ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Good Thief" 雑感(1)

 300ページ強でちと長いが、英語が簡単そうなので Hannah Tinti の "The Good Thief" に取りかかった。これで今年のアレックス賞受賞作を読むのは、Hillary Jordan の"Mudbound" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20090310/p1、David Benioff の "City of Thieves" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20090314/p1 に続いて3冊目。ほかにシノプシスから判断してぼく好みのような気がするのは Todd Tucker の "Over and Under" だが、残念ながらまだハードカバーしか出ていない。

Over and Under

Over and Under

 この "The Good Thief" は最初こそ、まあまあ面白いかなという程度だったが、次第に引きこまれ、今ではかなり気に入っている。今のところオフビートな少年の冒険物語といった感じで、墓から死体を掘り出してみたら、何とその死体が息を吹き返し…などというケッサクなエピソードに代表されるように、とにかく何が起こるか分からない、先の読めない楽しさがある。
 舞台は19世紀のニューイングランド修道院に捨てられて育った孤児が主人公で、少年は物心ついたときには何かの事故で左の手首から先がない。やがてある男が孤児院を訪れ、兄と称して少年を引き取るが、実はこの男、少年とは何の関係もない詐欺師で、少年の不具に目をつけ、それを利用して人々の同情を誘い、泊めてもらった農家から馬車を盗んだり、怪しげな薬を売りつけたりと「大活躍」。
 心ならずも詐欺や窃盗、あげくの果てに墓荒らしまで手伝わされることになった少年だが、孤児院時代に神父の本を盗むなど、ちょっとした「早業」の持ち主でもある。が、根は優しくて純情で、それが "The Good Thief" というタイトルにつながっているようだ。
 少年が積極的に行動を起こすわけではないところが最初は気になったが、巻きこまれる犯罪が次第にエスカレートし、また奇妙な事件が立て続けに起こるにつれ目が離せなくなってきた。さて、この先どうなりますか。