ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

20世紀および現代アメリカ文学

2000年代の作品もふくみます

James McBride の “Deacon King Kong”(1)

きのう、James McBride の "Deacon King Kong"(2020)を読了。周知のとおり、ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ昨年の年間ベスト5小説のひとつである。また P Prize. com の予想によると、ニューヨーク時間で明日4日に発表される今年のピューリツァー賞「…

Lisa Halliday の “Asymmetry”(1)

Lisa Halliday の "Asymmetry"(2018)を読了。周知のとおり、これは昨年のニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説のひとつである。巻末の紹介によると、Lisa Halliday はマサチューセッツ州出身でミラノ在住の若手作家。本書は彼女の処女作とのこと。さっ…

Philip Roth の “The Human Stain”

相変わらず過去記事の整理中。きょうも前回同様、本ブログでは未発表のレビューでお茶を濁しておこう。 なんだ、それならコピペすればいいだけじゃん、と思われるかもしれないが、昔のレビューほど〈拙文度〉が激しい。しかも、点数評価をしていない場合が多…

Joyce Carol Oates の “Wonderland”(1)とワンダーランド四部作

きのう、1972年の全米図書賞最終候補作、Joyce Carol Oates の "Wonderland"(1971)を読了。周知のとおり、これは〈ワンダーランド4部作〉の掉尾を飾る作品でもある。既読3作のレビューもあわせて再録しておこう。Wonderland (The Wonderland Quartet)作…

Elizabeth Strout の “Anything Is Possible”(1)

きょうは Arundhati Roy の "The Ministry of Utmost Happiness" について駄文の続きを、と思っていたが、意外に早く、Elizabeth Strout の最新作、"Anything Is Possible" を読了。印象の薄れないうちにレビューを書いておこう。Anything is Possible作者:S…

Donna Tartt の “The Secret History”(1)

Donna Tartt の "The Secret History" (1992) を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Secret History: From the Pulitzer Prize-winning author of The Goldfinch作者:Tartt, DonnaPenguin Books Ltd (UK)Amazon[☆☆☆] 看板に偽りあり。重大な秘密が長…

Barbara Kingsolver の “The Poisonwood Bible” (1)

A. S. Byatt の "Possession" のあら探しをしているうちに、数多くの美点について書く時間がなくなってしまった。が、いちおうレビューで意は尽くしていると思う。あれ以上書いても、屋上屋を架すことになろう。 話変わって、Barbara Kingsolver の "The Poi…

John Williams の “Stoner” (1)

John Williams の "Stoner" を読了。1965年の刊行だが、今年になってヨーロッパ各国で翻訳がベストセラーとなり、おそらくその波及効果だろう、現在、アマゾンUKでも古典小説部門でベストセラーとなっている作品である。さっそくレビューを書いておこう。Sto…

Jim Lynch の “Truth Like the Sun” (1)

Jim Lynch の "Truth Like the Sun" を読了。ニューヨーク・タイムズ紙の書評家、Janet Maslin が選んだ昨年の10 favorite books の一冊である。さっそくレビューを書いておこう。Truth Like the Sun作者:Lynch, JimBloomsbury Publishing PLCAmazon[☆☆☆★]「…

Jess Walter の “Beautiful Ruins” (1)

パブリシャーズ・ウィークリー誌が選んだ昨年の最優秀作品のひとつ、Jess Walter の "Beautiful Ruins" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Beautiful Ruins: A Novel (P.S.)作者:Walter, JessHarper PerennialAmazon[☆☆☆☆] 断崖絶壁にかこまれたイタ…

Adriana Trigiani の “Home to Big Stone Gap” (1)

アメリカのベストセラー作家 Adriana Trigiani の旧作、"Home to Big Stone Gap" (2006) を読了。さっそくレビューを書いておこう。Home to Big Stone Gap: A Novel作者:Trigiani, AdrianaBallantine BooksAmazon[☆☆☆] ヴァージニアの山中にある小さな町 Big…

Adriana Trigiani の “The Shoemaker's Wife” (1)

アメリカのベストセラー作家 Adriana Trigiani の最新作、"The Shoemaker's Wife"(2012)を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Shoemaker's Wife: A Novel作者:Trigiani, AdrianaHarper PaperbacksAmazonThe Shoemaker's Wife作者:Trigiani, Adrian…

Lauren Groff の “Arcadia” (1)

