ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Evelyn Waugh の "Decline and Fall"

06年に続いて05年に読んだ本のベスト3を選ぼうと思ったが、ぼくがリアルタイムで英米の現代文学を追いかけるようになったのはこの2、3年のことで、05年はまだ旧作が中心だった。たとえばイーヴリン・ウォーなども一例で、以下は、「奇想と常識と」と題し…

Elizabeth Berg の "We Are All Welcome Here"(2)

前々回、ぼくは Elizabeth Berg の "We Are All Welcome Here" を評して、「室内劇が中心」で、「事件も人物関係もあまり発展しようがない」と書いてしまったけれど、これはいささか誤解を招く表現だ。室内劇でも、事件や人物関係がどんどん発展するものもあ…

06年のベスト3

去年読んだ本のベスト3は今年の2月11日にまとめたが、http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080211/p1 このブログを始めたのは1年前なので、おととし以前の年間ベスト3についてはどこにも書いたことがない。以下とりあえず、06年に読んだ本を思い出すまま…

Elizabeth Berg の "We Are All Welcome Here"(1)

Elizabeth Berg の "We Are All Welcome Here" を読了。「文学の夏」シリーズ以来、大作ばかり読んでいたので、今度は肩の凝らないものを、と思って取りかかったのだが、いささか期待はずれだった。We Are All Welcome Here: A Novel作者: Elizabeth Berg出…

わが生涯の映画ベスト…

小説、音楽とくれば当然、次は映画だろう。いや、趣味を言うなら2番目か。しかし、これが実はいちばんベスト…を選びにくい。すぐに目移りしてしまうからだ。有名な話だが、今日のベスト…を選ぶのが無難なところだろう。 1.天井桟敷の人々 [DVD]出版社/メ…

わが生涯のBGMベスト…

昨日の続きを書こうと思ったけど、ぼくは本を読みながらクラシックを聴いていることが多いので、BGMのベスト…は何だろうと気になってきた。今までCDで聴いた回数の多い順に書いておこう。 1.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ …

わが生涯の小説ベスト…

今日アマゾンから、Philip Hensher の "Northern Clemency" の配送が遅れるとの通知があり、迷ったがキャンセルすることにした。とにかく700ページを超える大作なので、ブッカー賞の発表日までに読み切れないかもしれない。それなら何も大枚はたいてハードカ…

Rachel Seiffert の "Afterwards"

Philip Hensher の "The Northern Clemency" はまだ手元に届かないし、つなぎに読みはじめた本もまだ途中。そこで今日は毎度おなじみ、昔のレビューでお茶を濁すことにした。 Afterwards (Vintage International)作者: Rachel Seiffert出版社/メーカー: Vint…

Steve Toltz の "A Fraction of the Whole"

Steve Toltz の "A Fraction of the Whole" をやっと読了。ぼくが読んだのは Spiegel & Grau の米版だが、英版では700ページを超える大作である。A Fraction of the Whole作者:Toltz, Steve発売日: 2008/02/12メディア: ハードカバーA Fraction Of The Whole…

2008年ブッカー賞ミニ予想

明日には最終候補作の一つ、Steve Toltz の "A Fraction of the Whole" のレビューを何とか書けそうなところまで読み進んだが、ひとまず感想を述べると、最後の6,7章がかなり退屈。しかし、あとまだ30ページあるので、これから挽回することを期待したい。…

Barbara Pym の "Quartet in Autumn"

9月に入ってにわかに多忙を極め、なかなか落ち着いて本が読めなくなった。今年のブッカー賞のショートリストに残った Steve Toltz の "A Fraction of the Whole" もまだ終わらない。もっとも、これは途中で飽きてしまったことも原因なのだが…。 というわけ…

2008年ブッカー賞ショートリスト発表

本日、今年のブッカー賞のショートリストが発表された。http://www.themanbookerprize.com/news/stories/1134 Aravind Adiga "The White Tiger", Sebastian Barry "The Secret Scripture", Amitav Ghosh "Sea of Poppies", Linda Grant "The Clothes on Thei…

2008年ブッカー賞ショートリストの予想

現地時間で9月9日、ブッカー賞のショートリストが発表されることになっている。今年はまだ、去年と違って一冊も候補作を読んでいないが、あちらの情報やシノプシスの斜め読みなどから勝手な予想を立ててみた。 まず、Steve Toltz の "A Fraction of the Wh…

Thomas Mann の “Confessions of Felix Krull, Confidence Man”(結び)

Thomas Mann の "Confessions of Felix Krull, Confidence Man" を読みはじめたとき、前回紹介したような背景知識がほとんどなく、これが1954年の作品ということだけ知っていたぼくは、じつは、ある予断を持っていた。ここで告白をする詐欺師とは、ひょっと…

Thomas Mann の “Confessions of Felix Krull, Confidence Mann”(2)

ぼくが今まで英訳でふれたドイツ文学といえば、トーマス・マンのほか、カフカ http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080424/p1、ギュンター・グラス http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080106/p1、そして『朗読者』だけ。まことにお恥ずかしい限りだが、こ…

Thomas Mann の “Confessions of Felix Krull, Confidence Man”(1)

Thomas Mann の "Confessions of Felix Krull, Confidence Man" を読了。予想以上に時間がかかってしまった。元来のボケと夏バテ、夏風邪のせいだろう。(追記:以下のレビューは読みが甘く、いつか再読したいと思っています)Confessions of Felix Krull, C…