いや怖かった、今日の地震。生きた心地がしなかった。こんな中でもアクセスしてくださったみなさん、アクセスされたということは大丈夫だったんですね。こんな日に記事を書くなんて不謹慎とは思ったが、今は夜中。結局、職場に泊まる羽目になってしまったものの一息ついたので、洋書オタク健在です、と発信したくてこれを打ち込んでいる。
この2、3日は超多忙で、今日もつい仕事に励んでいたばかりに足止めを食ってしまった。今ボチボチ読んでいるのは Colm Toibin の最新短編集 "The Empty Family"。ガーディアン紙が選んだ去年の優秀作品リストをながめているうちに遅まきながら気がついた。Toibin は "The Master" と "Brooklyn" しか読んだことがないが、それでも大好きな作家だ。本書も期待どおり、すばらしい出来ばえだと思う。
何よりもまず文章に惹かれる。とにかく緊密、凝縮、透徹。第1話は、テキサスの満月の夜、無人の街を歩いている主人公がふと、6年前に亡くなった母親のことを回想する。ずっと疎遠で、なかなか愛情を示さなかった母親。まさに empty family の始まりだ。
第2話は、35歳も年上の老人と結婚した女が、夫の死亡前、密かに道をはずしたときの思い出を綴ったもの。これまた empty family の一環である。面白いのは、"The Master" と同じくヘンリー・ジェイムズが登場し、事実かどうかはわからないが、ここでも創作方法の一端が紹介されていることだ。"The Master" の続編と言えるかもしれない。
先ほど第3話、表題作の "The Empty Family" を読みおえたばかりだが、地震の恐怖が生々しくて、じっくり味読できたとは言いがたい。落ち着いたときに再度、取り組んでみよう。
なお、今年の全米批評家(書評家)協会賞は、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad" が栄冠に輝いたようだ。
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