ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

“Cutting for Stone”雑感(4)

読めば読むほど面白くなってきた! 職場が繁忙期を迎えたのに、しかも今日はウィークデーだというのに、もう80ページも読んでしまった。これほどクイクイ読める小説は今年初めてだ。当初、ただ分厚いというだけで「波瀾万丈の物語」と決めつけた本書だが、ち…

“Cutting for Stone”雑感(3)

「さあ波瀾万丈の物語の始まり始まり」と雑感(1)で書いたが、それは本書の長大なボリュームが頭にあったからで、べつに確たる根拠があったわけではない。で、フタをあけてみると、今のところ「波瀾万丈」とまでは行かない。第1部は要するに、ある一日の…

“Cutting for Stone”雑感(2)

いざ取りかかってみると、これはたしかに長い! 朝のバスや電車の中では珍しくすいすい読めるのに、帰りになるとカクっとスピードが落ち、家ではこれを書く前なんぞ、こっくりこっくり。そんな調子でなかなか進まず、本書の長さ、分厚さを痛感している。 前…

“Cutting for Stone”雑感(1)

現在、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門でベストセラーとなっている Abraham Verghese の "Cutting for Stone" を読みはじめた。先ほど検索すると第8位だったが、リストに載っているのを見て注文したのが2月の末だから、かれこれ半年近く…

Karen Fisher の “A Sudden Country”

職場がちょっとした繁忙期となり昨日は「自宅残業」にいそしんだが、今日は珍しくロ短調ミサ曲を聴きながら本書に取り組み、今ようやく読みおえた。内容を忘れないうちにさっそくレビューを書いておこう。A Sudden Country: A Novel作者: Karen Fisher出版社…

国際IMPACダブリン文学賞発表(2010 International IMPAC DUBLIN Literary Award)

今年の国際IMPACダブリン文学賞は、オランダの作家 Gerbrand Bakker のデビュー作、"The Twin" に決定した。不勉強のぼくには知らない作家の知らない作品ということで大いに興味がある。アマゾンで調べたところ、さいわいペイパーバックが出ているのでさっそ…

“A Sudden Country” 雑感(6)

ぼくは何しろ文学ミーハーなので、表紙が印象的な本だとすぐに飛びついてしまう。青空と砂漠?を背景に馬上の男を描いたカバーの本書もそうで、手に汗握る冒険小説を期待して読みはじめた。が、フタをあけるとまず惹きつけられたのは、19世紀中頃のアメリカ…

“A Sudden Country” 雑感(5)

夕べ、昔の友達と青山へシャンソンを聴きに行った。Shizu さんという歌手のリサイタルだったが(http://www.ac.auone-net.jp/~shizu77/)、ぼくには青山もシャンソンも未知の世界。ほとんどお上りさん気分だったものの、音楽のような別次元の芸術にふれるこ…

“A Sudden Country” 雑感(4)

当然結びつくべき男と女がなかなか結びつかない。ラブロマンスにおける定石のひとつだが、これが現代を描いた小説なら二人の心の中にあるハードルは低いかもしれない。相思相愛ならあっさり結ばれるのが現代だからだ。ところが本書の舞台は19世紀中葉のアメ…

オレンジ賞発表(2010 Orange Prize for Fiction)

今年のオレンジ賞は、大御所 Barbara Kingsolver の "The Lacuna" に決定した。ぼくが勝手に大本命に推していた Lorrie Moore の "A Gate at the Stairs" は見事に落選。でもまあ、"Wolf Hall" とあわせて二冊しか候補作を読んでいなかったのだから、予想が…

“A Sudden Country” 雑感(3)

このところ帰宅後、ジョギングとギターの練習に励んでいるせいか、ストレスをほとんど感じなくなった。身体は疲れているのだが気分は爽快…に近い。今までとは違う脳の部分を使っているのがいいのかも。 というわけで、最近では珍しく読書のピッチも上がり、…

“A Sudden Country” 雑感(2)

昨日の朝は、届いたばかりのマーチンの弦をギターに張り、チューニングの仕方を試行錯誤の末に思い出し、昔懐かしいフォークの名曲に何十年ぶりかで挑戦。この歳になって「麦わら帽子はもう消えた〜」などと弾き語りするのもアホみたいだが、ボケ防止のため…

“A Sudden Country”雑感(1)

今度は何を読もうかとアマゾンUKのベストセラーを久しぶりに検索してみたら、先月読んだ Hans Fallada の "Alone in Berlin" が第8位にランクインしていた。これでやっと、同書がぼくの目にとまった理由が判明した次第。 次いでニューヨーク・タイムズ紙と…