ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2011年ぼくのベストテン小説

今年は途中から、故双葉十三郎氏の『西洋シネマ体系 ぼくの採点表』に準じて、読んだ本を星印(☆は20点前後、★は5点前後)で評価することにした。 「芸術には試験の答案みたいな満点などありえない」というフタバ氏の持論はもっともだと思うので、ぼくも白…

Erin Morgenstern の “The Night Circus” (1)

大変遅まきながら、Erin Morgenstern の "The Night Circus" をやっと読みおえた。「遅まきながら」というのは、前から読みたかったのに諸般の事情でずっと積ん読中だったからだ。周知のとおり、パブリシャーズ・ウィークリー誌や米アマゾンなどで今年のベス…

Edith Pearlman の “Binocular Vision” (2)

あともう少しで Erin Morgenstern の "The Night Circus" を読みおえるのだが (超オモロー!)、その前に "Binocular Vision" について落ち穂拾いをしておこう。 Edith Pearlman はまったく知らない作家だったが、ここに収録されている短編の初出リストを見る…

Denis Johnson の “Train Dreams” (3)

今日はこのあと一杯やることにしているので、本書について気になる点を手っ取り早く書いておこう。 これはかいつまんで言えば、山火事で「早くに妻子を亡くした男」が深い悲しみを胸に秘めながら「長生きし…世の中の変遷を実感」する物語である。生まれたの…

Denis Johnson の “Train Dreams” (2)

この時期は例年、各メディアが選んだ優秀作品の中から読む本を決めることが多い。ぼくの基準は簡単で、(1) ペイパーバック化されているもの。(2) カバーやタイトルが魅力的。(3) あまり長くない。といったところ。内容の紹介記事やレビューはほとんど読まな…

Edith Pearlman の “Binocular Vision” (1)

今日は Denis Johnson の "Train Dreams" について落ち穂拾いをするはずだったが、先月以来中断していた Edith Pearlman の "Binocular Vision" をようやく読みおえたので、そのレビューから先に書くことにした。今年の全米図書賞候補作のひとつである。 追…

Siri Hustvedt の “The Summer without Men” (3)

自分が昔書いた "What I Loved" のレビューを読んで、そうそう、たしかにこんな作品だったな、と思い出すほど記憶力のわるいぼくだが、それでもこの "The Summer without Men" は、読みだしたときからすぐに、何だか Joseph O'Neill の "Netherland" と同じ…

Siri Hustvedt の “The Summer without Men” (2)

今週から仕事は自分のペースでやれるようになり、ホッとひと息ついている。この2ヵ月多忙をきわめただけに、しばらくノンビリしたいところだ。 というわけで、ブログをサボっているあいだも高くなりつづけた積ん読の山を切り崩そうと、まず手に取ったのが本…

Denis Johnson の “Train Dreams” (1)

今日はもともと、昨日の続きで Siri Hustvedt の "The Summer without Men" について駄文を綴るはずだったが、意外に早く Denis Johnson の "Train Dreams" を読みおえたので、印象が薄れぬうちにそのレビューを書くことにした。パブリシャーズ・ウィークリ…

Siri Hustvedt の “The Summer without Men” (1)

Siri Hustvedt の "The Summer without Men" を読了。アマゾンUKが選んだ今年のベスト小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。The Summer Without Men作者: Siri Hustvedt出版社/メーカー: Picador USA発売日: 2011/04/26メディア: ペーパーバ…

Chad Harbach の “The Art of Fielding” (3)

極度のスランプにおちいった「ヘンリーに復活の日は訪れるのだろうか」。もし訪れるとすれば、彼はどんなふうに立ち直るのか。これが後半のおもな興味のひとつである。 ぼく自身、これを読んでいるあいだ、昨日書いたような事情でさっぱり調子が出なかったた…

Chad Harbach の “The Art of Fielding” (2)

「ああ面白かった!」と昨日のレビューに書いたが、「ああ、やっと読みおえた!」というのも偽らざる実感だ。なにしろ、先週までずっと職場が繁忙期で、1日8時間パソコンの打ちっぱなしということも日常茶飯。おまけに、血圧は上がるは風邪を二度も引くは…

Chad Harbach の “The Art of Fielding” (1)

多忙やら体調不良やらで、すっかりカタツムリ君のペースだったが、Chad Harbach の "The Art of Fielding" をようやく読みおえた。ニューヨーク・タイムズ紙や米アマゾンの年間ベスト作品に選ばれるなど、間違いなく今年の超話題作の一つである。さっそくレ…

“The Art of Fielding” 雑感 (5)

体調は何とか回復したものの、仕事が相変わらず多忙をきわめ、この1週間もヘトヘト。電車の中で本書をひらくのだが、活字にさっぱり目がついて行かない。家に帰ってからはなおさらで、結局、まともに取り組んだのは昨日1日だけだった。いや、半日か。 それ…

“The Art of Fielding” 雑感 (4)

この1週間もブログをサボってしまった。過労のせいか風邪をひいてしまい、さりとて、職場が繁忙期ゆえ休みを取るわけにも行かず、毎日フラフラしながら仕事に励んでいた。唯一の救いは、ぼくの部署が過去最高の業績をあげたこと。今年は今まで胃の痛い思い…