:Patchett, AnnHarperAmazonState of Wonder作者:Patche…
Ann Patchett の "State of Wonder" に取りかかった。去る6月、早くも今年のベスト10小説に選んでいるサイトを発見し(その後、米アマゾンでも上半期のベスト10入選)、以来ずっと読みたかったのだが、「ブッカー賞読書」に追われて積ん読のままだった。ア…
今年のブッカー賞の最終候補作をぜんぶ読了。レビューらしきものも書きおえたので、候補作をぼくが面白いと思った順に並べることにした。 3冊だけ読んだショートリスト落選作もふくめ、今年は全般的に低調という印象が強い。その中で群を抜いてすばらしかっ…
これはぼくのような西部劇ファンには、じつにこたえられない作品だ。たまたま最近、「マーヴェリック」と「シルバラード」を見たばかりだが、どちらも往年のジョン・フォードの諸作ほど完成度は高くないものの、それでも西部劇の醍醐味にあふれ、大いに満足…
今年のブッカー賞最終候補作、Patrick deWitt の "The Sisters Brothers" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。(追記:本書はその後、今年のギラー賞最終候補作にも選ばれました)The Sisters Brothers作者:deWitt, PatrickGranta BooksAmazon[☆…
「これでほんとにブッカー賞の最終候補作なんですか、という気がしてならない」と雑感に書いたが、この第一印象は最後まで消えなかった。とにかくあまりにも話が見え見えで、平板な描写とあいまって、ぼくにはかなり退屈な作品だった。まあ、濡れ場だけはし…
今年のブッカー賞最終候補作、A. D. Miller の "Snowdrops" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Snowdrops作者:Miller, A. D.Atlantic BooksAmazon[☆☆☆] 生ぬるい演奏の「ボレロ」を思わせるようなクライム・ストーリーだ。当初か…
このところブッカー賞の候補作ばかり読んでいる。本当はほかにもっと読みたい本があるのだが、こうなったらもう、ショートリストに残った未読の2冊を片づけるしかない。ということで、A. D. Miller の "Snowdrops" に取りかかった。 これ、あちらではベスト…
これで今年のブッカー賞候補作を読むのは、ロングリストもふくめて7冊目。そこで思ったのだが、今年はどうも低調のような気がする。ほんとうにいいなあ、と感動したのは Julian Barnes の "The Sense of an Ending" だけだ。さらにと言えば、ショートリスト…
今年のブッカー賞最終候補作、Esi Edugyan の "Half Blood Blues" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。(追記:本書はその後、今年のギラー賞を受賞しました)Half Blood Blues: Shortlisted for the Man Booker Prize 2011作者:Edugyan, EsiSer…
今年の土曜は基本的に出勤日。ということは、ストレス発散日でもあるので、これから一杯やる予定。その前に昨日の続きを簡単に書いておこう。 明日にはたぶん読みおえるはずなので粗筋はもう紹介できないが、この本、終盤にいたるも相変わらず快調だ。おそら…
今年のブッカー賞最終候補作、Esi Edugyan の "Half Blood Blues" に取りかかった。Alison Pick の "Far to Go" の雑感にも書いたとおり、今年は Pick とこの Edugyan、それから Patrick Dewit と、カナダの作家が3人もロングリストにノミネートされて話題…
以前にも書いたとおり、Beryl Bainbridge の訃報を知ったのは、恥ずかしながら今年になってから。2月ごろ、アマゾンUKで彼女のブッカー賞落選作が特集されていた。そのときもっと調べていれば、Man Booker Best of Beryl という、落選作のベスト1を一般読…
1996年のブッカー賞最終候補作、Beryl Bainbridge の "Every Man for Himself" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。 Every Man For Himself: Shortlisted for the Booker Prize, 1996作者:Bainbridge, BerylAbacusAmazon[☆☆☆★] タ…
ブッカー賞のショートリストが発表された。これを見ると、William Hill や Ladbrokes の最終予想で順位の高かった Julian Barnes と Carol Birch、A.D. Miller は入選しているが、Alan Hollinghurst と D.J. Taylor は落選。逆に、泡沫候補扱いだった Esi Ed…
1996年のブッカー賞最終候補作、Beryl Bainbridge の “Every Man for Himself” に取りかかった。彼女の作品を読むのは今年だけで3冊目、通算4冊目である。 去る7月、久しぶりに同賞のHPを覗いてみて初めて気がついたのだが、昨年物故したこの「ブッカー賞…
これはまず、「相当に面白く、しかもウェルメイドな作品」だ。今まで読んだ今年のブッカー賞候補作の中でも飛び抜けて面白い。印象的なカバー絵だけで選ぶ「見てくれ買い」、今回は大成功でした! こういうストーリー重視型の小説の場合、ともすると人物の造…
今年のブッカー賞候補作、Alison Pick の “Far to Go” を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Far to Go: A Novel (P.S.)作者:Pick, AlisonHarper PerennialAmazon[☆☆☆★★★] 数ある〈ホロコースト小説〉のなかでも、とびきりウェルメ…
「ブッカー賞読書」第6弾。Alison Pick の "Far to Go" に取りかかった。William Hill のオッズでは "Pigeon English" などと並んで8位グループ、Ladbrokes でも8位グループと泡沫候補扱いだが、周知のとおり、今年は Alison Pick のほか、Patrick Dewit …