ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ロマンス

ラヴロマンスと歴史ロマンスを扱っています

Umberto Eco の “Baudolino”(1)

Umberto Eco の第四作 "Baudolino"(原作2000、英訳2001)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Baudolino (English Edition) 作者: Umberto Eco 出版社/メーカー: Vintage Digital 発売日: 2014/08/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

Susan Minot の “Evening”

先週末までずっと寝込んでいた。インフルエンザではなかったが高熱が続き、これを書いている今もまだ微熱がある。亡父もやはりこの時期に風邪をこじらせ、二月になって最初の脳梗塞を起こしたことが思い出され、少し不安だ。 寝床で本を読むのは疲れるものだ…

Victoria Connelly の “Love in an English Garden”(1)

きょうは LJ Ross の "Holy Island" について若干補足しようと思っていたが、先ほど、Victoria Connelly の "Love in an English Garden"(2017)を読了。印象が薄れないうちに、早いところレビューを書いておこう。Love in an English Garden作者:Connelly,…

Kurt Palka の“The Piano Maker”(2)

今週は超多忙。もう一回だけ本書について駄文を綴らねばと思いつつ、なかなか時間が取れなかった。 べつにたいした補足ではない。これは典型的な文芸エンタテインメントである。ヒロインの Helene は純真で、窮地におちいった彼女に救いの手を差し伸べる人び…

Kurt Palka の “The Piano Maker”(1)

ゆうべ本書についてふれたあと、なんとか頑張って読みおえた。Kurt Palka はカナダではわりと人気作家のようである。中身を忘れないうちにレビューを書いておこう。The Piano Maker作者:Palka, KurtMcClelland & StewartAmazon[☆☆☆★★] 1930年代、古き佳き時…

"The Piano Maker" 雑感

まずきのうの補足から。ぼくが大嫌いなタイプの小説の例として挙げた "The Piano Teacher" は、ノーベル賞作家 Elfriede Jelinek の作品(☆☆☆★★)ではなく、Janice .... という Chi .... 系作家のもの(☆☆★★★)。 なぜ伏せ字にしたかというと、こんなマイナ…

Melanie Dobson の “Chateau of Secrets”(4)

きのうは仕事帰りに量販店に立ち寄り、「ワイルド・スピードX2」ほか数枚をまとめ買い。さっそく晩酌をやりながら見たが、たまにはこういう〈スカッと系〉映画もいいですな。 小説もおなじで、いつもシンネリムッツリの純文学ばかりだと、もともとネクラのぼ…

Melanie Dobson の “Chateau of Secrets”(3)

文学は十人十色、いろんな見方や好みがあっていい。だから前回エラソーなことを書いたのも要するに、ぼくはこんなのが好き、とテキトーに言ったにすぎない。 「文学の場合、作家の『思想やもくろみ』が高いか低いか、深いか浅いかは、その作品を評価するうえ…

Melanie Dobson の “Chateau of Secrets”(2)

これはまさしく通勤快読本。ほんとにおもしろかった! 残念なのは、諸般の事情でコマギレにしか読めなかったこと。それでもクイクイ度(クイクイ読める度合い)は抜群だったのだから、できれば一気に読みたかった。 だから点数も、久しぶりに☆☆☆★★★(約75点…

Melanie Dobson の “Chateau of Secrets”(1)

きょうも昼過ぎまで〈自宅残業〉。しかし午後はがんばって、Melanie Dobson の "Chateau of Secrets"(2014)をようやく読了。さっそくレビューを書いておこう。Chateau of Secrets作者:Dobson, MelanieCenter PointAmazon[☆☆☆★★★] ああ、おもしろかった! …

Elena Ferrante の “The Story of the Lost Child” (1)

きのう Elena Ferrante の "The Story of the Lost Child" を読了。一気にレビューを書いてもよかったのだが、ひと晩寝かせることにした。雑感でも紹介したとおり、ニューヨーク・タイムズ紙の10 Best Books of 2015の一冊であり、同紙の書評家 Michiko Kaku…

John Williams の “Stoner” (1)

John Williams の "Stoner" を読了。1965年の刊行だが、今年になってヨーロッパ各国で翻訳がベストセラーとなり、おそらくその波及効果だろう、現在、アマゾンUKでも古典小説部門でベストセラーとなっている作品である。さっそくレビューを書いておこう。Sto…

Tanis Rideout の “Above All Things” (1)

昨年のアマゾン・カナダ選ベストテン小説のひとつ、Tanis Rideout の "Above All Things" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Above All Things作者:Rideout, TanisVikingAmazon[☆☆☆★] なにもかも完璧なまでに型どおりの小説だ。愛する妻や子どもたち…

Jess Walter の “Beautiful Ruins” (1)

パブリシャーズ・ウィークリー誌が選んだ昨年の最優秀作品のひとつ、Jess Walter の "Beautiful Ruins" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Beautiful Ruins: A Novel (P.S.)作者:Walter, JessHarper PerennialAmazon[☆☆☆☆] 断崖絶壁にかこまれたイタ…

Adriana Trigiani の “Home to Big Stone Gap” (1)

アメリカのベストセラー作家 Adriana Trigiani の旧作、"Home to Big Stone Gap" (2006) を読了。さっそくレビューを書いておこう。Home to Big Stone Gap: A Novel作者:Trigiani, AdrianaBallantine BooksAmazon[☆☆☆] ヴァージニアの山中にある小さな町 Big…

