ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2010年ぼくのベスト3

このところ、いつもの「自宅残業」に加えて年末恒例の買い物と大掃除の毎日だ。おかげで、このブログもしばらくサボってしまった。しかし今日はこれから第9を聴きながら、晩に一杯やるまで Rafael Yglesias の "A Happy Marriage" に再び取り組もうと思って…

“A Happy Marriage”雑感(2)

イブの晩は、生まれて初めてシャンパンなるものを飲んでいたく感激。TVシリーズの「スパイ大作戦」をリアルタイムで見なかったかみさんに1話だけつきあったあと、久しぶりにルイ・マルの「恋人たち」を見た。もう何度目だろうか、とにかくジャンヌ・モロー…

“A Happy Marriage”雑感(1)

祝日の今日も午前中は「自宅残業」。冬晴れのもとでジョギングをして気分一新、今年のロサンジェルス・タイムズ紙小説大賞(LA Times Book Prize for Fiction)受賞作、Rafael Yglesias の "A Happy Marriage" に取りかかった。 この賞の受賞作で比較的最近…

Maile Meloy の “Both Ways Is the Only Way I Want It”(2)

先週映画三昧だったツケで、今週はかなり忙しい。おかげで落ち穂拾い的な感想も、読後から1日おいて書く羽目になってしまった。 さて、しばらく文芸エンタメ路線、ストーリー重視型の小説を追いかけていたので、久しぶりにマジメ系に戻ろうと思って取り組ん…

Maile Meloy の “Both Ways Is the Only Way I Want It”(1)

先週の土曜も仕事帰りに映画館へ。お目当ては「最後の忠臣蔵」で、公開初日に映画を見に行ったのは何十年ぶりだろう。「武士の家計簿」と同じく、かなり満足できた。が、楽あれば苦あり。おかげで昨日は「自宅残業」に追われ、今日になってやっと Maile Melo…

“Both Ways Is the Only Way I Want It”雑感(2)

本書は短めの短編集だ。英語もまあ簡単なほうなので、ほんとうは一気に読んでもいいのだが、じつはこのところ仕事帰りに毎日、映画館に足を運んでいる。今日も「ノルウェイの森」を見てきた。ぼくはもうあの世界にはあまり共感できない年齢になってきたせい…

“Both Ways Is the Only Way I Want It”雑感(1)

このところ文芸エンタメ路線ばかり走ってきたので、久しぶりにマジメな本を読もうと改心、Maile Meloy の "Both Ways Is the Only Way I Want It" に取りかかった。昨年のニューヨーク・タイムズ紙選出年間ベスト5小説の1冊である。これならマジメ系に決ま…

Robin Pilcher の“A Matter of Trust”(2)

今日はまず、昨日見た「武士の家計簿」の感想から。なるほどやっぱりな、と思ったのは、昔はお家芸を理屈ぬきに子供に教え、子供がそれを理不尽に感じても押しつけていたこと。そして子供もその理不尽によく耐えることで成長し、伝統を受け継いでいたこと。…

Robin Pilcher の “Matter of Trust”(1)

忙中閑あり、「武士の家計簿」を見に行った。「日本映画は見ないのか」という友人のひと言がきっかけだが、映画館に足を運ぶのは8月以来。十分満足できる出来ばえで、いい映画を見たあとは気持ちがシャキっとする。おかげで Robin Pilcher の "A Matter of …

“A Matter of Trust”雑感

師走とあって大忙しの毎日だ。こんなときは大冊やむずかしい作品は敬遠するにかぎる。そこで最近届いた本を何冊かパラパラやった結果、Robin Pilcher の "A Matter of Trust" に取りかかった。先月末、アマゾンUKのフィクション部門ベストセラー・リストに何…

Jamie Ford の “Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”(3)

本書の巻末には「あとがき」や著者とのインタビュー記事が載っているので、それを読めば作品の成立事情や著者の創作意図などもわかるはずだが、ぼくはタテマエとして「原典主義」、本音を言えば面倒くさいので、そういう周辺知識はなるべく仕入れないように…

Jamie Ford の “Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”(2)

今日は土曜にもかかわらず出勤。今年最後の繁忙期だ。帰宅して何とか時間ができたので、昨日読みおえたニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー、Jamie Ford の "Hotel on the Corner of Bitter and Sweet" のレビューを書いておこう。Hotel on the Corner o…

Jamie Ford の “Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”(1)

金曜日の晩はいつもワインを飲むことにしているのだが、今日は本書の続きが気になるのでボトル半分だけ。しばらく酔いを覚ましてから取りかかり、涙をこらえながら読了した。 本来ならレビューを書くまわりだが、今日はもう時間がないし、まだ少々酔いが残っ…

“Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”雑感(2)

今まで本書以外にも、第二次大戦中における日系アメリカ人の強制収容を扱った小説があるのかどうか、不勉強のぼくはまったくわからない。面倒くさいのでネットで検索する気もしないが、ともかく本書がすぐれているのは、この問題を中国系アメリカ人の少年ヘ…

“Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”雑感(1)

Tracy Chevalier の "Remarkable Creatures" に続いてニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー、Jamie Ford の "Hotel on the Corner of Bitter and Sweet" に取りかかった。Chevalier のほうは今週リストから消えてしまったが、こちら…

Tracy Chevalier の “Remarkable Creatures”(2)

本書の主人公、メアリー・アニングのことは今までまったく知らなかったのだが、ネットを検索したところ、日本でも簡単に手に入る関連本が2冊もあることがわかった。メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋 (朝日選書)作者: 吉川惣司,矢島道子出…

Tracy Chevalier の “Remarkable Creatures”(1)

今日は職場の忘年会だったが、その行き帰りに Tracy Chevalier の "Remarkable Creatures" を読みおえた。先週までしばらく、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー・リストに載っていた話題作である。また同リストに復活することも…

“Remarkable Creatures”雑感(3)

季節柄、連夜の酒びたりで今日も目覚めが遅く、結局思ったほど進まなかったが、それでも何とか目鼻はついた。これは最初のゆったりしたテンポから想像したような「レトロ感覚、マッタリ感覚」に満ちた小説ではなく、情熱が静かに流れ、時に熱くほとばしるよ…

“Remarkable Creatures”雑感(2)

昨日の午後、友人の案内で上野公園から根津界隈を探訪。折からの強風で紅葉はかなり散ってしまっていたが、それでも有名な蛇道など、晩秋の下町の風情を満喫できた。「大黒屋」でおみやげにせんべいを買い、「いもじん」で買ったアイスモナカを食べながら歩…

“Remarkable Creatures”雑感(1)

今年のオレンジ賞受賞作、Barbara Kingsolver の "The Lacuna" をボチボチ読みはじめたところ、先週末、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストで発見した Tracy Chevalier の "Remarkable Creatures" が早くも届いていたのを今朝、かみさんに知ら…