ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

"Lark & Termite" 雑感(1)

職場が年度末の「農繁期」に入り、なかなか思うように進まないが、今週初めに読んだ Bonnie Jo Campbell の "American Salvage" と同じく去年の全米図書賞の最終候補作で、やはり同じく今度は全米批評家(書評家)協会賞にノミネートされている Jayne Anne P…

Bonnie Jo Campbell の "American Salvage"(2)

どの物語でも事件や事故、ときには犯罪など必ずショッキングな出来事が起こる短編集だが、ぼくはこれを読みながら、ああ、なるほどそうだな、と最初から思ったことがある。大学入試の不合格でも肉親の死でもいいが、とにかくとても悲しい目に遭ったとき、人…

Bonnie Jo Campbell の "American Salvage"(1)

昨年の全米図書賞最終候補作で、今度は全米批評家(書評家)協会賞にノミネートされている Bonnie Jo Campbell の "American Salvage" を読みおえた。いつものようにまずレビューを書いておこう。American Salvage作者: Bonnie Jo Campbell出版社/メーカー: …

最近の全米批評家協会賞受賞作「面白度」ランキング

あと1ヵ月足らずで発表される昨年の全米批評家(書評家)協会賞(National Book Critics Circle Awards)の候補作、Bonnie Jo Campbell の "American Salvage" に取りかかった。今日一日で片づけようと思っていたのに、寝坊してしまい、あえなく挫折。中間…

A. S. Byatt の "The Children's Book"(2)

本書の中間報告として、これは「うぶな青少年が何らかの苦しい体験を経ることによって否応なく大人へと成長する」、「単なるイニシエイションもの」ではなく、「この先、まだまだ大きな仕掛け」があるはずで、 その「仕掛け」を通じて「子供世代の成長と変化…

09年ブッカー賞最終候補作「面白度」ランキング(Man Booker Prize 2009 shortlist)

本来なら昨日の続きを書くべきところだが、めでたく去年のブッカー賞最終候補作をぜんぶ読みおえたので、今日はその「面白度」ランキングを決める「格付け遊び」をしてみたい。基準はもちろん、例によって独断と偏見のみ。4年連続の試みだが、今回はショー…

A. S. Byatt の "The Children's Book"(1)

去年のブッカー賞最終候補作で唯一読みのこしていた A. S. Byatt の "The Children's Book" をやっと読了。今まで6回にわたる雑感のまとめに毛が生えたものになりそうだが、とりあえずレビューを書いておこう。The Children's Book作者: A S Byatt出版社/メ…

"The Children's Book" 雑感(6)

連日、公私ともに多忙を極め、日が暮れるとぐったり。なかなか読書に時間が割けず、おかげでまだ本書も読みおわっていない。こんなときでもクイクイ読める本ならページが進むのだが、せっかく第2部の終盤で大いに盛り上がったのに、第3部に入るとまたもや…

"The Children's Book" 雑感(5)

ヴィクトリア女王の崩御は1901年。つまり世紀の変わり目だが、これを境にイギリスは黄金時代から「銀の時代」へと移り変わった、という説明が第3部の冒頭にある。章題もずばり 'The Silver Age' で、その初期には黄金時代、言い換えれば当時の人間にとって…

"The Children's Book" 雑感(4)

子供たちの話に移る前にもう少し大人の話を続けよう。いつも何かにつけて引用するパスカルの箴言にある、「人間は天使でも獣でもない」という人間の二重性からすれば、「表と裏の顔、虚像と実像をあわせもつ人物」とはまさに人間の真実の姿である。それゆえ…

"The Children's Book" 雑感(3)

熱は引いたが頭がまだ重く、なんだかボンヤリしながら昨日の続きを読んでいる。おかげでろくに進まなかったが、それでもやっと巻なかば。少しはこの作品の本質に迫らねば、といろいろ考えてみた。 まず時代は19世紀末から20世紀初頭で、今はちょうどヴィクト…

"The Children's Book" 雑感(2)

いやはや、とんだ一週間だった。簡易検査では陰性だったが、インフルエンザなみの高熱が続き、昨日までずっと寝こんでしまった。これを書いている今もまだ何となく熱っぽい。明日からの仕事が思いやられる。 おかげで本書も長らく中断してしまい、今日からま…

"The Children's Book" 雑感(1)

去年のブッカー賞最終候補作で唯一読みのこしていた A. S. Byatt の "The Children's Book" に取りかかったが、またもや風邪を引いてしまい絶不調。おかげで、なかなか先へ進まない。 もっとも、クイクイ読めないのは体調のせいばかりでなく、今まで読んだ第…