Adriana Trigiani の “The Shoemaker's Wife” (1)

アメリカのベストセラー作家 Adriana Trigiani の最新作、"The Shoemaker's Wife"(2012)を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Shoemaker's Wife: A Novel作者:Trigiani, AdrianaHarper PaperbacksAmazonThe Shoemaker's Wife作者:Trigiani, Adrian…

Liza Klaussmann の “Tigers in Red Weather” (1)

Liza Klaussmann の "Tigers in Red Weather" を読了。アマゾンUKが選んだ去年の優秀作品のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。Tigers in Red Weather作者:Klaussmann, LizaPicadorAmazon[☆☆☆★★] ゆるやかに進む序盤がやや退屈だが、じつはこれ…

Ian McEwan の “Sweet Tooth” (1)

Ian McEwan の最新作、"Sweet Tooth" を読了。ガーディアン紙や米アマゾンなどが選んだ昨年のベスト作品のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。Sweet Tooth作者:McEwan, IanJonathan CapeAmazon[☆☆☆☆] うまい、じつにうまい。まさかこんなトリッ…

Carol Rifka Brunt の “Tell the Wolves I'm Home” (1)

Carol Rifka Brunt の "Tell the Wolves I'm Home" を読了。今年の米アマゾン上半期ベストテン小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。Tell the Wolves I'm Home作者:Rifka Brunt, CarolMacmillanAmazon[☆☆☆★] 点数は辛めだが、じつは通勤快読…

M. L. Stedman の “The Light between Oceans” (1)

オーストラリアの新人女流作家 M. L. Stedman のデビュー作、"The Light between Oceans" を読了。映画化が予定されているそうだ。さっそくレビューを書いておこう。(追記:その後、本書は実際、デレク・シアンフランス監督により映画化され、2016年に『光…

英連邦図書賞発表/Anne Tyler の “The Beginner's Goodbye” (1)

周知のとおり英連邦作家賞(Commonwealth Writer's Prize)が今年から、新人賞に相当する英連邦図書賞(Commonwealth Book Prize)と、すぐれた短編に与えられる英連邦短編賞(Commonwealth Short Story Prize)に変更され、いささか旧聞に属するが、図書賞…

Eva Stachniak の “The Winter Palace” (1)

この連休、最低2冊は読みたいと思っていたのだが、何かと所用があり、結局1冊しか読めなかった。今年の2月ごろからアマゾン・カナダでベストセラーとなっている Eva Stachniak の "The Winter Palace" である。さっそくレビューを書いておこう。The Winte…

Jojo Moyes の “Me Before You” (1)

イギリスの最新ベストセラー、Jojo Moyes の "Me Before You" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。(後記:本書は2016年、テア・シャロック監督によって映画化され、日本でも『世界一キライなあなたに』として公開されました)。Me Before…

Vanessa Diffenbaugh の “The Language of Flowers” (1)

Vanessa Diffenbaugh の "The Language of Flowers" を読了。アマゾンUK が選んだ去年のベスト小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。Language of Flowers作者: Vanessa Diffenbaugh出版社/メーカー: Pan Publishing発売日: 2012/03/01メディ…

Erin Morgenstern の “The Night Circus” (1)

大変遅まきながら、Erin Morgenstern の "The Night Circus" をやっと読みおえた。「遅まきながら」というのは、前から読みたかったのに諸般の事情でずっと積ん読中だったからだ。周知のとおり、パブリシャーズ・ウィークリー誌や米アマゾンなどで今年のベス…

Chad Harbach の “The Art of Fielding” (1)

多忙やら体調不良やらで、すっかりカタツムリ君のペースだったが、Chad Harbach の "The Art of Fielding" をようやく読みおえた。ニューヨーク・タイムズ紙や米アマゾンの年間ベスト作品に選ばれるなど、間違いなく今年の超話題作の一つである。さっそくレ…

Paula McLain の “The Paris Wife”(1)

ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー、Paula McLain の "The Paris Wife" をやっと読みおえた。例によってまずレビューを書いておこう。The Paris Wife: A Novel作者: Paula McLain出版社/メーカー: Ballantine Books発売日: 2011/02/22メディア: ハード…

Amanda Hodgkinson の “22 Britannia Road”(1)

去る4月、米アマゾンで月間最優秀作品に選ばれた Amanda Hodgkinson の "22 Britannia Road" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。22 Britannia Road: A Novel作者: Amanda Hodgkinson出版社/メーカー: Pamela Dorman Books発売日: 2011…

Lucinda Riley の “Hothouse Flower”(1)

イギリスのベストセラー小説で Richard & Judy Book Club の今春の推薦図書、Lucinda Riley の "Hothouse Flower" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Hothouse Flower作者: Lucinda Riley出版社/メーカー: Michael Joseph発売日: 2011/04/26メディア:…

Gary Shteyngart の “Super Sad True Love Story”(1)

このところ職場が繁忙期で「自宅残業」が続いていたが、今日は気分転換。朝から本書の残りに取り組み、昼過ぎに脱兎のごとく読みおえた。いつものようにレビューを書いておこう。Super Sad True Love Story: A Novel作者: Gary Shteyngart出版社/メーカー: R…