2021-01-01から1年間の記事一覧
今年ももう大晦日。いつもぼんやり過ごしているうちに、いつのまにか年間ベスト小説を選ぶ日が来てしまった。 家の大掃除がおわったところでEXCELの読書記録をながめると、昔の大作を片づける、という新年の目標は春ごろに早くも挫折。以後、ピューリツァー…
数日前、やっと Orhan Pamuk の "The Black Book"(1990, 英訳2006)を読了。長い中断があり、読みおわってからも、すぐにはレビューを書く時間が取れなかった。はて、どんなレビューもどきになりますやら。 The Black Book (Vintage International) 作者:Pa…
きょうは "Fingersmith"(2002)の落ち穂ひろいをしようか、とも思ったのだけど、Sarah Waters はもうすぐ "Affinity"(1999)を読む予定。実際取りかかったときにでも思い出してみよう。 その前にまず表題作を片づけないと。やっとまた読みはじめたのだけれ…
今月初め、本ブログを更新しようと思ったところで急用が入り、その後なにかとバタバタしてしまい、ほとんど読書から遠のいてしまった。師走とはよく言ったものですな、べつに師でもなんでもないけれど。 それでも先ほど年賀状を出しおわり、やっと一段落つい…
諸般の事情でしばらくデスクから離れていたが、最近になってやっと、ボチボチ Orhan Pamuk の "The Black Book"(原作1990, 英訳2006)を読んでいる。なかなか面白い。 Pamuk は2006年にノーベル文学賞を受賞。その直後に本書の英訳版も刊行されたものと思わ…
きのう、今年の全米図書賞最終候補作、Laird Hunt の "Zorrie" を読了。発表(ニューヨーク時間17日)直前の下馬評では1番人気の作品である。さっそくレビューを書いておこう。 Zorrie 作者:Hunt, Laird Bloomsbury Publishing Amazon [☆☆☆★★] この世には、…
きのう、2002年のブッカー賞およびオレンジ賞(現女性小説賞)最終候補作、Sarah Waters のご存じ "Fingersmith" をやっと読了。途中、諸般の事情で何日も中断したため、いつにもまして、まともなレビューが書けそうもない。さてどうなりますか。 Fingersmit…
ニュースを知って思わず拍手した。Damon Galgut の "The Promise" が今年のブッカー賞を獲得! まずは順当な結果だろう。 Galgut 自身としては、先月の記事でも紹介したとおり、2003年に "The Good Doctor"(未読)、2010年に "In a Strange Room"(☆☆☆☆)が…
今週から、ほぼ1年半ぶりにジムでワークアウトを再開。休会中、目・腰・胃・肩とつぎづぎに不調をきたし、いまは胃がいちばん気になる。またしても逆流性食道炎の再発らしい。運動だけで改善すればいいのだけど。 さて、久しぶりにブッカー賞最終候補作の現…
この数日風邪気味だったがどうやら復調したようなので、前回のつづきを。タリバンはなぜ復権したのか。アフガニスタンでは西欧型の民主主義は実現可能なのか。本書にかぎらず、そんな関心で小説を読むのは邪道だが、「いまの日本の状況、ひいてはぼく自身の…
え、あんたこれ、まだ読んでなかったの? いやはや、恥ずかしながらそうなんです。Wiki によると、It appeared on the New York Times bestseller list for over two years, with over seven million copies sold in the United States. とのこと。そんな超…
きのう、今年のブッカー賞最終候補作、Nadifa Mohamed の "The Fortune Men"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Fortune Men: Shortlisted for the Booker Prize 2021 作者:Mohamed, Nadifa Viking Amazon [☆☆☆★] 神の裁きに間違いはあり…
今年ももうあと3ヵ月足らず。年始にぼんやり立てた読書計画の狂いが気になってきた。2000年以降の有名な作品、それもなるべく大作巨編を片づける、というのが目標のひとつだったのだけど、2月から4月にかけて、"The Amazing Adventures of Kavalier & Cla…
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家 Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Black Notebook (English Edition) 作者:Modiano, Patrick MacLehose Press Amazon [☆☆☆] モディアノ版『黒革の…
Damon Galgut、どこかで目にしたことのある名前だなと思って過去記事を検索すると、2010年のブッカー賞最終候補作、"In a Strange Room" の作者だった。 拙文を読みかえすうちにやっと思い出したのだけど、これはなかなかの秀作である(☆☆☆☆)。この年の受賞…
前回採りあげた "Bewilderment" がいまいちピンとこなかったので(☆☆☆)、口直しに Patrick Modiano の "The Black Notebook"(2012, 英訳2016)に取りかかった。Modiano を読むのは表題作(1990, 英訳1992)以来、ほぼ1ヵ月半ぶりだ。 その "Honeymoon" だ…
