ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

アイリス・マードック

Iris Murdoch の “The Bell”(6)

なぜこれほど鐘の意味にこだわるのか。タイトルだからということもあるが、この「予兆、暗示に充ち満ち」た作品の中にあって、ほとんど唯一、鐘だけが予兆や暗示のままに終わっているからである。 雑感にも書いたように、「どの描写、どのエピソードをとって…

Iris Murdoch の “The Bell”(5)

救いを求め、'somewhere, something good existed' と思って Imber の田舎に帰った Dora が目にしたのは、もちろん鐘である。詳しい状況についてはネタバレの恐れがあり省略。とにかく、彼女は Toby 少年から〈その鐘〉の話を聞いて昂奮する。'Dora, who fel…

Iris Murdoch の “The Bell”(4)

小説についてなるべくネタを割らないように説明するのはむずかしい。とりわけ、本書のようにサスペンスフル、ミステリアスな作品の場合、その緊張や謎の意味を不用意に明らかにすると興味が半減してしまう。 と肝に銘じつつ、前回の続きを書こう。ぼくが Mic…

Iris Murdoch の “The Bell”(3)

学生時代の夏休みに本書を初めて読んだとき、鐘のことをどう考えたのかはさっぱり記憶にない。ということはおそらく、何も考えなかったような気がする。その意味について思いをめぐらす余裕もなく、ただただ物語の渦中に引き込まれ、とりわけ「ハイライト前…

Iris Murdoch の “The Bell”(2)

雑感にも書いたとおり、これはぼくの青春時代で最も思い出ぶかい本である。しかも40年ぶりの再読ということで、読後は感無量……のはずだが、意外にそうでもなかった。 まず、「最後のほうの展開も結末もかなり憶えている」はずだったのに、実際は、え、こんな…

Iris Murdoch の “The Bell”(1)

このところ多忙と疲労で思うように本が読めず、40年前の夏休みと違って、最後は一気にひと晩で、というわけに行かなかった。また、レビューを書く時間もなかなか取れなかった。いざ書き出してみると、いっこうに先が続かない。さてさて困ったものだ。The Bel…

"The Bell" 雑感(2)

その年の夏休みが終わり、教室で出会った仲間の一人と、どんな本を読んだか話し合う機会があった。D. H. Lawrence、George Orwell、Aldous Huxley、Graham Greene とぼくが報告したところまでは、フムフムなるほど、という反応だったが、Iris Murdoch の名前…

"The Bell" 雑感(1)

昨秋、本ブログを再開してから今まで採り上げたのは、わずか4冊にすぎない。Herman Hesse の中短編集 "Klingsor's Last Summer"、Stendhal の "The Red and the Black"、Thomas Mann の短編集 "Death in Venice"、そして Tolstoy の自伝小説3部作 "Childho…

"The Forgotten Garden" 雑感(2)

相変わらず、とても面白い。今のペースだと、あと1日で読み終えられそうだけど、明日は胃カメラを飲むことになっているので、ちょっと無理かな。 本書の美点はいくつもあるが、今日はミーハー的な興味だけ述べておくと、とにかく舞台が最高にいい。コーンウ…