ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

全米批評家協会賞

Marilynne Robinson の “Lila”(2)

これは2014年の全米批評家協会賞受賞作で、全米図書賞最終候補作およびブッカー賞一次候補作。そのころたいへん話題になっていたことは、あとで知った。ぼくは同年春から翌年の秋まで本ブログを休止。いまもそうだが、文学を通じて人間の本質がどうのこうの…

Maggie O'Farrell の “Hamnet”(2)

今回も禁をやぶってハードカバー。Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)をボチボチ読んでいる。ご存じ今年の女性小説賞最終候補作で、本ブログのリンク先 the Mookse and the Gripes によると、もっか1番人気。英米アマゾンでの評…

Marilynne Robinson の “Lila”(1)とギリアド四部作

相変わらず体調がパッとせず、今回もずいぶん予定より遅れてしまったが、なんとか Marilynne Robinson の "Lila"(2014)を読了。"Gilead"(2004)に始まり、おそらく "Jack"(2000)で最後と思われるギリアド四部作の第三作である。刊行年に全米批評家協会…

Maggie O'Farrell の “Hamnet”(1)

Maggie O'Farrell の "Hamnet"(2020)を読了。周知のとおり2020年の全米批評家協会賞ならびに女性小説賞の受賞作で、ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ年間ベスト5小説のひとつでもある。さっそくレビューを書いておこう。 Hamnet: Winner of the Women's …

Souvankham Thammavongsa の “How to Pronounce Knife”(2)

これは既報のとおり、昨年のギラー賞(Scotiabank Giller Prize)の受賞作、および全米批評家協会賞の最終候補作。ギラー賞はカナダで最も権威ある文学賞だけど、そう聞いてもピンとこない日本人読者がきっと多いはずだ。全米批評家協会賞にしても、〈アメリ…

Souvankham Thammavongsa の “How to Pronounce Knife”(1)

ゆうべ、2020年のギラー賞受賞作、Souvankham Thammavongsa の "How to Pronounce Knife" を読了。これは先日受賞作が発表された2020年全米批評家協会賞の最終候補作でもある。カナダの新人作家 Souvankham Thammavongsa はタイのラオス難民キャンプで生まれ…

Edwidge Danticat の “The Dew Breaker”(2)

先週初め、Criterion のブルーレイ盤 "Ivan's Childhood"(1962)がやっと届いた。3月なかごろ英アマゾンに注文したところ未着。あきらめきれず、先月再注文。鶴首して待っていた。 あちらのレビューどおり、画質はとてもいい。日本で発売されている『僕の…

Edwidge Danticat の “Everything Inside”(2)

このところ、Faulkner の "A Fable"(1954)をボチボチ読んでいる。予想どおり、むずかしい。まだ序盤ということもあって、テーマがつかみにくい。いろいろ考えさせられ、なかなか先へ進まない。 同書は1955年のピューリツァー賞および全米図書賞受賞作。表…

Edwidge Danticat の “The Dew Breaker”(1)

Edwidge Danticat の "The Dew Breaker" を読了。2004年の全米批評家協会賞最終候補作、および2005年のペン/フォークナー賞最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Dew Breaker (Vintage Contemporaries) 作者:Danticat, Edwidge 発売日: 2…

Edwidge Danticat の “Everything Inside”(1)

きのう、今年の全米批評家協会賞受賞作、Edwidge Danticat の "Everything Inside"(2019)を読了。この賞は前年度の作品が対象なので、正式には2019年の受賞作である。さっそくレビューを書いておこう。 Everything Inside: Stories (English Edition) 作者…

Don Delillo の “Underworld”(3)

世間はきのうで仕事納めという人も多いだろう。ぼくもいちおう休暇中なのだけど、自分で企画した仕事をかかえている。このところ午前中にノルマをこなし、それから家の大掃除という毎日だ。おかげで、Loius-Ferdinand Céline の "Journey to the End of the …

Don Delillo の “Underworld”(2)

仕事が一段落ついたので、先週末、愛媛の田舎に帰省していた。ぼくのふるさと宇和島市にある中町(なかのちょう)教会の前を通りかかると、たまたまクリスマスを祝う会のまっ最中。教会付属の鶴城(かくじょう)幼稚園の園児たちの歌声が聞こえてきた。 もう…

Don Delillo の “Underworld”(1)

きのうの記事を書いたあと、多忙につき遅れに遅れていた Don Delillo の "Underworld" をやっと読了。1997年の全米図書賞、および全米批評家協会賞の最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。 Underworld 作者:Don DeLillo 出版社/メーカー: Scri…

文学と政治:Luis Alberto Urrea の “The House of Broken Angels”(2)

あああ、ゴールデンウィークも終わってしまった。テンプのぼくもきょうから〈自宅残業〉ながら仕事再開。といっても、頭はいつにも増してボケ気味で、連休前のモードに戻すのにちと時間がかかってしまった。 一方、実質的に連休後半からボチボチ読んでいるの…

Luis Alberto Urrea の “The House of Broken Angels”(1)

ゆうべ、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Luis Alberto Urrea の "The House of Broken Angels" を読了。これで久しぶりに同賞の最終候補作をぜんぶ読んだことになる。さっそくレビューを書いておこう。 なお、以下のレビューは、…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(2)