今年のブッカー賞最終候補作、Richard Powers の "Bewilderment"(2021)を読了。これは今年の全米図書賞一次候補作でもあったが、そちらは二次で落選。さっそくレビューを書いておこう。 Bewilderment: A Novel 作者:Powers, Richard Norton & Company Amaz…
Khaled Hosseini の大ベストセラー "The Kite Runner"(2003)を読了。周知のとおり、これは2007年に映画化され日本でも公開されている。邦題は『君のためなら千回でも』。さっそくレビューを書いておこう。 The Kite Runner (English Edition) 作者:Hossein…
Anuk Arudpragasam はスリランカ出身の若い作家で、表題作(2021)の前のデビュー作 "The Story of a Brief Marriage"(2016)は、毎年優秀な新人作家に与えられる Dylan Thomas Prize の最終候補に選ばれた。 などと知ったかぶりで書いたけど、もちろん読後…
2014年のピューリツァー賞受賞作、Donna Tartt の "The Goldfinch"(2013)を読了。周知のとおり、これは2019年に映画化されたが日本では未公開。ただし Amazon Prime Video では鑑賞できるようだ。邦題は『ザ・ゴールドフィンチ』。さっそくレビューを書い…
Rachel Cusk の作品を初めて読んだのは、読書メモによると14年前のことだ。当時すでに、彼女は Sarah Waters や David Mitchell などとならんで、すぐれた若手作家としての地位を確立していた。https://granta.com/products/granta-81-best-of-young-british…
ブッカー賞ショートリストの発表日が迫ってきた(ロンドン時間9月14日)。一次候補作全13冊のうち、ぼくがいままで読んだのはたった4冊だけだが、いちおう現地ファンのまねをして、4冊のランキングがてら最終候補作を予想しておこう。1. The Promise(☆☆☆…
きのう、今年のブッカー賞一次候補作、Damon Galgut の "The Promise"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Promise 作者:Galgut, Damon Chatto & Windus Amazon [☆☆☆★★★] 国家間の条約はやぶるためにある、と俗にいわれるが、個人同士の場…
Louise Erdrich を初めて読んだのは、もう15年くらい昔のことだ。いま思い出すと、たしかそのころはジャケ買いにハマっていて、なにかの作品の関連本を検索しているうちに魅力的なカバーを見かけると、内容もたしかめず即買い。そんなふうにして出会ったのが…
ゆうべ、フランスのノーベル賞作家、Patrick Modiano の "Honeymoon"(1990, 英訳1992)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Honeymoon (Verba Mundi) 作者:Modiano, Patrick David R. Godine Publisher Amazon [☆☆☆★] ラストの虚無感、喪失感がたまら…
きのう、今年のブッカー賞一次候補作、Anuk Arudpragasam の "A Passage North"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 A Passage North 作者:Arudpragasam, Anuk Granta Books Amazon [☆☆☆★★] 人生にはかならず、来しかたをふりかえる瞬間がある…
これは先月、今年のブッカー賞ロングリストの発表直前に読みおえた。現地ファンの入選予想ランキング第8位ということで、なんとか滑りこみセーフを期待したのだが、当てはずれ。本書はあえなく選外となってしまった。 ただし、読みはじめたときからイヤな予…
今年のブッカー賞一次候補作、Rachel Cusk の "Second Place"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Second Place: Longlisted for the Booker Prize 2021 (English Edition) 作者:Cusk, Rachel Faber & Faber Amazon [☆☆☆★★] ふつう小説では、…
今年の1月、"Introducing our 10 best debut novelists of 2021" と題されたガーディアン紙の記事を目にした海外文学ファンも多いことだろう。(https://www.theguardian.com/books/2021/jan/31/introducing-our-10-best-debut-novelists-of-2021)が、ぼく…
いまでこそ、「なにから読むか、フォークナー」などと気どったタイトルの記事を本ブログに載せているが、じつは Faulkner を英語で読むようになったのは2000年の夏から。そう遠い昔ではない。 高校時代には翻訳で『八月の光』その他を読んでいたものの、大学…