ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ゴンクール賞

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(2)と2018年ニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説

とても面白い本を読んでいるとき、過去記事の続きを書くのは面倒くさいものだ。もっか取り組んでいるのは、Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)。すこぶるつきのメロドラマだが、近代文化と古い伝統との衝突など、いろいろ考え…

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(1)

ゆうべ、Leila Slimani の "The Perfect Nanny" を読了。2016年のゴンクール賞受賞作、"Chanson douce" の英訳版である。巻頭の紹介によると、彼女はモロッコ出身の若手作家で、モロッコ人の女流作家が同賞を受賞したのは初めてのことらしい。この英訳版は昨…

Patrick Modiano の “Missing Person”(2)

先週は退職前の歓送会やら、財布を落とすやら!、何かとあわただしい毎日だった。 さて、Patrick Modiano もご存じノーベル賞作家(2014年受賞)。「も」というのは、本ブログの数少ないリピーターのみなさまならお気づきのとおり、ぼくはこのところ、〈文学…

Patrick Modiano の “Missing Person”(1)

1978年のゴンクール賞受賞作、Patrick Modiano の "Missing Person"(1978)を読了。仏語の原題は "Rue des boutiques obscures"。ご存じ『冬のソナタ』の下敷きになった作品である。さっそくレビューを書いておこう。Missing Person (Verba Mundi Book)作者…

Kamel Daoud の “The Meursault Investigation” (1)

Kamel Daoud の "The Meursault Investigation" (2013) を読了。巻末の紹介によると、Daoud はアルジェリア人ジャーナリストで、原書はフランス語で書かれ、ゴンクール賞最終候補作とのこと。英訳版は昨年、ニューヨーク・タイムズ紙の書評家 Michiko Kakuta…

Laurent Binet の “HHhH” (1)

Laurent Binet の "HHhH" を読了。今年の全米批評家協会賞の最終候補作で、2010年のゴンクール賞新人賞の受賞作でもある。さっそくレビューを書いておこう。HHhH作者:Binet, LaurentRandom House UK LtdAmazon[☆☆☆☆★] 従来のナチス物、ホロコースト物の定型…

Andrei Makine の "Dreams of My Russian Summers"

年末年始の休みを利用した「文学の冬」シリーズで、仏独伊に続いて読んだのは露西亜の文学作品。といっても、正確にはロシア人作家がフランス語で書いた小説だ。1995年のゴンクール賞受賞作、および1997年の全米批評家協会賞最終候補作である。Dreams Of My …