この土日は案の定、仕事と雑用に追われ、読書にほとんど時間が割けなかった。というわけで今日から仕切り直し、通勤の電車とバスの中で本書の続きを読みはじめた。ほんとうは今年のコスタ賞(Costa Book Awards)のショートリストや(http://www.costabookawards.co.uk/awards/thisyearshortlist2008.aspx)、パブリシャーズ・ウィークリー誌の年間ベスト10(http://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/book-news/awards-and-prizes/article/45070-best-books-of-2010.html)、米アマゾン・ベスト10(http://www.amazon.com/gp/feature.html/ref=s9_al_bw_feat?ie=UTF8&plgroup=1&docId=1000628101&pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_s=center-5&pf_rd_r=1J4WF3RHDBGA0P7M4Z03&pf_rd_t=101&pf_rd_p=1279100502&pf_rd_i=2486012011)、英アマゾン・ベスト10(http://www.amazon.co.uk/gp/feature.html/ref=amb_link_158277767_8?ie=UTF8&docId=1000460393&pf_rd_m=A3P5ROKL5A1OLE&pf_rd_s=center-2&pf_rd_r=1BXZ1M4VT6QR0SSPXG7M&pf_rd_t=101&pf_rd_p=216728147&pf_rd_i=62)といったリストに載っている作品に食指が動いているのだが、どれもほとんど手元にないものばかりで、ボチボチ選別しながら注文しているところだ。
さて、"The Summer House" の舞台は第二次大戦中のイギリスで、前回紹介したとおりプロローグは第一次大戦中。この2つの流れは序盤であっさり結びつき、先週読んだ "The Legacy" のようにミステリアスな展開ではない。しかも、勘の鈍いぼくでもすぐに察しのついた展開で、べつに意外性があるわけでもない。
しかしながら、この Mary Nichols という作家、なかなか芸達者ですなあ。まず、個性的とは言えないにしても心理や性格、情景の描写など、どれも手馴れた感じの表現力の持ち主で、ひょっとしたらメロドラマ専門なのかもしれないが、だからといってバカにはできません。
視点の変化も定番ながら巧妙で、プロローグに登場した貴族の女、本編のヒロインと思われる若い娘とその母親、娘の亡き婚約者の部下の青年将校という4人を中心に、回想をまじえながら進んでいく。こういう堅実な構成はプロ作家の証拠ですね。この先も安心して楽しめそうなので、これまた通勤中に読むのにもってこいの作品でしょう。