ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The 100-Year-Old Man Who Climbed Out the Window and Disappeared” 雑感 (1)

 たいへん遅まきながら、いまや世界的なベストセラー、Jonas Jonasson の "The 100-Year-Old Man Who Climbed Out the Window and Disappeared" をボチボチ読んでいる。ぼくが本書のことを知ったのは去年の12月、アマゾンUKの年間ベスト作品を検索したときだから、ずいぶん間の抜けた話だ。届いたペイパーバックの表紙を見ると、'over 2 million copies sold worldwide' すごいものですな。そのうちきっと邦訳も出ることだろう。それとも、もう出ているのかしらん。
 たしかにこれ、とてもおもしろい! このところ、英米の各メディアが選んだ去年の優秀作品をずっと読んでいるが、その中でクイクイ度としては、Andre Maurois の "Climates" と双璧。いや、こちらのほうが上かもしれない。スウェーデン語からの英訳ということで英語も簡単だし、まさに通勤快読本でしょう。
 そのおもしろさを具体的に述べると、まず奇想天外なプロットが挙げられる。"The 100-Year-Old Man ...." というタイトルからして、え、どんな話だろ? と興味を惹かれるが、期待どおり冒頭からクイクイ読める展開だ。
 どこまでネタを割っていいものか迷うが、とりあえず、裏表紙の粗筋紹介に少しだけ補足しておこう。主人公は Allan Karlsson という老人。ストックホルム近郊の町の老人ホームに入っているが、まだまだ元気そのもので、窮屈なホームの生活に嫌気がさし、百歳の誕生パーティーの直前に1階の窓から逃げ出す。
 そこからユニークな冒険の数々がはじまるわけだが、珍無類のストーリーにくわえてユーモアたっぷり、それもブラック気味のユーモアにあふれ、ぼくは何度もクスクス笑ってしまった。これが第2の美点である。電車やバスの中で読むときは、人に変な目で見られないよう気をつけないといけません。もっと先を読みたいので、きょうはこれにて。