ああ、やっぱり Anna Burns の "Milkman" (2018)がブッカー賞に引き続き、全米批評家協会賞も獲ってしまいましたね。前回も書いたとおり、まず順当な結果だろう。 ちなみに過去、同賞とブッカー賞のダブル受賞に輝いた作品は2冊ある。 ぼくの独断と偏見に…

Denis Johnson の “The Largesse of the Sea Maiden”(2)と2018年全米批評家協会賞最終候補作

全米批評家協会賞の発表(ニューヨーク時間で3月14日午後6時30分)が目前に迫ってきた。日本時間の明日にでも結果が判明していることだろう。 今年は久しぶりに発表前に最終候補作をぜんぶ読むつもりだったのだけれど、Luis Alberto Urrea のペイパーバッ…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(1)

きのう、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Patrick Chamoiseau の "Slave Old Man" を読了。Patrick Chamoiseau は1992年に "Texaco" という作品でゴンクール賞を受賞したこともある作家で、カリブ海のマルティニーク島出身。本書は…

Denis Johnson の “The Largesse of the Sea Maiden”(1)

きのう、Denis Johnson の短編集 "The Largesse of the Sea Maiden"(2018)を読了。周知のとおり、これは今年の全米批評家協会賞(対象は2018年の作品)の最終候補作である。Denis Johnson は2017年に他界。この短編集は彼の遺作とのこと。謹んでご冥福をお…

Joan Silber の “Improvement”(2)

きょうからしばらく愛媛の田舎に帰省。といっても、この記事はきのう書いたもので、家を出る前にアップした。 結局、Esi Edugyan の "Washington Black" は予定日を過ぎても届かず、田舎から帰ってくるまで読めないことになった。ブッカー賞の発表(今月16日…

Joan Silber の “Improvement”(1)

今年の全米批評家協会賞受賞作、Joan Silber の "Improvement"(2017)を読了。さっそくレビューを書いておこう。Improvement作者: Joan Silber出版社/メーカー: Counterpoint発売日: 2018/08/21メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見る[☆☆☆★] …

Dave Eggers の “What Is the What”(4)

前回(3)からずいぶん間があいてしまったが、あと少しだけ補足しておきたい。本書はスーダンの内戦によって発生した難民の物語ということで、彼らに襲いかかる危険や困難がリアルに描かれている。が、それは、あえて不謹慎な言い方をすれば〈想定内〉。小…

Dave Eggers の “What Is the What”(3)

この本については書きたいことがたくさんある。ありすぎて、数回では収まりそうにないくらいだ。きょうは最重要点と思われることだけ挙げておこう。 まず、これは純然たるフィクションではない。おそらく周知の事実だろうが、著者 Dave Eggers と、Valentino…

Dave Eggers の “What Is the What”(1)

2006年の全米批評家協会賞最終候補作、Dave Eggers の "What Is the What"(2006)を読了。さっそくレビューを書いておこう。What is the What作者: Dave Eggers出版社/メーカー: Penguin発売日: 2008/07/03メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1…

W. G. Sebald の “Austerlitz”(2)

もっか、父の七回忌その他で愛媛の宇和島に帰省中。桜は先週が見頃だったらしいが、いまはもうほとんど葉桜ばかり。かろうじて残っている花も、きょうの雨ですっかり散ってしまうことだろう。 その代わり、きのう訪れた市内天赦園の上り藤は、受付の案内によ…

W. G. Sebald の “Austerlitz”(1)

きょうは Patrick Modiano の "In the Cafe of Lost Youth" について若干補足するはずだったが、ゆうべ、W. G. Sebald の "Austerlitz"(2001)を読了。周知のとおり、2001年の全米批評家協会賞受賞作である。さっそくレビューを書いておこう。 追記:本書は…

Arundhati Roy の “The Ministry of Utmost Happiness”(2)

David Grossman の "A Horse Walks Into a Bar" を読了。ご存じ今年の Man Booker International Prize の受賞作である。本来ならすぐにレビューを書くところだが、いまは風呂上がり。明日の仕事に差し支えるといけない。そこで表題作の話に戻ろう。 Arundha…

Arundhati Roy の “The Ministry of Utmost Happiness”(1)

ゆうべも書いたとおり、Arundhati Roy の新作 "The Ministry of Utmost Happiness"(2017)を読了。フィクションとしては20年ぶりの2作目である。ひと晩寝かせたところで、さて、どんなレビューになりますやら。The Ministry of Utmost Happiness: A novel…

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(2)

夕食後、やっと本書を読みおえた。いつもなら、さっそくレビューを書くところだが、いまは風呂上りでもう時間がない。きょうはメモの確認だけ。 当初は Anjum という hijra(両性具有者)が主人公。彼女(彼)はインドの首都、デリー市内の墓場に住んでいる…

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(1)

Arundhati Roy の "The Ministry of Utmost Happiness"(2017)を読んでいる。今月6日に出版されたばかりの新作だ。 Arundhati Roy といえば、ご存じ1997 年のブッカー賞受賞作、"The God of Small Things" で有名なインドの作家である。あれは本当にすばら…