ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Tommy Orange の “There There”(2)

このところ〈自宅残業〉の毎日だが、きょうは意外に早くノルマを達成。余裕ができたのでドラ息子の誘いに乗り、初孫のショウマくんともども、横浜・大岡川ぞいの桜並木を見物しに出かけた。あいにくパッとしない空模様だったけれど、これなどは比較的よく撮…

Umberto Eco の “Baudolino”(3)

もっか〈自宅残業〉で忙しく、Rebecca Makkai の "The Great Believers"(2018)のほうはやっと終盤が見えてきたところ。相変わらず☆☆☆で面白くない。ただでさえ遅読症なのに、ますます読む速度が落ちてきた。 同書は1985,86年の過去編と2015年の現代編が交…

Umberto Eco の “Baudolino”(2)

Rebecca Makkai の "The Great Believers"(2018)をダラダラ読んでいる。ご存じのとおり、ニューヨーク・タイムズ紙が去年選んだベスト5小説のひとつだが、いまのところ、☆☆☆。ゲイとエイズ、そして家族愛を扱ったもので、暗いし、なかなか話が先へ進まな…

Lisa Halliday の “Asymmetry”(2)と Sigrid Nunez の “The Friend”(2)

おとといの昼間、ジムで走りすぎたあと、同夜は元同僚と再会、ほぼ一年ぶりに飲みすぎてしまった。おかげで、きのうは膝が痛いうえに二日酔い。炬燵の中でぼんやり過ごしていたら、夕方になって大事件発生! 詳しくは書けないが、とにかく諸般の事情というや…

Luis Alberto Urrea の “The House of Broken Angels”(1)

ゆうべ、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Luis Alberto Urrea の "The House of Broken Angels" を読了。これで久しぶりに同賞の最終候補作をぜんぶ読んだことになる。さっそくレビューを書いておこう。 なお、以下のレビューは、…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(2)

ああ、やっぱり Anna Burns の "Milkman" (2018)がブッカー賞に引き続き、全米批評家協会賞も獲ってしまいましたね。前回も書いたとおり、まず順当な結果だろう。 ちなみに過去、同賞とブッカー賞のダブル受賞に輝いた作品は2冊ある。 ぼくの独断と偏見に…

Denis Johnson の “The Largesse of the Sea Maiden”(2)と2018年全米批評家協会賞最終候補作

全米批評家協会賞の発表(ニューヨーク時間で3月14日午後6時30分)が目前に迫ってきた。日本時間の明日にでも結果が判明していることだろう。 今年は久しぶりに発表前に最終候補作をぜんぶ読むつもりだったのだけれど、Luis Alberto Urrea のペイパーバッ…

Orhan Pamuk の “The Museum of Innocence”(1)

Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)を読了。周知のとおり、これは彼のノーベル文学賞受賞第一作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Museum of Innocence 作者: Orhan Pamuk,Maureen Freely 出版社/メーカー: Faber …

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(2)と2018年ニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説

とても面白い本を読んでいるとき、過去記事の続きを書くのは面倒くさいものだ。もっか取り組んでいるのは、Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)。すこぶるつきのメロドラマだが、近代文化と古い伝統との衝突など、いろいろ考え…

Tommy Orange の “There There”(1)

Tommy Orange の "There There"(2018)を読了。周知のとおり、これは昨年のニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説のひとつである。また P Prize.com の予想によれば、3月5日現在、今年のピューリッツァー賞レースでも、Rachel Kushner の "Mars Room"(…

Umberto Eco の “Baudolino”(1)

Umberto Eco の第四作 "Baudolino"(原作2000、英訳2001)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Baudolino (English Edition) 作者: Umberto Eco 出版社/メーカー: Vintage Digital 発売日: 2014/08/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(3)

前回はこんな話だった。ぼくが最近読んだ海外文学の新作は五冊。どれもそれなりに面白いけれど、表題の『名誉の剣』三部作とくらべると、どれもかなり物足りない。(スターを付けてくださった shinread さん、brownsuga さん、ありがとうございます)。 なぜ…