Lauren Groff の "Arcadia" を読了。ニューヨーク・タイムズ紙の書評家、Janet Maslin が選んだ去年の 10 Favorite Books の一冊である。さっそくレビューを書いておこう。Arcadia作者:Groff, LaurenVoiceAmazon[☆☆☆★★] アルカディア――牧歌的な理想郷。本書…

Carol Rifka Brunt の “Tell the Wolves I'm Home” (1)

Carol Rifka Brunt の "Tell the Wolves I'm Home" を読了。今年の米アマゾン上半期ベストテン小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。Tell the Wolves I'm Home作者:Rifka Brunt, CarolMacmillanAmazon[☆☆☆★] 点数は辛めだが、じつは通勤快読…

英連邦図書賞発表/Anne Tyler の “The Beginner's Goodbye” (1)

周知のとおり英連邦作家賞(Commonwealth Writer's Prize)が今年から、新人賞に相当する英連邦図書賞(Commonwealth Book Prize)と、すぐれた短編に与えられる英連邦短編賞(Commonwealth Short Story Prize)に変更され、いささか旧聞に属するが、図書賞…

Toni Morrison の “Home” (1)

ノーベル賞作家トニ・モリスンの最新作、"Home" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Home: A novel作者:Morrison, ToniKnopfAmazon[☆☆☆★] 巨匠がたしかな計算のもと、さらりと書いたノヴェラ。舞台はジョージア州の田舎町で、固い愛情で結ばれた黒人の…

Eleanor Brown の “The Weird Sisters” (1)

諸般の事情ですっかりブログをサボってしまったが、ようやく Eleanor Brown の "The Weird Sisters" を読みおえた。もっか、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー第19位である。さっそくレビューを書いておこう。The Weird Sisters…

Chris Fabry の “Almost Heaven” (1)

昨日がぼくには連休初日。といっても、買い物や家の前の掃除(道路をはさんで公園があり、桜が美しいのはいいのだが、散ったあとが大変)に追われ、本書を読みおえたのは夜半になってからだった。去年のキリスト教図書賞最優秀小説賞 (Christian Book Award…

Arthur Phillips の “The Tragedy of Arthur” (1)

Arthur Phillips の "The Tragedy of Arthur" をやっと読みおえた。ただし、巻末に収録されているシェイクスピアの(?)戯曲、"The Tragedy of Arthur" は拾い読みした程度なので、以下のレビューはもっぱら、その「序文」を対象としたものである。The Trag…

Steven Millhauser の "Dangerous Laughter"(1)

昨日の雑感に書いたように、スティーヴン・ミルハウザーの新作短編集 "Dangerous Laughter" をやっと読みおえたので、いつものようにレビューを書いておこう。Dangerous Laughter: Thirteen Stories (Vintage Contemporaries)作者:Millhauser, StevenVintage…

Bernard Malamud の "A New Life"

内職のほうは何とか目途がついたが、今度は本業で大忙し。前回、ユダヤ系作家のアイザック・シンガーでお茶を濁したので、きょうはマラマッドの "A New Life" について書いた昔のレビュー。A New Life (FSG Classics)作者: Bernard Malamud,Jonathan Lethem…

Isaac Bashevis Singer の "Enemies: A Love Story"

この土日は内職に追われ、きょうも先ほどまで原稿に目を通していた。例によって昔のレビューでお茶を濁すしかない。Enemies, A Love Story作者:Singer, IsaacFarrar, Straus and GirouxAmazon[☆☆☆☆] ホロコーストの問題を採りあげた小説というと、読む前から…

Barbara Kingsolver の "Prodigal Summer"

ただでさえ貧乏暇なしなのに、師走が近づいてくると輪をかけて忙しく、ゆっくり本を読む時間がない。そこで今日も昔のレビューでお茶を濁すことにしよう。Prodigal Summer: A Novel作者:Kingsolver, BarbaraHarper PerennialAmazon[☆☆☆☆★] 古来、西欧人にと…

Norman Mailer の "The Castle in the Forest"

今朝の新聞を見たら、ノーマン・メイラーの訃報記事が載っていた。が、ぼくは今年の2月、最新作の "The Castle in the Forest" を「巨匠衰えたり」と題して酷評しただけに、その死を知っても別に驚かなかった。The Castle in the Forest: A Novel作者: Norm…